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システィーナ礼拝堂500年祭記念 ミケランジェロ展―天才の軌跡

2013-10-15 01:28:38 | 一期一絵
夏が戻ってきたかのような気候の10月8日にこの展覧会に行きました 

この看板の絵は「クレオパトラ」(1535年)です

今年はラファエロ・サンツィオ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティとルネッサンスを代表する三巨匠の展覧会が開催されましたが。これでコンプリート(*^^)v
眼福の年でした☆

会場に入るとまずはミケランジェロ氏が迎えてくれました


「ミケランジェロの肖像」(1535年ころ)マルチェロ・ヴェヌスティに帰属

家柄の良い家庭の5人兄弟の次男として生まれ、教養豊かに育てられたそうです。
でも見た感じは気難しそうだし、これまで聞いたエピソードもとっつきにくそうな人柄がうかがえました。

そんな印象を、おやっと意外に思わせるものがありました。
甥っ子レオナルド(もちろんレオナルド・ダ・ヴィンチではありません(*´ω`*))にあてたいくつかの書簡が展示され、そばに大体の意味がそえられていました。
優しい叔父さん(伯父さんかな?)の人柄が見えました。
中でも甥のレオナルドに男の子の赤ちゃんが誕生し、名前をミケランジェロが提案していたブオナロットと付けたことへの喜びの手紙はほほえましいものでした。
また字が綺麗で読みやすく、私でもBuonarrottoとかoggiとかの字が容易に見つけられました。もっと癖のある難解な字かと思ってたのですが、他の関係者の書簡と比べても几帳面で美しい文字でした。
甥レオナルドもミケランジェロにまめに食料を送っていたそうです。慕っていたのでしょうね。でなければ子供に叔父に因んだ名前をつけないから。
その美しい書簡、特に甥っ子の赤ちゃん誕生を喜んだ書簡をここに載せたくてインターネットで探しましたが、見つからず載せれないのが残念です。
斜めから撮影した写真はありましたので載せます。


アップで見える書簡としては食料品のメモ書きの画像がありましたので載せます。これは正式な書簡ではないので走り書きですが、それでもうかがえるかな?食べ物のイラストが楽しい♪

「食べ物のスケッチと3種のメニュー」(1518年)
よ~く見るとpani dua(上から1行目)とかSei pani(下から4行目)とかイラスト付きで書かれてます。duaはdueかなと思うのでパン2つ、6つのパン・・・丸いパンが可愛らしい(^-^)
una aringa(下から2行目)のaringaはニシンです。イラストもありますね♪

そして素晴らしいデッサン
「レダと白鳥」の習作です。
この主題はレオナルド・ダ・ヴィンチも描いていて、同じくレダの頭部の習作が昨年「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展(2012/3/31(土)-6/10(日) Bunkamuraザ・ミュージアム)で展示されていました。両巨匠が同じ主題をそれぞれの女性像にして描いたのを1年半の間に見れました。
ここに「レダ」を並べてみたいと思います。

  
左がミケランジェロ「レダの頭部習作」(1530年頃)   右がレオナルド・ダ・ヴィンチ「ほつれ髪の女」(1506~08年)

もう溜息しか出てこないくらい素晴らしい饗宴。同じ主題だけど趣が違う。そして全く優劣などつけられない、いえそんな罰当たりなことを考えるのも恐れ多いです。
デッサンの素晴らしさを見れば言葉はいらないのですが、あえてお二人の違いを書かせていただくと
ダ・ヴィンチのレダは優美で女性的な優しさに満ちている。あらかじめ色を塗った下地の紙に茶色で陰影を、白で色白できめ細やかな女性の肌を表現してその肌は線がわからないスフマート画法。そして筆致はこの写真ではわかりにくいけど(額のところで少しわかります)一方向のハッチング(線描)をして顔立ちの柔らかい丸みや微妙な陰影を表現している。
ミケランジェロは整然とした美しさを感じます。几帳面な字と共通した趣。そしてハッチングが、ターバンの影の部分でよくわかりますが二方向から線描を重ねているクロスハッチングになってます。彫刻的な立体感と仕事の速さと正確さがうかがえます。
ただただ魅入ります。

展覧会の説明によれば「レダの頭部習作」は弟子のアントニオ・ミーニをモデルにしたそうです。もともとミケランジェロは女性を描くときも男性をモデルにしていたそうです。
このモデルになったアントニオの端正な横顔の美しさにうっとりしました。なんて美男子なんでしょう。
そして、この絵は「レダと白鳥」の絵として完成されていったのです。これが何ともドキドキしてしまうのです。レダと白鳥の絵は古今東西、美女と白鳥の性愛を表現しています。ミケランジェロもしかり。美青年を女性に見立て、白鳥との交りを描きました。ミケランジェロは同性愛者でしたが、この青年に対しどんな気持ちでいたのだろう、これは絵を通した愛情の表現なのかも・・・いえ勝手な想像ですが。
完成作はダ・ヴィンチもミケランジェロも現存してません

レオナルドとミケランジェロの『レダと白鳥』は、どちらもフランス王家が所有していたときに失われた。絵画の所有者の死去後、残された道徳心の強い未亡人あるいは絵画の相続人によって破棄されたものと考えられている。(wikipediaより)

つまりは怒った本人が一番エロティックに感応していたともいえる。良識人のつもりが狭い了見で本当に大切なものを捨てるという非良識的なことをしてしまった。
いろんな画家が模写していたのでダ・ヴィンチ作もミケランジェロ作もどんな絵か知られていますが、オリジナルは追随者を許さない作品であったろうと想像します。


それからシスティーナ礼拝堂の天井画と祭壇画の大きくて鮮明な写真が展示され、またテレビ会社が新しく開発された映像技術(4K)で天井画の筆致までもがはっきりわかる映像を上映してました。
天井画の大きな写真の一部を見ておやっと思いました。アントニオ・ミーニかしら?

「リビアの巫女」
ほら横顔が似てませんか?
システィーナ礼拝堂の天井画は1508~12年に制作されたからこちらの方が先なので違う人がモデルなのかもしれませんが・・・・どちらの絵も理想の横顔をあてはめたのかな・・・(?_?)


祭壇画の「最後の審判」のデッサンも展示されていました。

「最後の審判」のための習作(1533~34年頃)
祭壇画は制作するにあたり、窓をふさぎ、すでにあったペルジーノのマリア様の絵も漆喰で塗られたそうです。これは注文者の意思だったのだから仕方なかったのだろうけど、ペルジーノはどんな優美なマリア様を描いたのだろう・・・


そして彫刻
ミケランジェロが15歳の時に制作したレリーフ

「階段の聖母」(1490年)
布の柔らかさやマリア様の横顔の端正さが印象的。

最晩年に彫った木彫作品

「キリストの磔刑」(1563年)
木の形に合わせて彫ったように見えて、江戸時代の仏師円空の作品を想起しました。


他にもデッサンや建築の図面、他の画家による模写もありました。


もしかしたら、そんなに気難しい人ではなかったのかもしれない・・・ただ、あふれるようなアイデアを作品に実現するには時間が足りなくて、だから親しい人以外は会ったり話をするのが時間がもったいなかったのかな、なんて感じました。

書簡とレダがとても印象に残りました。
国立西洋美術館で11月17日(日)まで開催されてます


システィーナ礼拝堂をパノラマですべて見ることができるサイトを見つけましたのでリンクします。
☆彡
リンクしましたら「パノラマ画像はこちらからご覧になれます」をクリックしてみてください。
画面が現れたらカーソルで全方向が見れます。

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