平成29年春の褒章受章者が決まり、日高地方から藍綬褒章で更生保護活動に尽力している御坊市湯川町富安の保護司、塩路正さん(76)が選ばれた。22年間にわたり犯罪をした人の改善、更生の支援や犯罪予防の啓発など各種活動に献身的に取り組んでいる。県内全体で10人が受章。塩路さんの伝達、拝謁は5月16日に東京で行われる。
平成7年に保護司に委嘱。以来、萬福寺住職と定年退職まで高校教諭を務めながら22年、保護観察をはじめ、生活環境調整、犯罪予防活動などに従事、犯罪や非行した人たちの社会復帰に尽力している。昨春まで10年以上にわたり日高保護司会理事を歴任、平成23年からは浄土宗和歌山教区保護司会長を務めている。
「同じ目線になって」を常に心掛け、これまで20人を担当。保護観察では10代の少年から中高年まで16人と面談を重ね、更生を図るための約束事を守るよう指導してきた。面談者の話に親身になって根気強く耳を傾け、励まし立ち直りをサポート。寄り添ってそっと背中を押す。社会復帰の際には、このようなことで再び会わないことを約束し、送り出す。
思い通りにいかないことも多く、対象者が面談に現れず、連絡が取れないこともしばしば。家に引きこもってなかなか会うこともできない人もいた。「保護観察所の先生に一緒に面談にいってもらったり、よく亡き妻(敏子さん)に励まされた」と振り返る。苦労も多いが、社会復帰を果たした人たちの健全な暮らしぶりの知らせや感謝があったからこそ続けてこられた。感謝を胸に家に近況報告をしに来てくれる人もいれば、旅行の土産を持ってきてくれる人も。2年前に敏子さんが亡くなった際には、20年前に担当した人が通夜に参りに来てくれた。「仕事の都合で葬式に出られなかったので、線香を上げさせてほしい」と訪ねてきた人もいる。「携わった人たちの幸せそうな姿を見たり、知らせが届くと心からやっていて良かったと思う」と話す。
生活環境調整では4人を担当。帰住予定地の調査や引受人との話し合いなど行い、スムーズに社会復帰できるよう努めてきた。
犯罪予防活動では日高保護司会のメンバーとして各機関と協力しながら啓発活動。和歌山教区保護司会では京都市内での啓発活動など近畿規模の取り組みに参加。会長としてメンバー17人をけん引し、知識の向上へ研修会の開催などに携わった。秋に保護司を引退する。
受章に際し、「このような章をいただくことができ身に余る光栄です。保護司の方々や地域の皆さまをはじめとする多くの方々のおかげと感謝しています。秋に引退となりますが、陰ながら更生、非行・犯罪予防の手助けをしていければと考えています」と話している。
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