巨人族、小人族
どっちから行こうか。巨人?それとも小人?よし小人族にしようぜ。世界の各地で巨人伝説、小人伝説ってあるよね。小人族で有名なのは、『ロード・オブ・リング』に出てくるホビットだが、これは作者の空想の産物だ。
中国では伝説上の異国のひとつに小人(しょうじん)又は短人があり、東方の海にある島に住んでいるという。日本のことかいな。小人は一人で出歩くと鷲に捕まって喰われるので、いつも3-4人で連れ添って歩くそうだ。
個人で小さいのなら、ヨーロッパの王室は小人が大好きで、古い王宮ではいつでも小人が王に仕えていた。芸人の世界でも多い。『白雪姫と七人の小人』の7人はドワーフ族で、古くからの言い伝えが基になっている。だから小人症の人達ではなくて、小さい種族なんだ。
日本昔噺の一寸法師、かぐや姫、桃太郎も個人として小さい。後で大きくなるが。しかしアイヌの伝承コロボックル(コロポックル)は部族だ。意味は「蕗の葉の下の人」だから相当に小さい。妖精の類いの小ささだ。それでも男と女がいて、生まれてきた子供は、うわっ小っちゃ。
現存する人類で一番小さいのは、中央アフリカの狩猟採集民ピグミー族で平均150cm未満。印象では120-130cmほどだ。同じく狩猟採集の民ブッシュマン(サン)族や放牧民ホッテントット(コイコイ)族も小さいが、ピグミー族が一番小さいことになっている。アフリカには2m近い大男の揃うマサイ族もいるのにね。
近年インドネシアのフローレンス島の洞窟で、12,000年前の人類の骨が7体分見つかった。ホモ・フローシエンシスと名付けられたこの人骨は、身長が1mほどしかない。最初は子供の骨かと思ったのだが、成人のものと判明した。身長に比較して足(くるぶしから下)が異様に大きいのが特徴である。この人類は猿人、原人。ネアンデルタール人の系統ではなく、ホモ、つまり現在の人類の亜種と言える。たかだか1万2千年前(日本の縄文時代早期)の骨なのだ。
化石とは言えない近年のその骨が発見された洞窟には、食用にされた燃えた跡のある小型の象、ピグミーステゴドン(水牛くらいの大きさ)と1.8mもある鳥、ハゲコウの骨も発見された。限られた島で、本来は小型のトカゲや鳥が巨大化し、大型獣が小型化することが自然界ではままある。コモド大トカゲのいるコモド島は隣の島だ。
この身長1mのビックフットは、現在も生存していて毛むくじゃらな姿がジャングルで目撃されるという話しがある。いやもっと具体的に、従来は人と割りと仲良くしていたのだが、村の子供をさらって食べたため、怒った村人が彼らの住みかの洞窟を焼き払ったという。彼らは現地ではエブ・ゴゴと呼ばれている、というのだが、これはUMAの話なので今回はこれ以上のコメントは控えることにする。ただもし1万年生息してきたとしても、後数年、十数年でいなくなるだろう。フローレス島の開発と森林伐採が進み、密林が急速に小さくなっているからだ。
それでは巨人族。北欧神話にはたくさんの巨人族が登場する。そしてもともと北方系のノルマン人は背の高い人種だ。旧約聖書に出てくるパリシテ人の巨人兵ゴリアテは身長2.9m。これなら現人類の特殊な人の範疇だ。自分はタイ・カンボジア国境での井戸掘りをやっていた時、アメリカ人で身長2.2mほどの若者としばらく一緒に働いたことがある。
実は大変大人しい青年だったが、その身体的威圧感は凄い。自分が話をするのにこれほど見上げたケースは稀だ。彼なら、身長160cmのタイの強盗団(国境は無法地帯だった。)も手を出さないな、と思った。ピストルの弾を2-3発食らっても反撃してきそうな迫力があるからだ。ついでに言えば、彼は布団も蚊帳も小さすぎて、足がはみ出し蚊のえじきになっていた。
南米大陸の南の果て、パタゴニアは16-18世紀のヨーロッパでは巨人国と呼ばれ、その住人はパタゴンと称されていた。何だか怪獣につけるような命名だこと。マゼラン海峡を隔てて南極大陸、凄まじい風が吹きすさぶ荒涼とした土地だ。1519年にマゼランが訪れた時、身長3.7~4.6mもある原住民の男女に出会っている。これはでかい。そしてあろうことか、何人か捕まえ船に乗せてスペインへ連れ帰ろうとした。ひどいな。しかし餓えと壊血病で、多くのマゼランの部下と共に死んだ。船内ではずいぶん仲良くなった船員もいたようだし、彼らは毛皮を着て言葉を話すから、全くの未開人とは言えない。この巨人は キリスト教への改宗も考えていたという。
1579年に、イギリスの海賊で海軍提督(昔は普通だ。中国でもオスマン・トルコでも。日本でも似たようなものだ。)であるフランシス・ドレークの艦隊の船長が巨人を目撃している。1590年代、オランダ船に乗っていたイギリス人ウィリアム・アダムス(三浦安針)も言及している。他にも2-3記録があるから事実なのだと思われるが、骨が残っていないのが残念だ。現在この地の原住民テウェルチェ族は、長身だが1.9~2mがせいぜいだ。
そう言えば日本の学者が発掘していた、プレ・インカのシカン文化(750~1,350年)の墓の主は、2mを超え、逆さにあぐらをかいた状態で埋葬されていた。北米にも巨人の話が多い。18-19世紀にいくつもの巨人の骨が出てきている。といっても2.5~3m強位だが、決って歯が2列あるのが特徴だ。開拓初期のころにネイティブアメリカン(インディアン)に捕まって火あぶりにされた、7人だかの開拓者の内一人が歯が2列ある巨人だったという話しもある。巨人の骨の発見は、当時の新聞に掲載されているし、リンカーン大統領も骨を見ているのだが、不思議なことに現存するものが一つも無い。子供がかぶとのように被っている頭蓋骨の写真はあるのだが、現物はどこに行ってしまったのか。一部は埋め戻しているのだが。
進化の方向に一つとして、人類が一斉にダウンサイジングするのはどうかな。デノミネーションの切り下げだね。食料の節約、エネルギー消費の大幅な節約になるのは間違いない。1/100にしたらネズミにだって喰われかねない。平均身長75cm位でどうだろう。2車線の道路も4車線で使える。ブドウもイチゴもでっかくなるぜ。釣りも迫力が増すってもんだ。
さて時代、地域によって身長が異なるのは、他ならぬ我々日本人を見れば分かるよね。百年単位の話じゃあ無い。戦前と現代ではずいぶん違う。身長178cmの自分には、零戦のコックピットはきつい。ミャンマーの人達も平均して小さかったな。米だけはあるが、流通が悪くて副食品が市場に最近まで出回りにくかったのだ。食料事情の悪い北朝鮮の人と、韓国の人の特に若い世代での平均身長を比べたら、かなりの開きがあるんじゃないかな。
最後に歴史上の人物の身長を書き出すね。現存する鎧、肖像画、文献等から割り出したものだが、時代が古くなるほど信ぴょう性が薄れる。
徳川将軍(徳川家菩提寺、大樹寺に安置されている位牌は身長の高さになっている。)家康 159cm, 二代秀忠 160cm, 吉宗 156cm, 綱吉(生類憐みの令)124cmこれは小人症としか思えん。 源頼朝 165cm, 義経150cm,武蔵坊弁慶 195cm(って実在するのか?)織田信長 170cm, 武田信玄 153cm,
上杉謙信 156cm, 豊臣秀吉 150-160cm, 前田利家 182cm, 浅井長政 180cm, 加藤清正 161cm, 石田三成 156cm, 直江兼継 182cm, 淀殿 168cm,
劉備 172.5cm, 曹操 161cm, 関羽 207cm, 張飛 184cm, 諸葛孔明 184cm, 楊貴妃 150cm/推定65kgs, クレオパトラ 150cm,
マリー・アントワネット 154cm, エリザベス1世 175cm, ナポレオン 167cm, ワシントン 188cm, リンカーン 193cm,
スターリン 163cm, ヒットラー 175cm, 西郷隆盛 179cm, 宮本武蔵 185cm, 近藤勇 162cm, 土方歳三 167cm, 坂本竜馬 182cm(174または169の説あり)