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都内の星空における電視観望の撮影条件

2023-10-16 00:12:07 | 機材
(1)概要
 次の機材を用いた電視観望の撮影条件を検討した。

 ・撮影対象(こと座)
  M57(環状星雲)[15,16]
 ・機材
  望遠鏡:MILTOL 200mm F4[1-2]
  イメージセンサ:Player One Neptune-C Ⅱ(SONY IMX464 1/1.8型 2712x1538 2.9μm)[3-5]
  フィルタ:Player One UV IR-CUTフィルター[6]
  架台:AZ-GTi赤道儀化マウント[12] 恒星追尾モード、プレートソルブと同期[14]
 ・画像処理
  パソコン:WindowsノートPC(Core i5 2.30GHz 、8GB、240GB-SSD)
  イメージキャプチャ:SharpCap4.0[7] Live Stack(fits)
  画像解析:マカリ[8-9] 画像演算(左右反転、回転)、グラフ機能
  画像補正:ASTAP[10] 自動カラー補正、αδ grid処理、Deepsky annotation処理、fits→jpg変換
  画像処理:ImageMagick[11] トリミング処理、append処理

(2)スタック数と輝度ばらつきの測定
a.マカリを用いた輝度測定方法(グラフ機能)


上:マカリを用いた輝度ばらつき測定例
  ここでは、背景の(輝度ばらつき)=(輝度最大値 - 輝度最小値)とした
  上記の輝度ばらつきは、約2,000であった
下:天体(M57)の輝度測定例
  ここでの天体の輝度レベルは、約10,000であった

b.Gain固定、露出固定の場合の測定結果

M57付近のトリミング画像例(480x640)
左:Gain 360, Exp. 4s, StackedFrames= 45, Total Exp. 180sec
中:Gain 360, Exp. 4s, StackedFrames= 75, Total Exp. 300sec
右:Gain 360, Exp. 4s, StackedFrames=135, Total Exp. 540sec


スタック数と輝度ばらつき測定例
※輝度ばらつき(イメージセンサのノイズ成分に相当)は、スタック数の-1/2乗に比例していることがわかる[23]
 ノイズ成分と同レベルの暗い天体を撮影する場合は、スタック数を増やし、ノイズを低減する手法が有効と考えられる。
 スタック数を増加する場合は、総露出時間が長くなるので、オートガイド技術の適用検討が必要である[17-18]。

c.総露出時間固定の場合の測定結果
総露出時間固定の場合に使用した撮影条件



M57付近のトリミング画像例(480x640)
左からGain 460, 420, 360, 320, 280の場合の順で配置
※上記の撮影条件の画像を比較したが、それらの画質の大きな差異は見られない


スタック数と輝度ばらつき測定例
※総露出時間固定の場合は、ノイズに相当する輝度ばらつきは、ほぼ一定となった
 これは、Gainを下げ、露出を長くすることは、スタック数を増加するのと同等のノイズ低減効果を有することを間接的に示唆している[28]。
補足:
 使用したイメージセンサは異なるが、同じ時間をかけるなら、露出時間を長くし、Gainも極力下げた方がスタック枚数は少なくても画質は良くなるという報告もある[20]。

d.都内の星空の輝度成分の推定

都内の星空の輝度成分推定値
※上記の測定結果より、都内の星空における、背景光、ノイズ、天体、それぞれの輝度成分を推定した
 都内の星空においては、背景光の成分が最も大きく、ノイズ成分(輝度ばらつき)は、前者に比較してかなり小さい(約1/20)。
 すなわち、都内の星空において暗い天体を撮影するためには、背景光を低減することが最も効果的である。
 具体的な背景光低減手段は、光学フィルタ(QBPⅢなど)の適用が有効と考えられる
 一方で、イメージセンサ冷却によるノイズ低減は、都内の星空においては、その効果が限定的(ノイズ成分がそもそも小さい)になる。

(3)まとめ
MILTOL200mmとNeptune-C Ⅱを用いた電視観望(Electrically-Assisted Astronomy:EAA)の撮影条件を検討した。
その結果、都内の星空においては、次の撮影条件が有効と考えられる。
 ・ノイズと同等レベルの暗い天体を撮影する場合は、スタック数を増やし、ノイズを低減する手法が有効である。
 ・暗い天体を撮影する場合は、必要以上にGainを上げず、露出時間を長めに設定したほうが、低ノイズの画像を得られる可能性がある。
 ・背景光を低減するために光学フィルタ(QBPⅢなど)を適用することが有効と考えられる。

参考文献:
(1)MILTOL 200mm F4レンズ
(2)テレスコープ 200mm F4レンズキット
(3)Neptune-C II USB3.0 Color Camera (IMX464)
(4)SONY IMX464LQR
(5)Player One - Cameras and Astrophotography
(6)S-series UV IR-CUT 1.25″ Filter
(7)SharpCap
(8)すばる画像解析ソフト-Makali`i-配布サイト
(9)マカリ:Makali`i 超入門編(マニュアル)
(10)ImageMagick
(11)ASTAP, the Astrometric STAcking Program
(12)AZ-GTi赤道儀化マウント-goo blog
(13)WindowsPC環境におけるプレートソルビング(10)-goo blog
(14)WindowsPC環境におけるプレートソルビング(11)-goo blog
(15)環状星雲-Wikipedia
(16)MILTOL200mmとNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影(182)-goo blog
(17)WindowsPC環境におけるオートガイド-goo blog
(18)WindowsPC環境におけるオートガイド(2)-goo blog
(19)ASI462MCの”Gain”の数値はいくつで使うのが最も効率が良いか
(20)ASI462MCが、単位時間当たり最高のパフォーマンスを発揮するGain数値は!?
(21)惑星撮影の条件設定を考える(拡大率vsゲインvs露光)
(22)CMOSカメラのカタログ値の読み方
(23)実画像のノイズ評価(その1): 各ノイズの貢献度合-ほしぞloveログ
(24)実画像のノイズ評価(その2): 露光時間の決定-ほしぞloveログ
(25)ドライブレコーダーに搭載されているSONYのイメージセンサーごとの特徴
(26)渡邉 耕平 著、”電視観望実践ガイドブック Ver 1.1”、サイトロンジャパン発行、2021年11月17日第二版発行.
(27)渡邉 耕平 著、根本 泰人 監修、”月・惑星撮影 実践ガイドブック Ver 1.0”、サイトロンジャパン発行、2023年6月24日.
(28)MAK127SPとNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影-goo blog
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トラベルスコープ70とNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影(53)

2023-10-16 00:04:30 | 星雲・星団
(1)トラベルスコープ70とNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影概要
 ・撮影対象(ペルセウス座)
  M76(小亜鈴状星雲)[20,23-24]
  NGC1245[21,23-24]
 ・機材
  望遠鏡:トラベルスコープ70 400mm F5.7[1-2] ※中古(ヤフオクで入手)
   ※接眼部追加:SVBONY SV108 1.25"ヘリコイドフォーカサー[3]
   ※アリガタ化:AstroStreet アリガタプレート 汎用スライドバー アリレール[4]
  イメージセンサ:Player One Neptune-C Ⅱ(SONY IMX464 1/1.8型 2712x1538 2.9μm)[5-7]
  フィルタ:Player One UV IR-CUT 1.25"[8]
  架台:AZ-GTi赤道儀化マウント[15] 恒星追尾モード、プレートソルブと同期[17]
 ・画像処理
  パソコン:WindowsノートPC(Core i5 2.30GHz 、8GB、240GB-SSD)
  イメージキャプチャ:SharpCap4.0[10] Live Stack(fits)
  画像解析:マカリ[11-12] 画像演算(左右反転、回転)
  画像補正:ASTAP[13] 自動カラー補正、αδ grid処理、Deepsky annotation処理、fits→jpg変換
  画像処理:ImageMagick[14] トリミング処理、append処理

(2)トラベルスコープ70とNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影結果

2023-10-05 23:04 M76
Neptune-C Ⅱ(UV IR-CUT), トラベルスコープ70 400mm F5.7
Gain 360, Exp. 10sec, WB(Auto)(B=251 G=0 R=412), 2712x1538, RAW16, StackedFrames=42, Total Exp. 420sec
※M76を自動導入後、プレートソルブと同期を実施(ASPSを使用)
※ASTAPを用い、FITS画像の自動カラー補正、αδ grid処理、Deepsky annotation処理(右画像)を実施


M76付近をトリミング(640x480)


2023-10-05 22:17 NGC1245
Neptune-C Ⅱ(UV IR-CUT), トラベルスコープ70 400mm F5.7
Gain 360, Exp. 10sec, WB(Auto)(B=271 G=0 R=422), 2712x1538, RAW16, StackedFrames=30, Total Exp. 300sec
※NGC1245を自動導入後、プレートソルブと同期を実施(ASPSを使用)
※ASTAPを用い、FITS画像の自動カラー補正、αδ grid処理、Deepsky annotation処理(右画像)を実施


NGC1245付近をトリミング(800x600)

・対物レンズ口径:70mm
・ドーズの分解能:1.65"
・イメージセンサ分解能:2.99"相当
(イメージセンサ画素ピッチ:2.9μm)
・倍率(FOV):x69(0.64°)

(3)まとめ
電視観望(Electrically-Assisted Astronomy:EAA)を目的に、トラベルスコープ70にNeptune-C Ⅱを取付け、AZ-GTi赤道儀化マウントに搭載して、直焦点撮影を試みた。
ここでは、ペルセウス座のM76、NGC1245の撮影を試みた。
都内の星空において、プレートソルビング技術を応用し、目的とする天体を望遠鏡視野へ導入し、また、ライブスタック機能を活用して、天体を撮影することを試みた。
さらに、撮影したFITS画像について、ASTAPを用いて自動カラー補正、αδ grid処理、Deepsky annotation処理を試みた。

参考文献:
(1)TRAVEL SCOPE 70 PORTABLE TELESCOPE
(2)CELESTRON 天体望遠鏡 Travel Scope 70 with Back Pack
(3)SVBONY SV108 1.25"ヘリコイドフォーカサー 焦点調節装置 フォーカサー リング付き
(4)AstroStreet アリガタプレート 汎用スライドバー アリレール
(5)Neptune-C II USB3.0 Color Camera (IMX464)
(6)SONY IMX464LQR
(7)Player One - Cameras and Astrophotography
(8)S-series UV IR-CUT 1.25″ Filter
(9)Quad BP フィルター III
(10)SharpCap
(11)すばる画像解析ソフト-Makali`i-配布サイト
(12)マカリ:Makali`i 超入門編(マニュアル)
(13)ASTAP, the Astrometric STAcking Program
(14)ImageMagick
(15)AZ-GTi赤道儀化マウント-goo blog
(16)WindowsPC環境におけるプレートソルビング(10)-goo blog
(17)WindowsPC環境におけるプレートソルビング(11)-goo blog
(18)今日のほしぞら
(19)Stellarium-Web
(20)M76 (天体)-Wikipedia
(21)NGC 1245-Wikipedia
(22)【天体観測】ペルセウス座の散開星団NGC1245を撮影してみた
(23)ペルセウス座-Wikipedia
(24)山田 卓 著、肉眼・双眼鏡・小望遠鏡によるほしぞらの探訪<<新装版>>、発行所 地人書館、2017年4月15日新装版第1刷、pp.248-254.
(25)メシエ天体-NAOJ
(26)カテゴリー 星雲・星団-KIMUKAZU blog
(27)トラベルスコープ70とSV905Cを用いた直焦点撮影(18)-goo blog
(28)R100SとNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影(16)-goo blog
(29)入手しやすいTravel Scope 70での電視観望のテスト
(30)電視観望入門(その1): 機材など
(31)【電子観望をさらに快適に】 SharpCap + AZ-GTi でプレートソルビング
(32)【プレートソルビング】 All Sky Plate Solver のインストール方法
(33)プレートソルビングが失敗する場合の解決策 まとめ
(34)(多分)一番シンプルなプレートソルブ-ほしぞloveログ
(35)プレートソルブトラブル解決集-ほしぞloveログ
(36)AZ-GTiでのプレートソルブのトラブル解決決定版-ほしぞloveログ
(37)PC版「SynScanPro」新しいバージョンがリリースされました(追記)
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