ココが来て、竜が来た。

ココが来て、ちょうど４ヶ月。
竜が来て、ちょうど１ヶ月。

嬉しいことに、ココも竜もすっかり馴染んで、落ち着いた日々を過ごしている。

ムギとココはとても仲良し。
ココと竜も仲良し。
竜とムギは…それなり。





竜が来た当時、ムギは竜を見て吼えた。威嚇した。
一時は隔離しようかとも考えたが、これからの長い日々を思い、頑張る事にした。

竜はムギに対して何の感情もない。
ムギだけが竜を嫌っている。ムギの方だけに問題がある。

ムギは、メグの死、ココの受け入れ、竜の受け入れと、半年も経たないのにめまぐるしい環境の変化を耐えてきた。

ムギを叱りたくない。


竜がムギに近づく…唸る。
そこで、すかさず「ムギ良い仔だね～♪ムギは可愛いね～♪♪♪いい仔いい仔ムギはいい仔！可愛いね～♪おりこうさんだね～♪竜ちゃんも可愛いね～♪」

ムギを叱りたくない。ムギを怒りたくない。その一心であった。

ムギを褒めて褒めて褒めちぎった。
ムギが吼える隙を与えず、褒めまくる。
ブルブル震えながらも我慢するムギ。
ムギを抱き上げて、最大級に褒めて身体を撫でまくる。
１日、何回もそれを繰り返した。





３日目頃からムギは竜を無視した。
そばに来ても吼えない、唸らない、我慢してない。
無視しているというよりは、自然にしている。
が、自分からは近寄らない。　
それで良いと思っている。
それがムギの精一杯だから。

今、ココの事で困る事は何もない。（心配な事はあるが）
今、竜の事で困る事は何もない。（心配な事はあるが）





竜は、変わった。
超高速スピンをしなくなった。
抱かれた腕から飛び出すこともなくなった。

良いか悪いか分からないが…竜の記憶の中からスピンを消してあげたいと思った。
スピンすることでストレスを解消しているのなら良いが、そうではなさそう。

回りだしたら抱き上げる。回りだしたら抱き上げる。
抱き上げたら、身体を撫でる。耳の下。首の後ろ。あご。のど。足。手。肉球。
ゆっくり撫でてやると９０％の確立で大人しくなった。
１ヶ月経った今、おかあちゃんの指は竜が睡魔に襲われている時だけ犬歯に到達している。

口の中に到着するのはいつだろうか？　何年かかるか？　ン十年かかるか？
竜よ、楽しみにしているね。