副題は「130年にわたるイタリアの美の至宝」11月27日に鑑賞しました。
東京国立博物館の表慶館ではたしか以前にもカルティエ展とかエルメス展が開催されていたと記憶してます。特にカルティエ展のポスターにはインドのマハラジャが豪華な胸飾りをしている写真が載っていて、胸飾りが菩薩様の瓔珞のようだなと思ったことが記憶に残ってますが、特に見ようとはせずそのままスルーしてしまってたのですが、今回はふと、まずもって贅沢な装飾品なんてめったに間近で見れないから目の保養に見てもいいかしらんと思い立ち、ちょうど同じ敷地内の平成館でも是非見たい展覧会も開催されていましたので一緒に鑑賞することにしました。
そしたら、やはり目の保養にと思って鑑賞に来てる人が多くて混雑していました。
表慶館の入口から入るとまずは丸天井に宝石の輝きのような万華鏡のような模様が映し出されるプロジェクションマッピングがありました。映写機はパンテオンの形をしてます。
最初にギリシャの銀細工職人だったブルガリ家の繊細で美しい銀細工のアクセサリーを見に纏ったマネキンが展示されてました。そこからイタリアに移住した一族
作品はそれはもう豪華の一言に尽きました。金もプラチナも宝石もふんだんに使って大ぶりなアクセサリーが並びます。その石一つ一つがとても美しく深い色合いでかなり質の高い石なのが見た目でわかりました。
宝石が一つ一つ大きいのです!特にサファイアとエメラルドは巨大。ルビーは特に大ぶりの石はなく、その分散りばめたダイヤの中にたくさんはめ込んでいる演出がされてました。多分、ルビーはエメラルドやサファイアのような大きさの石はとれないのだろうな、と察しました。・・・と言ってもやはり大きいです。1粒を取り出しても充分見応えのあるアクセサリーになれます。そして鮮やかな赤が美しい。
エメラルドに至っては巨大な石がペンダントトップになっていました。これ、首重くないか・・・なんていらぬ心配もしたりして・・・余計なお世話ですね、はい(^_^;)
宝石はプラチナや金を土台にダイヤモンド、エメラルド、サファイア、ルビーをふんだんに使ったハイジュエリーと呼ばれるアクセサリーもあれば、トルコ石やアメジストなどカジュアルな石の色合いを生かした作品もあり、日本のデザインを取り入れて、七宝やサンゴ、翡翠を取り入れた作品もありバラエティに富んでました。
何より、職人技の凄みを感じずにはいられない精緻で美しい仕上がりが見事。”超絶技巧”という言葉がふさわしい。
見て得したなと思ったのはデザインを描いた素描も見れたことです。
そして映像でいろいろな映画でブルガリのジュエリーを身に着けているシーンをピックアップして次々見せていて、その中に私も知っている映画もあってへえ~あのシーンの宝石もそうなんだ~って知りました。次に見た時に見方がかわりそう。
そのアート オブ ブルガリ展も今日(11月29日)で終了なので、せっかくだから目の保養にできるだけ写真を見つけてここに載せます。
時代ごとにデザインの変遷が説明されていて、作品横の説明の映像に女優さんやモデルの方がかっこよく身に着けている写真が次々現れてました。
まずはアールデコ様式のブローチ
ブローチ(プラチナ、ダイヤモンド、ルビー) 1930年頃
バチカン市国サン・ピエトロ広場の造形を表現したそうです
第二次大戦中は自粛ムードで金地にシンプルなアクセサリーを身に着けるデザインが主流だった・・・という事です・・充分豪華でしたが。
そして戦後、アメリカの富裕層の顧客が増えます。
「ビブ」ネックレス(ゴールド、エメラルド、アメジスト、ターコイズ、ダイヤモンド)1965年
「ビブ」とは「よだれかけ」の意味でアクセサリーの形状からつけた名前だそうです。私は古代エジプトの妃が身に着けそうなアクセサリーだなと思いました。
「セルペンティ」ブレスレットウォッチ(ゴールド、エナメル、ダイヤモンド)1970年頃
蛇が巻き付いてるようなデザインの腕時計。古代ギリシャ、そして古代エジプトの腕輪を思い出します。蛇に口を開けると時計があります。セルぺンティシリーズはいろいろなデザインが並んでました。
「富士山」ブローチ (ゴールド、プラチナ、マザー オブ パール、エナメル、ダイヤモンド)1971年
日本シリーズより(言い方が野球っぽくなってしまった)。ベタなデザイン。う~んこれあんまりいいなと思わなかった←あくまでも個人的感想です
「ブッダ」 ソートワール(部分)(ゴールド、マラカイト、アメシスト、エメラルド、サファイア、ラピスラズリ、ルビー、ダイヤモンド)1971年
クリスチャンでない人がファッションで十字架のペンダントを身に着けるのと同じ感覚で西洋の人はこのペンダントを胸に飾っていたのだろうか?
「ソートワール」とは、どうも凝った作りのチェーンと大ぶりのペンダントトップのある大ぶりのペンダントの事を言うと解釈しました。
そしてエリザベス・テイラーの宝飾品。映画「クレオパトラ」で来た衣装も展示され、絢爛豪華なアクセサリーが展示されてました。
「モネーテ」ソートワール(ゴールド、ゴールドコイン、ダイヤモンド)1975年
ビサンチン帝国のヘラクレイオス帝が7世紀に発行したソリドゥス金貨を使ったアクセサリー。エリザベス・テーラーのお気に入りなのだそう
ネックレス (プラチナ、エメラルド計60・5カラット、ダイヤモンド)1962年
このネックレスは、次に載せているブローチとつなげてYの字型ネックレスになるそうです。深い緑色が美しい
ブローチ/ペンダント(プラチナ、エメラルド23.44カラット、ダイヤモンド)1958年
こんなに美しい色のエメラルドってめったに見れないのじゃないかと思いました。大きいのに透明感があってしかも緑が濃い。
取り囲むダイヤモンドも大きくそれだけでも大変な価値がありそうです。
二つ組み合わせた時
ソートワール (写真右は部分)(プラチナ、サファイア65カラット、ダイヤモンド )1969年
ポスターにもなったソートワール。エリザベス・テイラーが身に着けている写真もありました。ご主人のリチャード・バートン氏から40歳の誕生日に送られたそうです。
拡大図
びっしり隙間なく宝石を埋め込んだ表面もさることながら、側面にまで宝石を埋め込み技巧の限りを尽くした作品。職人さんの意気地と誇りを感じる。
エリザベス・テイラーはハリウッド式化粧が濃いのですが、まばゆいオーラを持った存在感を持った女優さんである事に異論はありません。多くの人を惹きつける女性にふさわしいアクセサリーだなと思いました。アクセサリー自体が人を選んでる。職人さんが心と誇りを込めて技巧を尽くしたソートワールはエリザベス・テイラーの胸で燦然と輝きおおいに存在感を引き立てていただろうと想像しました。
サファイアは「シュガーローフ」という先が丸いピラミッドみたいな形のカットをされてます。
実際に見ると、サファイアはもうすこし色が薄かったです。
「トロンビーノ」リング(プラチナ、サファイア25カラット、ダイヤモンド )1971年
やはり「シュガーローフ」型のサファイア。形はシンプルだけど、とても凝った作りのリング。
他にもいろいろありました。エリザベス・テイラーさんは「クレオパトラ」以来ブルガリのファンでプレゼントされたもの、ご自分で購入したものなどコレクションを持ってたそうです。
とにかく豪華ですが贅沢過ぎてばちが当たるんじゃないかとちょっと怖くなりました。人間の欲求って際限ない。
もっと華やかに、大女優の自分にふさわしく・・・と思い始めると際限のない高級品の欲求ができそうで小さな石をもう喜べなくなる。
その小さな石のアクセサリーでも大変な金額なんです。そしてそれが購入できたことがとても嬉しい出来事になることなのです。
他にも見つけた画像から
「ソートワール」のシリーズ
真中のソートワールのペンダントトップにはめ込まれたエメラルドがびっくりするほど大きかったです。
「バレンテシ」のシリーズ
働く女性が仕事でもパーティでもつけていけるアクセサリーシリーズ。
一見首が重そうですが、裏側は肌との接触面が少なく、軽くしてます。それと宝石のメンテナンスにも裏側は隙間が必要なのかも。その裏側の作りがとても丁寧で繊細でした。
まだまだいろいろなデザインの作品がありました。
古代エジプトの展覧会で古代の職人が技巧を尽くしたアクセサリーを3000年後の私たちが鑑賞するように、ブルガリの作品もいつか20~21世紀の高度な文明の技を示す遺品として鑑賞されるのだろうか、なんてふっと思いました。
追記
アート オブ ブルガリ展を紹介する動画を見つけましたので載せます。ブルガリの粋と技を集めた世界をご一緒に
東京国立博物館「アート オブ ブルガリ」
東京国立博物館「アート オブ ブルガリ」
目には目を 和には和を(←何か違う)
27日は雲一つない青空で、空気も澄んでいて、行きのバスの窓から前方に頭に雪をかぶった富士山がくっきり見えました。帰りの夕方はもう見えないかなと窓から後ろを眺めたら夕日をバックに富士山のブルーのシルエットが見えました。
そして展覧会での富士山ブローチで、今気づいたのですが三度富士山にお会いした日だったようです
帯締め・・・なるほど☆
和装は基本的にアクセサリーで遊び心を発揮するのは唯一帯締め。
ちょっと大きなブローチですが、着物を着こなす方なら粋に取り込めそうです
作りが良いのは、もう折り紙付き!
そしてやっぱり着物は日本人が一番似合いますね!
そういえば、maribvocalさんにとって東博は馴染み深い場所でしたね。私にとって憧れの場所です
表慶館は建物自体が美しい作品で柱や天井に施された浮彫を見るだけでも時間を忘れそうです。
設計はコンドル氏のお弟子さんが設計されたそうですが、コンドル氏の影響が伺える西洋建物にどこか日本的な要素も感じる不思議な魅力がありますね
東洋の美術にも影響を受けたイタリアブランドの粋と技術を集めた宝飾品を展示するのにふさわしい建物だなあと私もおもいました。
レリーフのエピソードは初めて知りました。そうなんだー、日本の匠の自負心も感じてさらにこの建物をじっくり鑑賞したくなりました。
せっかくなので、ブルガリ展の紹介動画を見つけましたので追加で載せます。
まばゆくも美しい世界をよろしければ覗いてみてくださいね(*^▽^*)