テッポウユリ

子供の頃、家の近所に教会があって、春になるとたくさんのユリの花が咲いていた。
ユリを見ると思い出す。
ユリは聖母マリアの花であり、純潔の象徴でもある。
カトリック系の女学校の紋章にもユリの花が見られる。
沖縄では宗教が根付かなかったといわれているが、
戦後、キリスト教が布教された。

宮古島にもいくつかの教会がある。
教会でのお葬式に行くと祭壇にはユリの花で埋め尽くされている。
子供の頃、家の近所の教会に咲いていたユリの花も趣味で
植えられていたのではなく意味があって植えられていたことを
大人になってから知った。

宮古島では、テッポウユリの花が満開を迎えている。
植えられているのではなく、自生している。
海側から海岸沿いにポツポツと白く見えているのがテッポウユリ。
気象条件の激しい場所に自生しているので、丈が50センチほど。
強い風に負けないよう進化してきたといわれている。
原産は南西諸島だそうだ。人が入ってこられないような場所にも
ひたむきに花を咲かせている。

宗教画で有名な受胎告知にはユリの花がこっそりと描かれている。
テッポウユリが満開に咲く頃、宮古島ではトライアスロン大会がある。
トライアスロン大会のポスターには力走する選手たちが写されているが、
こっそりと季節を告げるようにテッポユリの花が写っている。
宮古島では初夏を告げる花である。