今日は朝から雨、仕事も無いのでブログの続きを書きましょう。
羽も十分生え揃い巣立ちの時期が近づいているかなと思える頃には全員を近くの草原に連れ出し虫取りの訓練をしました。これまで半分位は生餌で育てていましたので、虫を捕まえ目の前に置くとすかさず食べます、そのうち自ら虫を見つけて食べるようになりました。訓練が進み十分大丈夫だなと思える頃この悲劇は起きました。
行きつけの草原に雛に目をつけた野良猫が狙っていたのです。5羽が散らばるため目が行き届かないあいだにあっという間に一羽が野良猫にさらわれてしまいました。
懸命に追いかけましたが後の祭りです。たかがムクドリの雛1羽ではありません。ペットを飼っておられる皆さんならお分かりでしょうそれは家族の一員です。
一方、嬉しいことにほんのしばらくして成長し飛ぶ力をつけた雛3羽が巣立ちしました。成長の遅れていた1羽も一緒に飛び立ちましたが兄弟たちと共に行動することができなかったらしくすぐに帰ってきました。3羽はそこらを飛び回り近くの木に止まったりちょっと帰ってきては餌をねだったりしていましたがそのうち十分な飛翔力をつけ遠くまで行くようになりました。時々帰ってきては残っている1羽に声をかけ誘い出しているように見えました。常に3羽で行動していますので印は付けていませんがすぐに分かります。兄弟たちの声を聞くと残りの1羽も大声をあげて応えます。
そのうち兄弟たちも段々帰ってくる回数が減り、残された1羽はベランダの手すりに乗って寂しそうに空を見上げていました。
あまりにも寂しそうなので私が毎日散歩に連れ出しました。もちろん野良猫には十分の注意を払ったのは言うまでもありません。鳥かごに入れるのではなく自由にしていましたので頭や肩に乗って付いてきました。近所の人たちはそれを見て驚いていました、野生の鳥だったからです。そうこうしているうちに不思議なことに自然に病気も治ったのか全く大人と変わらないように成長し羽も伸びきり遠くまで十分飛べるようになりました。しかし他の兄弟のように巣立ちしようとはしません。巣立ちを促す必要があるようですがその方法が判りません。それで散歩の距離を少しずつ延ばしました。飛ばせるとしばらく私の周りで遊んでいますが飽きると自分から家に帰ります。車にも乗せ少し遠くまで行きましたが平気でした。
そのうち朝、自ら家を飛び出し夕方帰ってくるというパターンが出来上がりました。糞の中にいろいろな種類の種が混じっていますので昼間、他のムクドリたちと行動を共にし食べられる実を学んでいるようです。家ではまだ餌をねだりますがウグイスの餌では高価ですのでこの頃は九官鳥の餌を与えていました。
数ヶ月このような生活がつづいて11月の終わり頃、一旦家に帰ってきたのですが、すぐにまた飛び出し下の公園の木に止まっています。呼んでもなかなか来ようとしません。不思議に思ってそっと近寄ってみるとなんと別のムクドリが1羽付いてきていたのです。
少し早いように思いますが彼女か彼氏が出来たようです。(家に居るのは雄か雌かわかりません)
強く呼ぶとしぶしぶ家の中に入りました。3日ほど同じことが繰り返されました。家のムクドリはその間、外の鳥をなんとか誘い込もうとしているようでしたが、相手は根っからの野生、すぐ傍までは来ますが決して家の中に入ろうとはしませんでした。そして4日目ついにいくら呼んでも家の中に入ろうとせず連れと一緒に屋外で夜を過ごしました。そして2日後ついに戻ってこなくなったのです。何日待っても再び帰ってくることはありませんでした。完全な巣立ちができたのです心から喜ぶべきでした。
ですが心に空洞が出来たような寂しさを拭い去ることはできませんでした。娘を嫁にやった男親の気持ちとはまさにこのようなことではないでしょうか。
あれからもう6年の歳月が過ぎていますが今もムクドリを見るたびに甘酸っぱく思い出し、時々呼びかけている自分を発見します。
ムクドリの寿命は7-8年とありました。野生は危険がいっぱいです、もしかしたらもう居ないかもしれませんが彼らの子や孫たちはいることでしょう。
二度と見ることは出来なくても、そのことを信じて心からの満足感と安らぎを抱いております。
餌取りの訓練 比較的短時間で覚えました
兄弟たちの呼びかけに大声で答えている残された雛 腹部に何か腫れ物のようなものが見られる
取り残され独りさびしく兄弟たちを待ち望んでいる雛
妻の手の上で遊んでいる
かゆいかゆい
立派な若鳥に成長しました。朝出て行き夕方に帰ってきます。