
「ユーラリア国騒動記」A・A・ミルン
いい意味で裏切られる展開。
先が読めん~。
ユーラリア国の、のどかで爽やかな朝食風景。
王と姫の食卓をバローディア国王が魔法の七里靴で飛び越えたのが原因。
って何の原因か?
もちろん、戦争。。。
言いがかりで始まる戦争、多いなぁ。
国王同士の意思の疎通下手も原因だすけど。
使いの者の耳に赤インクで“戦争”と書いた紙切れをピンで止め、帰すってのも、笑える。
戦いはついに君主同士の一騎打ちに。
これが延々と続いたあげく、妙なアイデアで決着。
それ、ずるいんと違う?妙案って?…かなり腑に落ちない勝利。
ユーラリアの伯爵夫人がくせ者で、
権力が欲しい病甚だしいポエマー。
詩作とのっとり、同時進行。。。
施しをする己の姿にうっとりしてしまうドリーマー。
心細い姫がユードー王子に助けを求めるも、
旅の途中で(自分の意思と関係なく)変身してしまい。
うさぎ、のような。ライオン、のような。ヒツジ、のような生き物に!
ユーラリアに辿りつくも、城は大騒ぎ。
人助けどころじゃない王子の最大の悩み─何を食べればいいんだろう…?
って、そうきましたかー!!
ん、まぁ結局オランダガラシのサンドイッチに落ち着く。
すったもんだがあったものの、王子は元の姿に。
ところが…それからが本当のすったもんだの始まり。。。
“はじめて王子の本当の姿を見た瞬間は、それまでの姿とは格段の差があったので、
王子の姿が、王女の思い描いていた若々しく美しい王子とほとんど変わりなく見えました。
その後は分刻みにその姿から遠のいていきました。
顔はうっとうしいし、態度は大きすぎます。
それに、いずれはぶくぶくと太るタイプでしょう。”
こりゃ酷い。
が、しか~し。
実は王子はたいした事ないお人柄。
姫の相手には、頭が良くて素敵なコロネル公爵というのがちゃんと出てきます。
もちろんハッピーエンドで完結。
ちょっとしたオチも味つけに。
確かにユーモラスではあるが。
ちょい物足りない部分も。
毒気は少なめ、のんびりしてます。
もともと‘ちいさな劇’として書かれただけあって。
舞台にすると、演出次第で色々と楽しめそう。
子供も大人も楽しめる劇になるだろうーな。
伯爵夫人の描かれ方がワザあり。
悪役にし過ぎずに、でも相当な悪い考えに取り付かれた人。
実際に行動しちゃってるし、明らかにやり過ぎな人ではあるものの。
なんとなく許されてしまう不思議。
実に巧妙に人物を創ってます。
何事も、そのまま進んだら大変!な状況を上手く迂回するストーリーテリング。
そういや、ミルンの自叙伝が読んでみたいなぁ。
本文中に出てきたアップル・パイのベッド(学生がイタズラにする、
足を充分伸ばせないように敷布をたたんだ寝床)…
超気になる!
“「おまえはあんまりりこうなやつとは結婚しなかったな。
わしは、午後、自分で思っていたほど自分がりこうでないことを発見したんじゃ」
「王さまはりこうでなくてよろしいのよ」愛情をこめて王にほほえみかけながら言いました。
「夫というものもね」
「では、おまえはなにを期待しているんだね?」
「深い愛情ですわ」”