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都内の星空における電視観望の撮影条件(2)

2023-10-25 05:31:26 | 機材
(1)概要
 次の機材(QBPⅢフィルタ使用)を用いた電視観望の撮影条件を検討した。

 ・撮影対象(こぎつね座)
  M27(亜鈴状星雲)[15,16]
 ・機材
  望遠鏡:MILTOL 200mm F4[1-2]
  イメージセンサ:Player One Neptune-C Ⅱ(SONY IMX464 1/1.8型 2712x1538 2.9μm)[3-5]
  フィルタ:Quad BP フィルター Ⅲ[6]
  架台:AZ-GTi赤道儀化マウント[12] 恒星追尾モード、プレートソルブと同期[14]
 ・画像処理
  パソコン:WindowsノートPC(Core i5 2.30GHz 、8GB、240GB-SSD)
  イメージキャプチャ:SharpCap4.0[7] Live Stack(fits)
  画像解析:マカリ[8-9] 画像演算(左右反転、回転)、グラフ機能
  画像補正:ASTAP[10] 自動カラー補正、αδ grid処理、Deepsky annotation処理、fits→jpg変換
  画像処理:ImageMagick[11] トリミング処理、append処理

(2)スタック数と輝度ばらつきの測定
a.マカリを用いた輝度測定方法(グラフ機能)


上:マカリを用いた輝度ばらつき測定例
  ここでは、背景の(輝度ばらつき)=(輝度最大値 - 輝度最小値)とした
  上記の輝度ばらつきは、約2,000であった
下:天体(M27)の輝度測定例
  ここでの天体の輝度レベルは、約11,000であった

b.Gain固定、露出固定の場合の測定結果

M27付近のトリミング画像例(480x640)
左 :Gain 440, Exp. 4s, StackedFrames= 15, Total Exp. 60sec
中左:Gain 440, Exp. 4s, StackedFrames= 45, Total Exp. 180sec
中右:Gain 440, Exp. 4s, StackedFrames= 75, Total Exp. 300sec
右 :Gain 440, Exp. 4s, StackedFrames=135, Total Exp. 540sec


スタック数と輝度ばらつき測定例
※輝度ばらつき(イメージセンサのノイズ成分に相当)は、スタック数の-1/2乗に比例していることがわかる[23]

c.総露出時間固定の場合の測定結果
総露出時間固定の場合に使用した撮影条件



M27付近のトリミング画像例(480x640)
左からGain 440, 400, 360の場合の順で配置
※Gainの低い方が低ノイズの傾向がありそうである


スタック数と輝度ばらつき測定例
※総露出時間固定の場合は、ノイズに相当する輝度ばらつきは、ほぼ一定となった

d.都内の星空の輝度成分の推定

都内の星空の輝度成分推定値
※上記の測定結果より、都内の星空における、背景光、ノイズ、天体、それぞれの輝度成分を推定した
 都内の星空においては、背景光の成分は、QBPⅢフィルタを使用すると、使用しない場合の約2/3程度に低減した[29]。
 QBPⅢフィルタを使用しても、背景光の成分はノイズ成分より約10倍程度大きいため、イメージセンサ冷却によるノイズ低減効果は限定的と予想される。

(3)まとめ
MILTOL200mmとNeptune-C Ⅱを用いた電視観望(Electrically-Assisted Astronomy:EAA)の撮影条件を検討した。
その結果、都内の星空においては、次の撮影条件が有効と考えられる。
 ・背景光を低減するために光学フィルタ(QBPⅢ)を適用し、その効果を確認した。
 ・ノイズと同等レベルの暗い天体を撮影する場合は、スタック数を増やし、ノイズを低減する手法が有効である。
 ・暗い天体を撮影する場合は、必要以上にGainを上げず、露出時間を長めに設定したほうが、低ノイズの画像を得やすい。

参考文献:
(1)MILTOL 200mm F4レンズ
(2)テレスコープ 200mm F4レンズキット
(3)Neptune-C II USB3.0 Color Camera (IMX464)
(4)SONY IMX464LQR
(5)Player One - Cameras and Astrophotography
(6)Quad BP フィルター III
(7)SharpCap
(8)すばる画像解析ソフト-Makali`i-配布サイト
(9)マカリ:Makali`i 超入門編(マニュアル)
(10)ImageMagick
(11)ASTAP, the Astrometric STAcking Program
(12)AZ-GTi赤道儀化マウント-goo blog
(13)WindowsPC環境におけるプレートソルビング(10)-goo blog
(14)WindowsPC環境におけるプレートソルビング(11)-goo blog
(15)亜鈴状星雲-Wikipedia
(16)MILTOL200mmとNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影(183)-goo blog
(17)WindowsPC環境におけるオートガイド-goo blog
(18)WindowsPC環境におけるオートガイド(2)-goo blog
(19)ASI462MCの”Gain”の数値はいくつで使うのが最も効率が良いか
(20)ASI462MCが、単位時間当たり最高のパフォーマンスを発揮するGain数値は!?
(21)惑星撮影の条件設定を考える(拡大率vsゲインvs露光)
(22)CMOSカメラのカタログ値の読み方
(23)実画像のノイズ評価(その1): 各ノイズの貢献度合-ほしぞloveログ
(24)実画像のノイズ評価(その2): 露光時間の決定-ほしぞloveログ
(25)実画像のノイズ評価(その3): 信号について-ほしぞloveログ
(26)ドライブレコーダーに搭載されているSONYのイメージセンサーごとの特徴
(27)渡邉 耕平 著、”電視観望実践ガイドブック Ver 1.1”、サイトロンジャパン発行、2021年11月17日第二版発行.
(28)渡邉 耕平 著、根本 泰人 監修、”月・惑星撮影 実践ガイドブック Ver 1.0”、サイトロンジャパン発行、2023年6月24日.
(29)都内の星空における電視観望の撮影条件-goo blog
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トラベルスコープ70とNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影(62)

2023-10-25 00:02:31 | 星雲・星団
(1)トラベルスコープ70とNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影概要
 ・撮影対象(カシオペヤ座)
  NGC7789[20,23-24]
 ・機材
  望遠鏡:トラベルスコープ70 400mm F5.7[1-2] ※中古(ヤフオクで入手)
   ※接眼部追加:SVBONY SV108 1.25"ヘリコイドフォーカサー[3]
   ※アリガタ化:AstroStreet アリガタプレート 汎用スライドバー アリレール[4]
  イメージセンサ:Player One Neptune-C Ⅱ(SONY IMX464 1/1.8型 2712x1538 2.9μm)[5-7]
  フィルタ:Player One UV IR-CUT 1.25"[8]
  架台:AZ-GTi赤道儀化マウント[15] 恒星追尾モード、プレートソルブと同期[17]
 ・画像処理
  パソコン:WindowsノートPC(Core i5 2.30GHz 、8GB、240GB-SSD)
  イメージキャプチャ:SharpCap4.0[10] Live Stack(fits)
  画像解析:マカリ[11-12] 画像演算(左右反転、回転)
  画像補正:ASTAP[13] 自動カラー補正、αδ grid処理、Deepsky annotation処理、fits→jpg変換
  画像処理:ImageMagick[14] トリミング処理、append処理

(2)トラベルスコープ70とNeptune-C Ⅱを用いた直焦点撮影結果

2023-10-06 21:47 NGC7789
Neptune-C Ⅱ(UV IR-CUT), トラベルスコープ70 400mm F5.7
Gain 360, Exp. 10sec, WB(Auto)(B=267 G=0 R=417), 2712x1538, RAW16, StackedFrames=42, Total Exp. 420sec
※NGC7789を自動導入後、プレートソルブと同期を実施(ASPSを使用)
※ASTAPを用い、FITS画像の自動カラー補正、αδ grid処理、Deepsky annotation処理(右画像)を実施

・対物レンズ口径:70mm
・ドーズの分解能:1.65"
・イメージセンサ分解能:2.99"相当
(イメージセンサ画素ピッチ:2.9μm)
・倍率(FOV):x69(0.64°)

(3)まとめ
電視観望(Electrically-Assisted Astronomy:EAA)を目的に、トラベルスコープ70にNeptune-C Ⅱを取付け、AZ-GTi赤道儀化マウントに搭載して、直焦点撮影を試みた。
ここでは、カシオペヤ座のNGC7789の撮影を試みた。
都内の星空において、プレートソルビング技術を応用し、目的とする天体を望遠鏡視野へ導入し、また、ライブスタック機能を活用して、天体を撮影することを試みた。
さらに、撮影したFITS画像について、ASTAPを用いて自動カラー補正、αδ grid処理、Deepsky annotation処理を試みた。

参考文献:
(1)TRAVEL SCOPE 70 PORTABLE TELESCOPE
(2)CELESTRON 天体望遠鏡 Travel Scope 70 with Back Pack
(3)SVBONY SV108 1.25"ヘリコイドフォーカサー 焦点調節装置 フォーカサー リング付き
(4)AstroStreet アリガタプレート 汎用スライドバー アリレール
(5)Neptune-C II USB3.0 Color Camera (IMX464)
(6)SONY IMX464LQR
(7)Player One - Cameras and Astrophotography
(8)S-series UV IR-CUT 1.25″ Filter
(9)Quad BP フィルター III
(10)SharpCap
(11)すばる画像解析ソフト-Makali`i-配布サイト
(12)マカリ:Makali`i 超入門編(マニュアル)
(13)ASTAP, the Astrometric STAcking Program
(14)ImageMagick
(15)AZ-GTi赤道儀化マウント-goo blog
(16)WindowsPC環境におけるプレートソルビング(10)-goo blog
(17)WindowsPC環境におけるプレートソルビング(11)-goo blog
(18)今日のほしぞら
(19)Stellarium-Web
(20)NGC 7789-Wikipedia
(21)NGC7789
(22)大きな散開星団NGC7789
(23)カシオペヤ座-Wikipedia
(24)山田 卓 著、肉眼・双眼鏡・小望遠鏡によるほしぞらの探訪<<新装版>>、発行所 地人書館、2017年4月15日新装版第1刷、pp.225-230.
(25)銀河系内の星雲・星団-NAOJ
(26)カテゴリー 星雲・星団-KIMUKAZU blog
(27)トラベルスコープ70とSV905Cを用いた直焦点撮影(15)-goo blog
(28)NEWスカイステージとSV905Cを用いた直焦点撮影(70)-goo blog
(29)入手しやすいTravel Scope 70での電視観望のテスト
(30)電視観望入門(その1): 機材など
(31)【電子観望をさらに快適に】 SharpCap + AZ-GTi でプレートソルビング
(32)【プレートソルビング】 All Sky Plate Solver のインストール方法
(33)プレートソルビングが失敗する場合の解決策 まとめ
(34)(多分)一番シンプルなプレートソルブ-ほしぞloveログ
(35)プレートソルブトラブル解決集-ほしぞloveログ
(36)AZ-GTiでのプレートソルブのトラブル解決決定版-ほしぞloveログ
(37)PC版「SynScanPro」新しいバージョンがリリースされました(追記)
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