目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「カポーティ」 冷たい情熱

2006年10月15日 | 映画タイトル か行
フィリップ・シーモア・ホフマン(略してPSH)が
アカデミー賞主演男優賞を獲得した映画。
事前に「冷血」も読んで準備はオッケー。
(感想はコチラ

「カポーティ」(CAPOTE・2005年・アメリカ)

カンザスで起こった一家4人惨殺事件の記事に目を留めた
ニューヨークの作家トルーマン・カポーティ。
古くからの友達のネル・ハーパー・リー(キャスリーン・キーナー)を
ともなって現地に赴き、関係者への取材を続ける。
やがて2人の若者が逮捕され、そのうちの1人、
ペリー・スミスに関心をもったカポーティは彼に接近していく。

彼が書き上げたノンフィクション・ノベル「冷血」。
もちろん映画では、この小説を執筆する
カポーティの心理がじわじわと描かれるので、
カポーティが惹かれたペリーの人となり、生い立ち、
繊細さ、芸術を愛する心などは詳しく描かれていません。
それでも、十分 強烈な印象を残すペリーでした。
(演じたクリフトン・コリンズJr、すごい)

作家というのは 自分の心血を注いで、
まるで機織りの鶴のように身(精神)を削って作品を
作り上げていくものなのでしょうか。
ペリーの生い立ちや孤独に自分を重ね、
友として話をし、優秀な弁護士をつけてやる。
その反面、格好の取材対象として冷ややかな目で
彼をみつめ、嘘をつき、物語のエンディングとしての
死刑執行を望む自分。
”冷血”とは自分のことなのではないのか・・・
だから ペリーにタイトルを告げることができなかったのでは??

その日を迎えるカポーティの気持ちが伝わってきます。

実在の人物を描いた映画はいろいろありますが、
比較的最近まで存命だった人の映画は、
遺族との関係や、色々な問題からか 観終わって
ちょっと不完全燃焼な気持ちになることが
あるのですが、この映画は、
カポーティの気持ちに共感できたし、風変わりで異端児だった
彼のことが 少しわかった気がします。
ほかの作品を読んでみたいと思いました。

フィリップ・シーモア・ホフマン、ウマイですね。
喋り方、しぐさ、すべてなりきっていたのだと思うけど
そういうテクニックは、内面を追っていった結果、
にじみ出てくるもののように自然に感じられました。

”男前”なキャサン・キーナーもよかったです。
(「40歳の童貞男」とぜんぜん違った(笑))
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20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
同感です! (choro)
2006-10-16 06:21:48
全く同じような感想を持ちました。

自分自身のことで追い込まれてしまうカポーティをホフマンは本当に上手く演じてましたよね。

才能のある人ならではの葛藤ですが、せつなかったです。

TBお返しさせてくださいね
返信する
実はその後も。。 (Cartouche)
2006-10-16 13:40:09
そうですね。私も思いました。”冷血”って結局自分のこと。渾身の力を振り絞って書きこれ以降、悩んで書けなくなってしまった。。ということなので同情してましたがこれが又違う。今伝記を読んでますが、ケロリとして舞踏会開いたり、ヨーロッパに遊びに行ったり。。と相変わらずです。
返信する
ほほー。 (こちゃん)
2006-10-16 15:11:54
kinoさんはこの映画からシッカリと

彼の色んな感情を汲み取ることが出来たのですね。

フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は

やっぱ押さえておきたいよね。
返信する
秋ですね (エミリア)
2006-10-16 22:40:35
お久し振りです。

映画からちょっと遠ざかっているので

なかなか来れませんでしたが

秋は私の恋の季節



はい、ロンドンのケヴィに会いに行って参りました。

今年は事前のリハーサルが効して

出待ちはバッチリ!!

握手&サイン&お喋りとてんこ盛りで

帰宅した今、あれは夢だったのでは?

半信半疑です



今回はフィッシュ&チップスの初体験!

濃い&でかかったですぅ
返信する
作家って (☆kino)
2006-10-16 23:23:34
>choroさん

作家って大変な商売ですよね・・・。

PSHの乗り移り演技はすごかった!

彼も完璧な人間じゃなかっただけに、なんだか同情してしまう部分もあって・・・



>Cartoucheさん

と思ったら、これ以降 全くふさぎこんでしまった、

とかじゃないんですよねー。作品として完結はしてないみたいだけど

書いてはいたみたいだし・・・。

彼自身のことが書かれた伝記も読んでみたいなと思いました。



>こっちゃん

見て楽しい映画じゃないけどねー。

でも、見ごたえある映画でした。

PSHって 嫌なヤツが似合う。



>エミリアさん

わーお!ロンドン日帰りの旅、実り多かったようで

おめでとうございます!!

握手&サイン、そしてお喋り!!すごーい!

レポ早くUPしてください!!



フィッシュ&チップス、美味しそうだったわぁ。

返信する
トラバありがとうございます! (re_re)
2006-10-17 00:45:22
私もさせていただきました~



私、実はまだ小説の方の「冷血」を読んでません☆

映画を先に観ました。

でも、それでも充分、カポーティの背景とか、苦難とか、

ぐるぐるした行き場のない思いがびしばし伝わってきました。

それもこれも、PSH(この略、楽ですね(笑)♪)の演技の

完成度が高いからですよね。

ますますPSHが好きになりました
返信する
PSH! (☆kino)
2006-10-20 01:47:16
>re_reさん

パンフを見て、ダンナがPSHが自分を同い年なことを知り

驚愕していました(笑)見えん!!

PSHのなりきり演技はすごかったですね。

マイナーなオタクっぽい役も好きだけど、

お金持ちでイヤミなヤツ、ってのも(「リプリー」)

ハマってていいなぁ。
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やばいやばい;;; (Kim)
2006-10-23 12:21:01
先週末も遠くまでジェームズ・フランコくんを観にいって(笑)、結局本作は観れらず仕舞。

Kinoさんも楽しまれたようだし、私も早く観に行かなきゃ終わっちゃう;;;

返信する
時間がないっ (☆kino)
2006-10-23 21:56:32
>Kimさん

ははは 見たい映画を優先するのは当たり前。

私も見たいのいっぱいなのに「オペラ座の怪人」見てるし(笑)

この映画、話が面白いー!ってもんでも、カポーティの知名度が

それほどあるわけでもないせいか、あまり話題になってないんだろうか??

注目してるのは映画好きくらいだよね・・・たぶん。
返信する
満員でした。 (sabunori)
2006-10-26 16:47:17
客入ってますね。

私が観た回はもちろん満員で特に60代くらいの男性が多かったです。

キャサリン・キーナーの全てを見透かしたようなドッシリ感が素晴らしかったです。

彼女って何者なの?と思っていたのですが「アラバマ物語」の原作者だったんですね。

こちらもすごいわ。
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