「間宮兄弟」 江國香織

5月13日から公開の映画「間宮兄弟」の予告を先日観たら　
映画の方もおもしろそうだったので、前に読んだ原作を読み返しました。

「間宮兄弟」　江國香織（小学館）

30過ぎて独身の男兄弟、明信と徹信は、仲良く二人暮ししている。

酒造メーカー勤務の兄・明信は、キッチリしてて　引っ込み思案で
目が笑ってなくて　休日にもワイシャツにチノパン、布地のベルトを
ぎゅーっと締めているような男。

小太りの弟・徹信は　小学校職員。
思い込みが激しくて押しが異常に強い。
二人そろって、女性には　”ありえない・キモイ・オタク”　と
言われるタイプで　恋愛には縁がない。

でも、彼らはきちんと充実した毎日を送っていて、
お母さんを大事にしてるし、年中行事だって大事にしてる。
贔屓の野球チームの試合をスコアをつけながらテレビ観戦したり
”読書日”と決めて2人それぞれ　夢中で本を読んだり、
ジグソーパズルを”おもしろ地獄”と呼んで　週末に熱中したり。

そんな彼らの部屋に　若い女性を招くことに！
興奮した彼らは　万全の準備を整える・・・


江國さんというと、生活臭のない　こじゃれた物語が多いんだけど、
この物語は、やけに生々しくリアルな変わり者兄弟が主人公。
あー　わかるわかる！！おるおる！！って感じです。
いつもの、妙にクールでカッコイイ人たちは脇役。

姉妹っていいなーと思うけど、こんな兄弟もいいよなぁ。
生活を楽しんでる。
一緒にビデオを見たり、ジグソーパズルしたり。
彼らは自分が　周囲の人間にどう思われてるか　自覚もあるわけで、
それも今までの人生経験でふまえたうえで　人と付き合ってる。
特に会社員である”にいちゃん”は。
それが　ちょっと切なかったり、痛かったりするんだけど、
無駄に傷つくよりはいいかな、って思ってるみたい。

そんな彼らは　周りに思い込みで迷惑をかけたり、
振り回されたりしながら、平凡で楽しい毎日を過ごしています。
きっといつか　幸せもやってくるよ、うん。
だって、間宮家に招かれた女性達、みんな　なんだか
楽しくて懐かしいような時間を過ごしてるんだもの。

小説の中には、2人が好きな映画のタイトルもいろいろ出てきます。
なかなかシブイ趣味してる？！

映画の方は、脚本・監督　森田芳光。
兄弟は兄・佐々木蔵之介、弟・塚地武雅（ドランクドラゴン）。
（堺雅人さんが”にいちゃん”演ったら　ピッタリだったのにー？！）

お母さんが中島みゆきには驚いた（笑）　でも、似合うと思う。

ドタバタになってしまったらイヤだな。
静かに満ち足りた平凡な毎日の　あったかい様子を描いてほしいです。

映画「間宮兄弟」公式サイト