これは明らかに屈辱である。本物のアフリカと交信してこの屈辱をはらさいで・・・
2日後のこと、Aさんから『FT5ZAが出ていますよ』と連絡を貰い周波数を合わせて、
探す。この時はアフリカなのに難なく交信できた。これで2局目のアフリカだ。しか
し、これはアムステルダム島でインドと南極の丁度、中間辺りの島で、アフリカだと
は認知してもらえそうにない。
仮りに私がハムをしていなかった場合、他人がこれらをアフリカだと言ったら、アフ
リカとは言わず『島』だと言うかも知れない。私がモーリシャス島をアフリカだと言い
張るとXYLは私のことを『アフリカの島おじん』と言い、私はXYLのことを訳の判らな
い『島おばさん』と、ののしり合い平行線をたどる。やがてそれが夫婦の溝になり家
庭紛争、『私、暇を頂きます』てなことになると、子供を連れてTVで『お母ちゃん、早
く帰って来て』こりやあ大変だ。
それから一週間ほど経った。タンザ二アの5H3TMが日本からすんごいこと呼ばれて
いた。飽きを知らないお猿さんとラッキョの組合せのように呼び続ける。そのパイルに
嫌気がさしたのか突然にそこから姿を消した。『こりゃ、おかしいぞ、パイルを嫌って
何処かに逃げたのかな』とプラスの方に考えた。ダイアルを回してみるとCQを出して
いるのではないか。これは僕のCQだ、誰も拾うな。俺のものだ。必死になって相手を
呼ぶ、相手が私のコールサインを返してきて交信が始まった。
名前はトムさんで住所はムベア、送信機は80ワットを使用している。カード交換の約
束をして交信を終わる。後から続々と人が呼ぶのかと思ったが誰一人として呼ぶ人
はなく先程のパイルが嘘のようだった。
今度は堂々としたアフリカ本土である。顔のゆるみを整えてクールに
『あーあ、君君、タンザニアと交信しちゃったよ。ハッハッハ・・カードは郵便で送るこ
とにしたよ』モ-リシヤスをアフリカと認めてくれなかった『島おばさん』も『本当だ。ア
フリカ、おめでとうございます。よかったねー、だーもん手紙が着くかや』だとさ。
アフリカの歴史を紐といてみると辛く、悲しいしかも長い歴史があり、今もなお刻み続
けている。私のアフリカとの交信にもこのような辛い過去があったのだ。以来、南アフリ
カ、ザイール、スペイン領セウタ、ザンビア、セネガル、ガボンのアフリカ本土と、認知
されそうもないチャゴス島、カナリー諸島、それにレウニオン島と交信し次のアフリカを
追い続けている。
でも、やっぱりモーリシャス島はアフリカ 【昭和63年9月】
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