弁理士近藤充紀のちまちま中間手続8
拒絶理由通知書
引用文献1~6には、焼却炉から出る排ガス中の有害物質を活性炭等の吸着剤 によって除去した後、吸着剤を再生するに当たり、吸着剤を窒素雰囲気や水蒸気 雰囲気等の酸素欠乏雰囲気下で加熱処理する吸着剤再生方法が記載されている。
そして、使用後の吸着剤を窒素雰囲気下で加熱処理したあと水蒸気雰囲気下で 加熱処理することは格別のことではなく、加熱処理をアンモニアの存在下に行う ことや加熱処理を温度250~600℃で2分~24時間行うことは、引用文献 1~6のいずれかに記載されている。
意見書
・・・本願請求項1では、さらに還元物質を存在させることによって、吸着剤に吸着されてい るダイオキシンが分解または脱離する作用をより一層促進し、その結果、吸着剤中にダイ オキシンがほとんど存在しないようになるまで吸着剤を再生処理することができる。
引用文献1には、いおう酸化物(SOx)を吸着した使用ずみの活性炭を高温窒素 ガス等と接触させることによってSOxを脱離して吸着剤として使用した活性炭を再生す る方法が開示されている。
しかし、引用文献1で再生を図っているものは、いおう酸化物を吸着した活性炭であり 、この点で、ダイオキシンを吸着した吸着剤を再生させている本願請求項1とは相違して いる。また、本願請求項1では、還元物質の存在下に加熱処理を行っており、高温窒素ガ ス雰囲気という酸素欠乏雰囲気下に加熱処理を行っているものの還元物質を用いていない 点でも本願請求項1とは相違している。
引用文献2~6 同様に丁寧に反論
拒絶査定
引用文献2~6には、活性炭等の吸着剤を酸素欠乏雰囲気下で加熱 処理を行うことが記載されており、引用文献2~6に記載された発明における活 性炭等の吸着剤自体が、本願発明における還元物質に相当することは当業者にと って当然のことである。
「活 性炭等の吸着剤自体が、本願発明における還元物質に相当することは当業者にと って当然のことである。」とあるが、先の拒絶理由通知には、一切、そのような指摘はない。当然のことでもないと思われる。自明であれば、当初からそのように指摘しておいてほしかった。
元々ある活性炭に付着した汚染物質を除去するために、別途、還元剤を加えているのであり、元々存在する活性剤=還元剤は、理屈のうえで納得できるものではない。
活性炭を含まないかたちで、還元剤を限定すれば、登録になっていた可能性もある。その機会もなく、最後っ屁のような言い渡しで拒絶にされてしまった。
そもそも引例から外された、引用文献1は、硫黄の除去のための発明であり、活性炭にそんなに強い還元能があれば、いろんな参加数をとり得る、硫黄が還元されて、処理が難しいことになる。活性炭の還元能はそれほど強いものではないことは、そこから類推できたが・・・
組み合わせでもない独立の引例を7つも引用しており、それぞれについて丁寧に反論したのに、面倒くさい、とばかりの拒絶査定。もっと、攻撃的な意見書でもよかったかな。
いろいろ、不満がある件ではあった。審判してみたかったが、依頼先からギブアップの連絡がくれば、放棄もやむを得ないところだった。
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