ひどいときには、二つも三つも台風が
発生している。この数カ月間は、晴れの日が長く
続いた日がない。
一番長く晴れ間が続いたのは、おそらく梅雨の時期
だったような気がする。
これほど雨が降った年を経験したことがない。
先月の大雨は30年に一度の雨と発表され、
その後に降った大雨は50年に一度と発表された。
操船中に雨で、周りがまったく見えなくなる日が多かった。
船は舵を切らないかぎり目標進路に向けて走るが、
雨で周りが見えなくなると不安定になる。
たとえば西から風や波・うねりを受けると東へむこうと
するが、ハンドルを握っていると自然と波や風に
対抗しようとするので、風や波が吹いてくるほうへと
力が入り西へと舳先が向いてしまう。
コンパスを見ながら操船するのは、慣れないと難しい。
雨で周りが見えなくなると自動操舵に切り替えて
ひたすら進行方向に障害物が現れないか見張りをする。
海は広いようでも海には浅瀬や、障害物があり、目標進路に
対して自然と船の走る道路のようなものが出来上がり、
その航路に船が集まってくる。
北太平洋を東に向かう船は、黒潮を利用する。
黒潮は約4ノット(約時速7㌔)の流れがあるので、流れに
乗る船と乗らない船では10時間で70㎞も差が出ることになる。
宮古島と伊良部島の海域には、流れを利用するような
場所はないが、船が集中する水路のような場所は
いくつか存在する。GPSやコンパスのない船もあるので、
雨で周りの景色が消えてしまうと、ダイビング船しか
操船したことのない船長は戸惑うだろう。
航海機器の発達と経験で、大雨の中、平気で港に戻って
きているように思われるが、
何も見えない中を走るのは、相当な神経を使っている。
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