以前に、空手の「フルコン」ってなあに? というご質問を頂いた。
フル・コンタクト制 = 直接打撃制の略であるが、
じゃぁ直接打撃制ってなぁに? となるはずだ。
これをちゃんと説明するには少々長くなる。
空手の歴史に触れる必要があるからだ。
自分は専門家でも研究者でもないので、
情報に誤りが有るかもしれない事を前提に、
知っている事をおおざっぱに書くと・・
1)
琉球に伝わった中国の徒手格闘技術が発達したのが「唐手」。
それが日本本土に伝わったのは明治時代
その後 「空手」という名称に変化していったと聞く。
2)
きわめて乱暴な分類になるが、その頃に確立していった流派を
一般に 「伝統派空手」 と呼ぶようだ。
松濤館流、剛柔流、糸東流、和道流が伝統4大流派とされている。
3)
現在、これらの伝統派は日本空手道連盟という団体を形成していて、
試合のルールとして 「寸止め」 を採用している。
寸止めとは、相手に打撃を当てずに寸前で止めるやり方だ。
寸止めルールには、安全に組手ができるというメリットが有る。
これによって、体の全ての部位に対して攻防が行える。
勝敗は審判の旗判定で決まる。
型の稽古に重きを置くのも伝統派の特徴である。
伝統派の試合の例
4)
戦後、この寸止めルールに異を唱える動きが出てくる。
極真会館の創始者である大山倍達さんが言い出したとされる、
当てなきゃ打撃が効いたかどうかなんて判らないじゃないか!
という主張である。
5)
ただし、打撃を直接当てるというのは非常に危険な行為である。
そこで現在では、顔・頭部への拳による攻撃は禁止というのが
一般的なフルコンルールになっている。
(蹴りによる頭部への攻撃はOK。 危険が少ないため。)
要は体の限られたの部位を、実際に殴ったり蹴ったりするルールである。
フルコンルールには、打撃のダメージで勝敗を決するという
明快さは有るが、上段(頭部・顔面)への突きが禁止されている
点では実戦的でないという意見もある (Ken坊もそう思う)
フルコン空手の試合の例
空手に伝統派とフルコンが有るのは、
バレエにクラッシックとモダン、落語に古典と現代が有るのに似ているかな。
どちらが良いという物ではなく、其々に良い点とそうでない点が有ると思う。
それを解って、如何に稽古するかが大切なのだと考えている。