旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

快心のユーモア3発

2017年03月09日 19時25分06秒 | エッセイ
快心のユーモア3発

 小学校高学年の国語の時間、どういういきさつか次の各言を教わった。「暑さ寒さも彼岸まで」で、その日の休み時間にクラスの女の子とおしゃべりをしていた。若者一歩手前のガキ共の話題は、誰が誰を好き、誰が誰に振られた。女の子は成長が早くて、同年輩の男子より精神的に2歳は年上だ。
 「そんでね、あの子ひがんじゃったの」その時話しをしていた子は、中々頭の良い娘だった。俺は言った。「熱さ寒さはヒガンあと」キャー、それが彼女に大受けだった。あんまりにも喜んでくれたから、今でも覚えている。

 男子校の高校生じゃあ頭の中は、女の体のことで一杯だ。若い古典の教師が結婚することになり、新婚かよ、どう冷やかすべーとクラスで相談した。何を贈る?どうギャフンと言わせる電報の文にする?そんなのクラス全員で考えるのはアホらしい。ウーン、ウーン煮詰まってきた所で、俺が発言した。こんなのはどうよ。「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
 この一文を入れつつ何だか冗漫な電報を送ったようだが、当の古典教師には受けた。あの各言には、そのような深い意味があったとは、恐れ入り。

 欧州出張でスイスに来た。ディスク・ブレーキの再生をしている会社で、日本車のパーツをよく買ってくれる。再生品は、外してきた油だらけの中古品と再生品を交換して金を受け取る。リサイクルが回転する迄は新品を供給するので、しばらくは赤字になっても仕方がない。年式が古くなって市場に車が出回れば充分回収できる。
 だいたい自分は途上国専門だぜ。下手な英語も、アジアや中南米では臆せず使うが、欧州人が相手だとちと気が重い。まあスイス人だからネイティブではないのだが。でもその社長は気さくな人だった。作業服を着て、町工場の親父さんだった。工場を見せてもらった。広いが清潔とは言えない。スーツにオイルが付かないよう気をつけて歩いていると、油落としのでっかい水槽があった。ギトギトした溶剤が縁近くまでたっぷんたっぷんに入っている。
 すると社長が言った。“Do you swin?泳いでみる?”へっ、何て返そうか。ちょっと間を置き、“No thanks. Because I forget my swimming punts. 止めときます。海水パンツを忘れてきましたので。”一瞬間を置き、ガハハ。その答えがえらく気に行ったのか、その後直接会うことは無かったが、ずっと好意を示してくれた。