2023年11月18 日23:22、非常に重要な記事がプラウダから『バイデン氏は独立したパレスチナ創設の必要性についてプーチン氏に同意した』[i]として配信された。
「……
ジョー・バイデン米大統領はパレスチナ独立国家創設の必要性について語り、それによってロシア指導者ウラジーミル・プーチン大統領の考えを支持した。バイデン氏の発言はワシントン・ポスト紙が報じた。
バイデン氏は「パレスチナ人民は自らの国家を享受するに値する」と述べた。
したがって、大統領はこの問題についてプーチン大統領が以前に述べたことに同意した。
これに先立ち、ロシア大統領は、イスラエルの隣で平和に存在できるパレスチナ独立国家の創設プロセスを開始する必要があると述べた。
……』
ワシントン・ポストの社説とは、2023年11月18日午後2時01分(米国東部標準時)、The Washington Post[『Joe Biden: The U.S. won’t back down from the challenge of Putin and Hamas』である。それによれば
『……
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パレスチナの人々は、彼ら自身の国家と、ハマスから解放された未来に値する。私もまた、ガザの映像と、子どもを含む何千人もの民間人の死に心を痛めています。パレスチナの子どもたちは、亡くなった親を求めて泣いています。親は、最悪の事態が起こった場合に子供を識別できるように、手や足に子供の名前を書きます。パレスチナの看護師や医師は、わずかな資源で、できる限りの尊い命を救おうと必死に努力しています。無辜のパレスチナ人の命が失われることは、家族やコミュニティを引き裂く悲劇です。
…
二国家解決こそが、イスラエルとパレスチナ双方の人々の長期的な安全を確保する唯一の方法である。今のところ、その未来はかつてないほど遠いもののように思えるかもしれませんが、この危機により、それはかつてないほど緊急性を増しています。
二国家解決、すなわち、二つの国民が平等に自由、機会、尊厳を平等に享受することこそが、平和への道が導かなければならないところです。それを達成するには、イスラエルとパレスチナ、そして米国と同盟国とパートナーからのコミットメントが必要です。その作業は今から始めなければなりません。
……』
これについては、2023年11月19日 9時28分、朝日デジタル『ガザとヨルダン川西岸「単一の統治機構下で再統合を」 バイデン氏』でも確認することができる。
『……
バイデン米大統領は18日、米紙ワシントン・ポストへの寄稿文の中で「(パレスチナ自治区の)ガザ地区とヨルダン川西岸地区は単一の統治機構のもとに再統合されるべきであり、最終的には新しいパレスチナ自治政府のもとで、われわれ全員が2国家解決に向けて努力することになる」と述べた。
また寄稿文の中で、ヨルダン川西岸地区で、パレスチナ人に暴力をふるう入植者に対して「ビザ発給を停止する用意がある」と牽制(けんせい)した。
……』
いよいよ、米ロ両核大国は、パレスチナ国家が独立し、イスラエルと共存す ることに同意したのだ。
これまでイスラエルが保有する核は、アメリカも制御が難しく、あわや第三次世界大戦に突入する直前まで進んでしまった。しかし、これで、最悪のシナリオを回避できる可能性が生まれたということになる。ここに至る経緯は、バイデン政権が、ロシアがウクライナに侵攻したことを根拠に台湾統治をあおり、その結果、中国がロシアと同盟関係を強化したことで、米ロの核バランスが崩れたことに危機感を抱いたキッシンジャーが登場し、再び「一つの中国」政策に戻したことで米ロの核バランスを戻すことに成功した。ところが、時を同じくしたパレスチナとイスラエルの紛争となるが、ここで、アメリカはイスラエルが保有する核を制御できないことを痛感することになった。そのため、アメリカはパレスチナが独立国家となってイスラエルと共存することで、イスラエルが独自の判断で核を使用することがない環境を整備する必要があった。
それがパレスチナ国家設立なのである。当然このプロセスを進める中で、イスラエルが保有する核は、破棄されることになる。ただし、その場合であっても、今次紛争の当事者であるネタニヤフ率いるリクードと、ネタニヤフから資金援助を受けていたハマスはパレスチナ国家独立プロセスから排除される。両者とも、自国国民が無意味に殺傷されることも厭わず自己の政治目標を追い求めたことは到底容認される話ではない。
ところで米ロがパレスチナ国家独立を容認したことで、今後の動きであるが、国連は停戦監視派遣団を結成し、パレスチナに派遣することとなるが、国連派遣軍の覇権を決定する常任理事国は、人種や宗教上の問題に中立な立場は中国以外にない。そして、国連派遣国の中心となるのは中国となった場合に、日本政府はいかなる対応を取るのか。
つまり、2022年末から日本の安全保障政策では、仮想敵国は中国である。その中国の下で、自衛隊がパレスチナ停戦監視団で活動するのかという問題に行き着く。なぜならば、日本政府は「一つの中国」政策に同意したものの、いまだ中国を仮想敵国としたままなのである。
したがって、日本がパレスチナ停戦監視団に参加するには、日本政府が速やかに防衛三文書を変更もしくは破棄する必要がうまれる。防衛三文書を決定したのが岸田内閣であり、それを一年後に破棄することができるのかといえば、不可能であろう。つまり、パレスチナ停戦監視団に参加することはできず、中東におけるプレゼンスは中国で確定することになる。
ここでもアメリカ一辺倒の日本の外務省の無能さが際立つ事例となるであろう。
尚、パレスチナ問題についいては下記スレッドでまとめてきた。
(2023年10月27日)『パレスチナ紛争のもう一つの側面 ―ガザ沖天然ガスとパレスチナ、イスラエル、エジプト-』
(2023年11月1日)「パレスチナ紛争のもう一つの側面(二) -ハマスとイスラエルの関係と偽旗作戦-」
(2023年11月15日)『パレスチナ紛争のもう一つの側面(三) -イスラエルとエジプトの密約-』
[i] https://www.pravda.ru/news/world/1910836-baiden/
以上(寄稿:近藤雄三)
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