木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《ファウスト》

2013-03-17 01:36:12 | 日記


『ファウスト』(2011年ロシア)

幻想的に描く…というか、幻想そのもの。
なんとなくクエイ兄弟の『ベンヤメンタ学院』(1995年)を思い出す。

人体を解剖するファウスト博士。
魂はどこだ…?

探求者が悪魔の罠にはまり。
欲望に負け、魂と引き換えにマルガレーテを手に入れる。
思いを遂げた後に待っていたのは、永遠のさすらい。。。

(たとえCSI慣れしてても)人体解剖には若干、ギョっとする。
高利貸のグロテスクな姿に、一瞬、眠気が吹っ飛ぶ。
そして、マルガレーテの身体。
迷い無く肉を描く潔さ。

不気味さ、危うさ、異様さが漂う。
医療というか、人体に対する昔の不確かさが不安を煽る。

悪夢には違い無いが、いったい誰の悪夢なのか?
ファウスト博士は、欲望に溺れた中年オヤジなのか?
飽くことを知らない探求者なのか?
そもそも、魂の存在を信じてるんだか?
悪魔の事は信じてるみたいですけど、ね。
尻尾のある高利貸の説得力か?

なんか、ある意味『プロメテウス』(2012年)よりプロメテウスな映画。

原作読んでないもんで、どれだけ違うのか分からん。
という訳で、どう解釈してこうなったのかも不明。
読むしかないかぁ?ゲーテ…
読む気になるよう、ものぐさなりに、いじらしい努力はしようっと。


『ファウスト』(2011年ロシア)
監督・脚本:アレクサンドル・ソクーロフ、原案:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ『ファウスト』、
脚本:マリーナ・コレノワ、撮影:ブリュノ・デルボネル、音楽:アンドレイ・シグレ
出演:ヨハネス・ツァイラー、アントン・アダシンスキー、イゾルダ・ディシャウク、ゲオルク・フリードリヒ、ハンナ・シグラ