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竹内栖鳳展 近代日本画の巨人

2013-10-06 15:19:02 | 一期一絵
日差しが強く暑さを感じる10月3日にこの展覧会を見てきました。


会期が1か月とちょっとという比較的短期間なのとテレビでもこの展覧会や画家が取り上げられていたのと、日本で人気のある画家のため、平日午前なのに切符売場に長い列ができてました。
私もその列に並び、直射日光をまともに受けたので(行列は建物の屋根からはみ出ていた)日傘か帽子を持参すればよかったとちょっと反省(;^ω^)

会場にはスムースにはいれました。
会場に置いてあり自由に持ち帰られる作品リストには作品名の殆ど後ろに前期または後期と記してあり、半分近い作品が前期と後期で入れ替えされてたことがわかりました。
私が見たかった絵は後期と記されていたので、後期に見に行けてよかったです。
でも、う~ん、前期のみの展示も見てみたかった。

10代の初期の作品から展示されていましたが、はじめからとても絵が完成されていました。
四条派の絵の師匠から学び始めたそうですが、同窓の弟子のみならず師匠もこれは、と舌を巻いたのではと想像しました。きっとあっという間に技法を自分のものにして円山派、狩野派の画法、さらに西洋の写実的な描法も貪欲に取り入れ新しい絵を作り上げようという気概が感じられました。
絵の中に凄みを潜ませて、怠惰さを許さないみずみずしさを最後まで持っていて圧倒されました。
描いた絵の分野も日本画の範囲ではありますが、花鳥画や風景画や俳画に人物画そして仏画、金色を使う華やかな色彩画や水墨画など多岐にわたり自在。


そのなかでも動物や鳥を描いた作品が多く、見ていて楽しいです。


可愛い生き物が好きなようです

雪中噪雀図(1900年)後期展示
雀の絵はもう1作「喜雀図」(1912年)も展示されてましたが、どちらも可愛らしい。ほっこりする絵でした。ご本人も楽しんで描いていた気がします。

1900年にパリ万博の視察団の一員になり、西欧絵画の洗礼を受けて帰国し描いた有名な絵

「金獅」(1901年)
下地に金色を上から下に行くほどに濃くなるように塗り込み、そのうえにセピア色一色でライオンをリアルに描いて迫力ありました。
これまでの本物からかけ離れた唐獅子ではなく、ライオンそのもの。下地の色がそのままライオンの毛の色で陰影のつけ方は西洋の水彩デッサンのような筆遣いでした。
生きて荒い息遣いが聞こえてきそうな存在感。新しい日本画の道を開拓する気概を発してました。
でも後ろ足をなめているしぐさは可愛らしくて、やっぱり猫科の生き物なんだともおもいました。

同じ時期に金地に墨で像を描いた迫力ある六曲一双の屏風に描かれた象の絵

「象図」(1904年)もリアルで迫力がありました。なんというか、綺麗だけでない、たるんだ皮や落ちくぼんだ目などえぐさも描いてました。

お茶目な作品も

「熊」(1910年)
ツキノワグマですね。動物園で見たのかしら?毛がモフモフしてます。さわったらゴワゴワしてるのかもしれませんが。そんな毛ざわりを感じれて楽しかったです。

そして何より一番見たかった作品

「班猫」(1912年)後期展示
勝手に見返りにゃんこと呼んでいるこの猫の絵は、所蔵されている山種美術館でもなかなか鑑賞できる機会がありません。日本画は傷みやすいので大切に保管されている逸品です。
この絵に会えて嬉しい。うっかり前期に行っても会えなかったことを思うと、3日に行って良かったです。
背景はやはり下地に金を上は薄目に下はかなり濃いめに塗り、その濃い金色が地面となり、一匹のなんてことのない猫が背中をなめようとしてふとこちら(見ている私たち)に気づき様子をうかがっている。私たちはつい猫の美しい青色の瞳と見つめあってしまいます。
その毛並の柔らかくて艶のあること・・・見ているだけで触感が蘇ってきます。
西洋の絵画なら猫の周りにいろいろ背景を描くところだけど、金色の濃淡だけなので、猫はどの時代にもあてはまり存在し続けます。
そのしぐさも猫好きな人ならさもありなんと心あたりがあると思うのですが、テレビの特集で知ったのですが、ポーズは体の曲がり具合や骨格が少し不自然でそれがむしろ猫の一瞬のしぐさをリアルな印象にしているそうです。そんなこと言われるとまるでアングルの「グランオダリスク」みたい。猫のグランオダリスク(=^・^=)
個人的な事ですが、はるか昔一緒に暮らしていた元野良ネコのゾンゾンの娘猫「たまえ」にそっくりなんです。白地に黒と茶色の虎模様の雲斑とか口元にあるうす茶色い斑点とか利発そうな目元とか中途半端な長さのしっぽとか。あまり人になつかないけどとても利口で器量よしな子でした(=^・^=)。

この生き物も何作かありました

「おぼろ月」(1928年)
まるで物語の一場面のようだと思いました。キツネは可愛らしく、そして哀愁を帯びてます。画伯の動物に対する優しいまなざしも感じます。


「春雪」(1942年)後期展示
普段は人から嫌われるカラスも何点か描かれていましたが、どれも幽然として気高い感じがしました。孤高の美しさを備えてます。


竹内栖鳳画伯はさらに人物画、仏画の習作、それから風景画もあります。ユーモラスな俳画も遊び心があるし、魚の絵は今釣ったばかりの新鮮さを感じました。
その中で印象に残った作品を1作記します

「水村」(1934年)
右側の橋や建物は伝統的な描法で描いているのに対し、左側は空気感があり、葉の量感は水墨画らしいにじみで表現しているのですが、枝の描き方が西洋の水彩画のようだし、奥に行くと色が薄くなる空気遠近法も取り入れています。さりげなく西洋と日本が自然に融合して美しい世界ができている。
さりげないけど技術、表現の幅が日本の枠にとらわれない画家の作品。そして静かでしっとりとした素敵な絵だと思いました。



会場の国立近代美術館では、企画展といっしょにコレクションも展示されていて、企画展を見るときもれなくコレクション展のチケットもついてきます。
竹内栖鳳展を見て体力を使い果たしたけど、せっかくだからちょっと見ようと思って4階に上がってみたら、
もう一つの獅子図に会いました。
狩野芳崖の「獅子図」です。この作品は数年前、狩野芳崖展でお会いしましたが、ここの所蔵作品だとは知りませんでした。
インターネットで検索しましたが画像がみつからなかったので、その時に購入したパンフレットより写真を載せます、ちょっとみづらくてすみません。

「獅子図」制作年は1880年代末ごろ
筆遣いは伝統的な狩野派ですが、形はリアルで西洋的です。
こちらは1886~7年にイタリアのサーカス団が来日興行したおりにスケッチし、それをもとに絵にしたものだそうです。
竹内栖鳳の前にリアルな描写をした画家がいたのも驚きです。当時、東京と京都と居は離れていたけど栖鳳画伯はこの絵をご存知だったかしら。
偶然であるのでもおもしろい。
狩野芳崖は「悲母観音」(1888年)を描いた画家です

パンフレットから。画伯渾身の遺作です。こちらは国立近代の所蔵作品ではありません。芸大美術館に所蔵されています。

この時代の日本画の大きな変革のうねりを獅子から感じられました。

付けたし☆

ショップで班猫の一筆箋入りチケットホルダーと
京都の煎茶とほうじ茶のチョコのついたラングドシャを買いました♪


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