きつねゆりセカンドハウス

きつねゆりは「グロリオサ」の和名です。
あの方の復帰を願いながら、
ぶつぶつつぶやいています(o'.'o)

石とガラス

2019-06-09 14:01:25 | ぺ・ヨンジュン



日本の中年男性が旅先のソウルで実感したことは?

中年男性3人が日本からソウルへ行った。
なるべく韓国の日常を体験したかったので、飛び込みでソウルの韓式旅館に泊まり、
裏通りの大衆食堂で食事をした。1泊して朝となり、
3人で連れ立って銭湯へ行き、1時間ほどのんびり朝湯につかったあとで
小さな大衆食堂に入った。

外観が石とガラスで固められている

食堂で注文した朝食は、カルグッス(韓国風手打ちうどん)だった。
店のアジュンマは先にキムチとタクワンを出しながら
「ちょっと時間がかかるからね」と言った。
食堂には他にも数人の客がいて、アジュンマが一人で切り盛りするからには
楽に30分くらい待たされそうだった。
風呂上がりだけに、すぐにビールを注文した。しかし、
置いていないと言う。「ウチには朝から酒を飲む客なんかいない」
というのが理由だった。
けれど、助け船を出してくれた。
となりのスーパー(雑貨店)に売っているから、
好きなだけビールを持ち込んでいいそうだ。
こうして、スーパーで買ったビールを飲みながら、
朝の食堂で中年男性3人による会話が始まった。


A「ソウルの街が随分ときれいになった。
でも、街が石とガラスでできているという雰囲気。それくらい木造が目立たない。
かつて朝鮮半島の人は木を使って建物を建て、
木造の風合いを大事にしてきたはずなのに……」
B「韓国では古いものがどんどん壊されている」
A「高度成長にともなって建物の造り方に劇的な変化が起こり、
普通の住宅でも外壁をレンガやコンクリートで覆うようになってしまった。
木造よりコンクリートのほうが裕福な感じがしたんじゃないかな。
室内にはまだ木のぬくもりが残っているとしても、
外観が石とガラスで固められているのは残念だね」

イチョウが絵になる街

B「街路樹ではイチョウが目立つね」
A「そうなんだ。俺が住んでいる横浜では、最近は街路樹にイチョウを使っていない。
イチョウは年とともに横に枝がどんどん生えてしまうから。
そんなこともあって、狭い道が多い横浜には向かないんだ。
東京でもイチョウが街路樹になっているのは広い通りだけ。
でも、ソウルは広い道路が多いから、イチョウを植えても全然平気。
いやあ、イチョウが実に絵になる街だね」
B「イチョウが色づく頃のソウルは本当に見栄えがするらしいよ」
C「ソウルの銭湯で感心したのは、若い男性のからだつきが
シェイプアップされていて贅肉がないこと。
腹筋も強そうで鍛えられている感じがした。
やはり兵役があることが関係しているのかな。日本の若者ならば、
スポーツ選手以外では、腹筋があんなに付いていないよ」
B「中年を比べると、日本人も韓国人も腹が出ていて同じだけどね」
C「確かに中年は同じ。でも、若者は明らかに違う。
韓国の若者は肩幅がガッチリしていて、背筋も伸びている。
何かシャキッとしている感じが頼もしいね」

なくならないでほしい光景

B「それにしても、ソウルの街は騒がしいね」
C「でも、市場の賑わいがいいよ。ザワザワしていて落ちつきがないんだけど、
かえって心がワクワクしてくる。
商店の人たちが忙しく商品を出し入れしていたり、
道路で自動車同士がぶつかっても警察が知らん顔だったり……」

B「東京では屋台がほとんどなくなったけど、
ソウルはこれほどの大都会でありながら、屋台がそこらじゅうにある。
覗いてみると、鉄板で焼きながら、おばちゃんたちが生き生きと働いている。
こういう光景に惹かれるね」
C「子供の頃、日本がそんな雰囲気だった。通りに屋台が並び、
バナナの叩き売りも出ていたよ。
あの光景が日本の都会からなくなって寂しいと思っていたら、
むしろソウルではその騒々しさが街の中心になっている。
これだけは絶対になくなってほしくないね」
ビールを飲みながらのソウル談義
話は尽きず、ビールの空き缶がどんどん増えていった。