総合教育会議委員から給食完全無料化に反対意見が出され、
商品券での代替案へ
日高川町の市木久雄町長は20日、町長と町教育委員5人で設置する「総合教育会議」の場で、小中学生の学校給食の完全無料化に対する意見を聞き、無料化に慎重な対応を求める委員らの意見を踏まえ、実施しない方針を決めた。子育て世帯を応援したいとの強い思いから、年間の給食費と同額となる5万円分の商品券を全児童生徒(給食費無料の第3子以降は除く)に配布する代替案で対応する考えを明らかにし、9月議会にも約4000万円の予算を計上する方針だ。
給食費の完全無料化は、選挙公約の1つで、町長就任後に全園児と第3子以降の児童生徒の給食費を無料化した。一方、全児童生徒の実施には、同町だけ突出すべきでないとの配慮や、御坊市との組合立の大成中があるうえ、町民の中にも反対意見が多くあるため慎重に検討。代替案として、昨年度は中学生以下の子ども全員に1人1万5000円の「子育てサポート商品券」を配布する形で給食費の一部を支援した。
3月議会の一般質問で一部議員が「公約違反」などと指摘し、給食費の完全無料化実施を促した。これを受けて町長は翌日、公約についての質問の中で実施に前向きな考えを示し、総合教育会議の意見を踏まえて判断したいとの方針を明らかにしていた。
総合教育会議では、委員から「物のありがたみがなくなり、当たり前という感覚になるのではないか」「保護者にとっては『良いなぁ』という気持ちはあるが、少額でも負担し子どもを育てるという感覚が必要」など、給食費の完全無料化は慎重に対応すべきとの意見が出された。
これらを受けて市木町長は「町民の中にも反対の声があり、実施に踏み切れなかった。公約でもあり、子育て世帯を応援したいという思いを強く持っているが、委員の皆さんの意見を配慮したい。給食費の無料化は実施せずに、子育てを応援する別の施策を検討したい」と述べた。
代替の施策は、昨年度と同様の商品券。すでに無料化している第3子以降を除く児童生徒1人に対して、子育て応援券として年間の給食費とほぼ同額の5万円分の商品券を配布する。プレミアム商品券と同様に町内商店などだけで使用できるため、給食費の無料を実施するよりも経済効果も期待できるとしている。また、給食の完全無料化を一度実施すれば、有料化に逆戻りするのは容易ではなく、町財政などの状況を勘案しながら単年度の施策として実施できる商品券の配布で給食無料化と同様の子育て支援効果を期待する。配布額は、最大で1世帯あたり2人分の10万円になり、費用は約4000万円。9月議会にも予算を提案し、議会の承認を得て10月にも配布する。
29年度から一部親子方式
学校給食体制を見直し
同町内の学校給食は現在、小学校9校、中学校4校の全13校で調理する「自校方式」を実施しているが、今年度中に調理場の整備等を実施し、1校の調理場から別の学校に配給する「親子方式」を平成29年度から一部で導入。近く検討委員会を設置して具体的な実施方法に向けて検討する。
第1段階で親子方式の導入を検討しているのは、丹生地区と美山両地区内で隣接する小学校2校と中学校1校が対象に「親施設」で調理を行い、2校に配給する形。現在は各校1人の調理員が担当しているが、安全安心な給食体制を充実させようと、調理員3人と栄養士1人を配置する考え。
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