新聞に『現役世代、老後の備え67%が不安』の見出しが踊っていた。35歳~64歳までの現役6,000人へのアンケー
ト調査で判明したもの。若い年代になるほど老後の捉え方は薄いが、老後に近く現実味を帯びている人とでは不安
の切迫感は違う。若い年代になるほど想像すら出来ないと言うのが本当のところで、不安の一言にも幅の広い意味
合いがあろう。ただ巷のニュースでは『年金はもらえなくなるかも知れない』などとセンセーショナルに取り上げ
ているから、それが頭の片隅にあり『不安』を募らせているのかもしれない。
私が若い頃には老後の事など、これっぽっちも考えたことはない。ひと歳とってからは定年退職したら自分の好き
な事を思いっきりやってみたいと夢をみていた。だから若い時分にこのような質問をされたら大して考えていない
こともあり『根拠のない不安はない』と回答しているだろう。
時代背景も回答の違いに大きくかかわっている。私たちが若い時は大学進学、高卒就職が大半を占め一部の人が中
卒で就職していた。勿論、大学卒の人は何処かの企業に就職するのが極自然のことだから、学校を卒業して就職を
しないでプータローを生業としていた人などいなかった。昭和40年頃でも卒業後の自分の食い扶持は自分で稼ぐの
が当たり前で、プータローの身分で親から養ってもらうなんてことは聞いたことがなかった。だから若い人たちは
働いていたから何らかの老後保障はついており、その内容が十分か否かに関わらず取り敢えずは何とかなると思っ
ていたようだ。今は事情が複雑に絡み合い年金の将来像に暗い影がかかって来た。
若年層でニート、仕事に就いたが非正規社員、つまり老後は自分でプロデュースしないとありつけないことになる。
正規社員にはある厚生年金から除外されているから国民年金をかけるが、これでは十分とは言えない事は誰でも知
っている。国民年金ですら払えない人、国民年金だけでは不足するから個人年金を掛けたいが余裕のない人、努力
してもこうしたジレンマから抜けきれない人もいる。年金など我、関せず歳をとったら生活保護を受ければいい。
最初からこう考えている人は少ないだろうが、年金を掛けていなかったため結果的に生活保護を受けることになる
ケースもあるだろう。そうした比率がどれくらいあるのか、今の時代より確実に多くなることだけは確かだ。
このような不公平なケースをどのように扱っていくのか今、年金が抱えている問題に別の負の要素が加わり信頼・
安心が更に遠のくことのないよう今から対策をとっておく必要がある。
戦争をしている時は平和を願いながら生きる、今は若い時から老後のことを心配する社会で生きなければならない。
いずれの時を生きるのか天の定めに従い精一杯生きろというか。