近年のCS以降のホークスの異常なまでの強さで
なかなか盛り上がってこなかった日本シリーズでしたが、
今年は久しぶりに面白かったですね😀
プレー自体のすごさや個人のすごみ、
そこに合わせて「考えさせる」面白さもありました。
と言う事で、久しぶりに
プロ野球について書いてみます。
忘年会時期が始まるというのにこんなんで良いのだろうか・・・
昨日、日本のプロ野球の全日程終了となる
日本シリーズがヤクルト勝利で幕を閉じました。
個人のすごみと言う部分においては、
割とハイスコア―となった第5戦のホームランシーンは
印象に残っているのではないでしょうか?
ジョーンズのホームランにはぐうの音も出ない衝撃!
そして、山田のホームランもすごみを感じました。
個人の能力に合わせて、いかにホームランと言う物が
カウントや心理状況にNextbatterに関係して持たされるものなのか通関。
昔と比べて今の野球は個人の能力が発揮されやすい。
主に精神的な部分での大きな違いがある。
簡単に言うとルール問題など、もちろん他にも多くありますが・・・。
勝負とエンターテイメントが同居しているものには
必ずついて回る問題です。
この話をすると長くなってしまうのですが、
要はルールと言うものは大きなものであって、それによって
立ち振る舞いも変わっていくと言う事です。
今回のシリーズにおいてもそのかかわりがあったのではないでしょうか?
話は第5戦の先発投手になります。
ここで負けてしまえば敗戦が決まってしまうオリックス。
注目はオリックスの先発はだれが先発するのか?
第6戦先発が予想される山本を前倒すのか予定通りにするのか?
例え山本が投げたとしても勝つ補償なんてありません。
しかし、ここで負けてしまえば終わってしまう。
大抵劣勢になった監督は前倒ししてしまいます。
中嶋監督はそうはしなかった。
ここから見えるものが大きな意味を持ってきます。
3連勝しなければいけないオリックスが無理やり1勝してどうなるのか?
しかも勝つ確証がないのに、ローテーションを詰める事で
山本・宮城の調子がくずれれば何の意味もなくなってしまう。
例え7戦にもつれ込んでも、2戦目と3戦目の試合結果からみる戦況は
オリックスが確実に劣勢であるとなります。
中嶋監督がローテを守った事で見せた物は二つ。
一つは「第5戦に通常ローテで勝つ事が出来なければ3連勝なんかできない」
日本一になるためには奇策抜きで5戦に勝たなければ無理であり、
中嶋監督の決断は日本一になるための決断であったと言う事。
理屈で考えれば簡単な話なのですが、実際に決断するには大変だったはず。
まして、その5戦目を勝利したのですから中島監督は立派です。
しかも神戸に帰って山本・宮城で勝負する6・7戦は
場の空気感で言えばオリックスが勝ったのではないでしょうか。
しかし中島監督の決断から見えるもう一つのものとして、
「第7戦に向けて特に秘策がない」という実状も現れてきます。
それはそうです、そんなのがあるのだったらわざわざ大博打を5戦目で
打つ必要などないからです。
もしくは、あったとしても先発が山本・宮城でなければ成り立たないか。
いずれにせよ中島監督の大きな決断にはそんな二面性がありました。
とにかくオリックスは真っ向勝負あるのみ。
さて、結果的に決着戦となった第6戦。
ヤクルト側が意外な策?を取りました。先発高梨です。
なぜ奥川ではなかったのか?
ここが今回の日本シリーズにおける最大のロマンであった!
と僕は感じたわけなんです。
中嶋監督の大決断による真っ向勝負の意思を受け、高津監督が何を考えたか?
高梨先発から想像できる意図は2つ。
一つは、第7戦を天王山と捉えた。言い換えれば”負けても良い”とした。
神戸での2連戦で山本・宮城を相手に勝たなくてはいけないという
プレッシャーに対しする軽減を図った。
山本相手に奥川でガチンコ勝負して負けた場合の第7戦への影響は大きい。
一気に戦況は変わって地元オリックスの優位に運ぶ。
それに対し「ローテをずらす」と言う事実を作る事で、
第7戦に至った場合に選手のモチベーションの維持を図ったのではないか?
要は試合前のミーティングで監督が
「今日こそ勝って日本一を決めるぞ!」というのか、それとも
「ついに日本一を決める日がきた!」と言うのか。
さらに奥川からすれば後ろに高橋がいる事も支えとなる。
そしてもう一つ見える物。
僕的にはこちらの方が有力ではないかと思うのですが・・・
高津監督は第8戦を想定していたのではないか?
常に接戦となったシリーズにおいて、延長は12回まで。
第6戦山本に対し”負け”をつける事は難しくとも、勝ち負けをつけさせない
事ならば可能性は大きくあるのではないか?
それが第7戦になれば、先発同士の投げ合いで引き分けの可能性はもっと。
勝たなければいけないオリックスと、負けなければよいヤクルト。
王手をかけた事による大きなアドバンテージとなったのではないか?
第8戦になれば、過去の2・3戦の結果からヤクルト完全優位。
6・7戦において秘策なしの真っ向勝負のオリックスにとって、
第8戦なんて考える事は出来ないし、対策もない。
それを考えた場合、山本相手の第6戦に引き分けに持ち込むことは
勝に等しいといってもいい。
そもそも第6戦は始めから延長12回を意識していたのではないか?
と思えて仕方がない。
9回にオリックスが平野を出したのはなぜか?
簡単な話で、負けられないからです。負けたら終わってしまうので、
目の前の回を確実に抑えていかなくてはいけないからです。
ではなぜヤクルトはマクガフ が胴上げ投手となったのか?
本来ならば9回に登場しているはずです。その前の清水が良かったことを
考慮したとしても10回は頭から出てくるはずです。
要は12回裏の守備を想定していたと言う事です。
いずれにせよ、10回頭からマクガフを出さなかったことには
なんかしらの意図や思惑など理由がある筈なんです。
それが先程の高梨先発から見える意図の二つと被ってくるんです。
「絶対に勝たなければいけない試合としていなかった」か
「引き分けまでを想定していたのか」のいずれかです。
本来はこの6戦でヤクルトが負ければ奇策を講じなかったオリックスが
第7戦において絶対的有利になってしまうのでヤクルトは勝ちたい。
絶対に勝つための先発として高梨が選ばれたのならば、
5回裏に同点に追いつかれたとしても、交代する場面ではないんです。
なぜなら「絶対に勝つため」に先発したからです。
もし継投を考えたうえで勝ちにいっているのならば
逆に今度は交代のタイミングが遅いとなります。
1点か2点しか取れないだろう相手投手から先制してるんだから、
絶対勝ちに行っているのならば1点として与えられないからです。
実際に5回裏行われたヤクルトの野球は「負けない野球」であります。
当然そこには引き分けも入っていると言う事です。
昔のセリーグは引き分けあり。パリーグは引き分け再試合。
当時落合がその野球の違いを説明するのに「セは負けない野球」
「パは勝つ野球」をしなければ優勝できないと言っていました。
では今年の両チームが優勝するにあたって目立った数字は何か?
両チームともに大きな数字の差がないのですが・・・
捉え方で大きな違いがあるのが同じ数の引き分け試合数です。
今年のペナントはコロナの特別ルールで引き分けが多くなりました。
この引き分けをどうとらえるのか?勝てなかったのか負けなかったのか?
同じ引き分け数でもヤクルトはリーグで2番目の数字であり、
阪神との差はその数であったと言えます。
ヤクルトは負けない野球で阪神に勝ったと言う事です。
その表れが、先発投手に二けた勝利がいないという前代未聞の優勝。
ではオリックスは?
引き分けの数はリーグで下から2番目であり、ロッテとの差は純粋に
勝ち負けの数によって現れています。結果的に引き分けの多かったパ
において、勝ち星が多かったから優勝したと言う事です。
オリックスはロッテに対し勝つ野球で勝った。
オリックスは先発投手(特に山本・宮城)に白黒つけて優勝した。
となると、オリックスにとっての引き分けは勝てなかった試合となる。
そして、第4戦の結果により勝たなければいけないオリックスと
負けなけれは良いヤクルトと言う構図となり、
6戦においてヤクルトはリーグ優勝した本来の野球が出来たと言う事だろう。
逆にオリックスは勝つ野球が「負けられない」野球となってしまった。
ちなみに・・・
ヤクルトの第5戦は6戦とは意味合いが違ったもので、
第5戦で決めなければ、引き分けでも神戸に行ってしまうので
引き分けも負けも変わらないものだった。
だから6戦とは少し違った勝つ野球となっていた。
負けてしまったが、マクガフが9回に登板したのがその現われ。
まとめると、
第6戦の高梨先発は戦況によるヤクルトの引き分け迄想定した
「負けない野球」の現れであり、今年の特別ルールの中で優勝した
ヤクルトの野球が発揮された。
逆にオリックスは優勝の原動力となった山本・宮城の先発する試合において
先取点を取る事が出来ず、本来の野球とならなかった。
これは後付けだけど、
オリックスが勝つためには先制点が絶対必要だった。
勝つ野球って基本的には相手より1点多くとる野球で、負けない野球は
相手に自分より多く点を与えない野球だから、
先制点はそこに直結するからね。