押し花展の終わる頃に風邪を引いてしまったおかあちゃんは、体調が悪いのを言い訳に、そのままダメ主婦に突入。
部屋の隅はワタボコリ、お家の前は枯葉が舞って、階段には何日も前の洗濯物が仕舞われないまま置いてある。
でも、綺麗なギボウシの葉っぱが届いたため、「押さねば!押さねば!」と、作業台を片付け始めた。
その時…
「あっ!」おかあちゃんは、家にあってはならない物を見つけてしまった。
御苑のアートギャラリーの備品である画鋲が1箱おかあちゃんの道具箱に紛れ込んでいた。
「さあ、タイヘン!」
御苑は、国が管理している所。
備品の画鋲も税金で賄っている筈。
知らずに持ち帰ったとしても、重大事件!
おかあちゃんは、画鋲を持って御苑に行くことにした。
ギボウシと、可愛いお花がたくさん詰まった袋をお花用の冷蔵庫に仕舞い。
ムギに、「メグちゃんに会いたい?」と聞いた。
ムギは、「別に…」と言ったのに、おかあちゃんには「ウン!」と聞こえたらしい。^^;
気がついたら、ムギは大木土門の駐車場にいた。
あらら~!おかあちゃんはうっかりで失敗!
今日は、月曜日で御苑は閉館日。
大木土門から新宿門へ続く散歩道は閉鎖されていた。
「う~ん、散歩道に行けばメグちゃんが遊んでいるかと思って…」
でも、反対側のアスファルトの道をムギは右に左にクルクルしながら歩いた。
「はぁはぁ~、ハァハァ~、」頑張った。
御苑のおねさんが、画鋲を受け取ってから、
ムギを見つけて「かわいぃぃぃ~♪可愛いぃ♪」とイッパイ撫でてくれた。
綺麗なお姉さんが好きなボクは嬉しくて、帰りもくるくる回りながら歩いた。
「おかあちゃん、またこようね~♪」
「ムギ、またこようね~♪」
帰りの車の中で、おかあちゃんは「虹の橋」の歌をリピートで流し続けた。
「メグは、虹の橋で幸せに暮らしているんだね。
夢にも出てこないし、御苑にもいないみたいだし…」