川がないので海の透明度がいい。
これはよく聞く話。
実は宮古島にも川がある。
崎田川サキタカワ。
崎田川に伝わる昔話を一つ。
昔、川満集落に貧しい親子が住んでいた。
酒を飲みつくしたお父さんが、
「酒がない、酒を買ってこい。」と息子に怒鳴った。
息子は「お金もないのにどうしよう。」と
夜更けの道を歩いていると、川にたどり着いた。
その川を眺めながら「この川の水がお酒だったらなぁ」
と息子は持っていた壺に川の水を汲んで帰った。
怒られるのを覚悟の上で、おそるおそる
お父さんに差し出すと
「こんなにうまい酒は初めてだ。」と
お父さんは水を飲んだ。
不思議なことに川の水はお酒に変わっていた。
翌日、息子から事の次第を聞いたお父さんは、
「それほど私はお前を困らさせていたのか。」
と反省し、息子のために心を入れ替え、
以来、酒を飲むのをやめて、親子で楽しく
くらしたとさ。
崎田川は酒田川二つの呼び名がある。
この話が酒田川の由来となっている。
崎田川には260年前に琉球石灰岩を加工して
作られたアーチ型の石橋が現存している。
深い緑に囲まれ、物言わぬ重みを感じさせるその風格。
昔と変わらないであろう静寂を今も私たちに伝えている。
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