警察官や消防士、自衛隊など危険性の高い業務に精励した人に贈られる第25回危険業務従事者叙勲の受章者が決まった。日高地方から瑞宝単光章に日高町産湯167、元県警部補の尾崎克彦氏(71)▽美浜町三尾938、元御坊市消防司令の中村文雄氏(67)▽印南町立石180、元県警部の森本康夫氏(70)-の3人が選ばれた。それぞれ警察、消防業務に献身的に務め、住民の安心、安全に尽くした。11月上~中旬に東京や県庁で伝達され、東京で拝謁する。県下受章者は25人で今回を含めて628人となった。国の栄典制度改革で平成15年秋の叙勲から創設された。
地域の治安維持に尽力
瑞宝単光章 尾崎克彦氏
昭和38年4月に県警に採用され、和歌山西署を振り出しに和歌山東、本部刑事部捜査2課、海南、湯浅を経て平成元年に御坊署へ赴任。同署で15年間従事し平成15年3月に退職。御坊署を含め主に刑事畑を歩み、地域の治安維持に努めた。
警察官になって4年後の昭和42年には1年間だが大阪府警への出向も経験。主に質屋回りなど盗品捜査が中心だった。和歌山東署時代に管内でアパートなどで空き巣被害が続発。聞き込み捜査で不審な車を見たとの情報から犯人を割り出し逮捕した。犯人は2人組で、市内だけでなく新宮まで県内各地で犯行を繰り返しており「余罪の多さに驚いた」と振り返る。
「刑事は足で稼ぐ」と言われるように、地道に聞き込みや張り込みなどを続け証拠を積み重ねることが捜査の鉄則。捜査の技術は誰も教えてくれない、自分もそうだが先輩のやっていることなどを見て学ぶもので、そうした長年培った刑事としての「カン」が捜査で生きてくる。刑事畑が長く休日や夜間も事件などで呼び出されることも多く、休みがあってないようなもので家族には迷惑をかけたとしながらも「警察官としては当然のこと」と使命感を持って職務に励んだ。
尾崎さんの話 先輩や同僚、地域住民のお陰であり、家族の理解と協力で40年間無事務められたと感謝しています。
消防業務36年間の功績
瑞宝単光章 中村文雄氏
昭和48年4月1日、御坊市消防本部予防課に消防士として採用され、昭和54年4月に警防課、57年に予防課に移り、平成18年には消防本部予防課長に就任し手腕を生かし、平成21年3月に退職するまで市の予防業務に尽力した。最終階級は消防司令。
高校を卒業後、6年間通信関係の民間企業で働いていたが、24歳の時に「人の役に立ちたい」と消防士になることを決意。
予防課に移った昭和57年8月、関西電力御坊発電所が作られる市の一大事業が始まった。昭和59年に第1号タンクが発電開始し、3号タンクまで全ての発電が始まるまでの約2年半、当時の課長ら6人で審査許可を出すため連日徹也で資料とにらめっこし、細かいところまで検査するため、課長に付き添い、「火災があった大変なことになる。たった1つでも間違いがあってはいけない」と機密検査に携わった。「100%適合したときは、人の役に立てたとうれしくなった」と話す。
町内会に訓練指導に行った際、「消火器の取り扱いは使って実践していることが重要」と住民に訴えた。現在は三尾区自主防災会に所属し、消防班長として区の災害防止に努めている。
中村さんの話 大変光栄でありがたい。先輩、後輩の支えの賜物と深く感謝している。本当に人に恵まれていた。
交通、地域畑中心に活躍
瑞宝単光章 森本康夫氏
昭和40年9月に県警に採用され、御坊署を振り出しに本部交通機動隊、免許センター、湯浅署で勤務。平成17年3月に初任地と同じ御坊署で定年を迎えた。39年6カ月従事し主に交通、地域畑を歩み交通安全、地域の治安維持に努めた。
初任地の御坊署時代には、当時、所轄に白バイ係というものがあり、405㏄のバイクで交通取り締まりにあたった。交通機動隊では悲惨の交通事故を未然に防ぐため多くの違反者を検挙したが「事故防止のためとはいえ、刑事事件の犯人と違い、検挙する人のほとんどが善良な市民。嫌みなどを言われることも多かった」。名田や美山など駐在所勤務も長く「地域の人達にとてもよくしてもらった」と感謝する。
40年間の警察官人生で印象に残っている出来事として、沖縄が日本に復帰し右から左側通行に変わったことを受けて昭和52年に交通指導で沖縄に応援に行ったことを挙げ「隊員6人で白バイとともに南港からフェリーで向かった。1カ月間休みもなく、暑いしスコールも多いなどとても大変だったが、全国から応援にきていた警察官とも知り合い、今も交流している」と当時を振り返りながら懐かしんでいる。
森本さんの話 先輩や同僚、地域の人たちの支えはもちろん、家族の理解と協力で無事務められたと感謝している。
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