SIDEWALK TALK

俺はくたばりはしない

Boris_vianボリス・ヴィアン (Boris Vian, 1920~59)
というアーティスト -僕は殊更にボヘミアンと呼びたい- がいる。

フランスの作家で、小説家・詩人・翻訳家・音楽評論家…etc 、
多岐にわたる執筆活動を展開した。


ヴィアンには別のペンネームがあり、
ヴァーノン・サリヴァン(Vernon Sullivan)と称して、
通俗的でバイオレンスなハードボイルド小説を発表した。
サリヴァンは脱走兵の黒人 -ヴィアン自身は白人- というプロフィール設定になっていた。


ヴィアンは多才な人で、音楽でもその才能を開花させた。
作詞作曲はもちろん、ジャズ・トランペッターとしても名を馳せ、
僕は聴いたことはないが、シャンソン歌手としても活動していたらしい。


僕にボリス・ヴィアンの存在を教えてくれたのは、佐野元春だ。
1989年リリースの佐野さんのアルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』に、
「陽気にいこうぜ」というストレートなロックナンバーが収録されている。
この「陽気にいこうぜ」は、ボリス・ヴィアンに捧げられている。


リリックのなかの
「俺はくたばりはしない」
「命は短い 恋をしよう」
などといった、ヴィアン的なラインが心地いい。


佐野さん曰く、
「陽気にいこうぜ」は「ハッピーマン」の続編的ナンバー
らしいけど、僕にはそう響かない。
「陽気にいこうぜ」の主人公は、「ハッピーマン」みたいに無邪気じゃなく、
よりシリアスで、木で鼻をくくったような男だと思う。


ヴィアンは心臓に持病があり、ずっと不整脈に苦しんでいた。
余技でしかないトランペットを吹くことは、
ヴィアンの心臓にとってマイナス以外の何ものでもなかったが、
彼はまったく意に介さなかった。
「40歳までに死ぬ」と自身の寿命を規定し、それを公言していたヴィアンだが、
実際にその命は39歳で尽きてしまった。


詳細は省くが、死因は心臓発作で、
サリヴァン名義の小説『墓に唾をかけろ: J'irai cracher sur vos tombes』が映画化され、
その試写会がはじまって数分後に発作が起こった。
最後の言葉は、怒り満ちていて、
「こいつらはアメリカ人になったつもりなんだろうか?バカにしやがって!」
だった。


ヴィアンのスノッブ的なところはどうも好きになれないけど、
僕も、ヴィアンのように音楽と薔薇を愛して、陽気にタフに生きていきたい。
最近スランプ気味だから、自分に喝を入れるつもりできょうのエントリーを書いた。


陽気にいこうぜ 夜が明けるまで

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コメント一覧

milo
 mfさんこんにちは。くどいですかね?
 mfさんこんにちは。くどいですかね?

 そうですね、フランス文化人て、アンチ米国ですね。ゴダールもアメリカ嫌いみたいですよ。でもって、古いアメリカ映画は好きな方らしくて、その辺のジレンマが面白かったりするんですけどね。
 ボリス・ヴィアン機会があったら、本なりCDなり、何でも手にしてみたいと思います。
mf >> milo さん
こっちにもレスポンスいただき、ありがとうござい...
http://www.kiribako.net/
こっちにもレスポンスいただき、ありがとうございます。
  
セルジュ・ゲンスブール。
元祖ちょいワルおやじでしょうか?
いや、真性不良おやじかな?
シャルロット・ゲンスブールのパパですね。
  
俄知識だから的外れだと思いますが、
ゴダールにしろ、ヴィアンにしろ、ゲンスブールにしろ、
フランス中華思想というか、アンチ米文明(文化)みたいな反骨が根にあるような印象です。
この論評は彼らには受け入れがたいものでしょうけどね。
  
商業主義に背を向けて、オリジナリティやオルタナティヴを貫こうとすると、
自然、反社会的にならざるを得ないでしょう。
milo
 mfさんこちらからこんにちは。
 mfさんこちらからこんにちは。
 ボリス・ヴィアン。名前は知っていたのですが、ではどんな人?といわれると小手に窮する僕ですが、とても簡潔にどんな人かまとめていただき、よくわかりました。なるほどね不整脈だったんですか。
天才というのはこうなんか、健康上の理由なんかで亡くなったりするんですね。
 僕は無知なのですが(自慢できるわけじゃないんだけど)、ボリス・ヴィアンが出たら、セルジュ・ゲンスブールは出てこないのでしょうか?ゲンスブールは、音楽に限定されてしまうのかな?
 フランス文化って面白いですね。こんな多彩な人まで出てくるんですからね。
mf >> うさたろう さん
うさたろう さん、コメントありがとうございました!
http://www.kiribako.net/
うさたろう さん、コメントありがとうございました!
  
第二次世界大戦前後のヨーロッパには、いわゆる「ボヘミアン」と呼ばれる芸術家(作家・詩人・画家・音楽家・彫刻家…etc)がたくさんいて、
各地からパリに集まって、地下のカフェで芸術論を闘わせたり、戦争に向かっていく社会を批判したり、自由について語ったりしてたそうです。
僕は、このパリに集っていたボヘミアンがスキなんですよね。
  
ボリス・ヴィアンがそういうボヘミアンだったかどうかは知らないんですが、
興味深い作家のひとりです。
理屈抜きに、カッコイイんですよね!
うさ
こんにちは!
こんにちは!

…お婆ちゃんの知恵袋を秘かに謳っているくせに、社会潮流の常識情報に極度に疎い私。
恥ずかしながら、全然知りませんでした。
今ググッテ見たら面白そうなサイトがたくさん出てきます。
時間があるとき、ちょっとのぞいてみようと思います。
しかし。
39歳で亡くなる。。。
若いですね~。しかし、それまでに多才さを発揮できたなんて、羨ましい気もしますが。

あらぁ、スランプ気味ですか?
それはいけませんね!
美味しいもの食べて、仕事のことなどたまには忘れる時間を作って、元気に乗り切ってくださいませ。
そうです、どうせ同じ道を歩まねばならないなら無理してでも「陽気に」ですよね。
はぁい、私も陽気に頑張りま~す!
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