令和元年春の叙勲に県内から43人が受章した。日高地方から瑞宝双光章に更生保護功労で御坊市薗230の2、保護司の天野孝二さん(77)と、教育功労で御坊市湯川町財部253の5、元公立中学校長の舩木武裕さん(71)▽瑞宝単光章に消防功労で御坊市湯川町小松原311、元市消防団副分団長の小川壽雄さん(70)-の3人が選ばれた。いずれもその道一筋の功績が認められた。伝達は22日から下旬にかけて省庁や県庁で行い、下旬に東京で拝謁する。
社会復帰支え24年
瑞宝双光章 天野孝二氏
平成7年に保護司に委嘱。以来、24年間の長きにわたり犯罪や非行した人たちの社会復帰を支え続ける。22年まで御坊保護司会会長を14年間、日高保護司会会長を8年間務め、現在は県更生保護協会理事として活動している。
これまで傷害や窃盗、薬物、虐待などの罪を犯した少年から中高年まで十数人を担当。「同じ目線になって」をモットーに常に対象者に寄り添い立ち直りをサポート、再犯防止に努める。面談で何も語らない、正直に話そうとしない対象者もいる。面談に現れず、連絡が取れないこともしばしば。心を開いてくれるよう親身になって耳を傾け、現れない時には対象者の家を何度も訪ねる。思い通りにいかないことも多いが、社会復帰した人たちの健全な暮らしぶりを知った時、「心からやっていて良かった」と実感する。対象者の帰住予定地の調査や引受人との橋渡し役としても力を注いでいる。
さまざまな啓発活動で犯罪予防に努め、御坊・日高両会ではベテラン保護司として青年保護司の育成に尽くす。地域の保護司の活動拠点となる「更生保護サポートセンター」の立ち上げにも貢献した。
天野氏の話 身に余る光栄。これも偏に多くの方々のおかげ。秋に退任しますが恩義、義理、人情を忘れず日々精進していきたい。
強い使命感持ち教育実践
瑞宝双光章 舩木武裕氏
和歌山大学教育学部を卒業し、昭和45年4月から38年間、中学校教諭として、高い理想と未来への展望をもって教育実践に精魂を傾け、大きな功績をあげた。
平成元年から3年間、日高地方英語教育研究会の会長を務め、英語科指導委員として学校訪問等を通じ「楽しく分かる授業の創造」の指導に努める等、日高地方の英語教育の充実発展に尽力。
部活動指導では、印南中女子バレーボール部監督として、昭和51年から5年連続県代表で全日本中学生男女バレーボール選手権大会に出場し、ベスト8に輝く等、顕著な功績を残した。
平成13年4月から5年間は、御坊中学校の校長として「ピンチはチャンス」を合言葉に、信頼される学校づくりに取り組んだ。適材適所に職員を配置することで、職員にやりがいを与えてやる気を高め、生徒の学力向上につなげた。不可能と思われた学校給食導入も実現し、学校改革を押し進めた。
平成20年4月から4年間は、印南町教育委員会教育長として日高地方の教育をリード。いなみこども園の設立にも大きく貢献した。
舩木氏の話 身に余る光栄。支えて下さった方々、お力添え下さった方々のおかげです。これからも微力ながらお役に立てれば。
現場で指揮力を発揮
瑞宝単光章 小川壽雄氏
昭和52年12月、御坊市消防団湯川分団に入団し、平成6年に班長、16年に部長を歴任。19年に副分団長に就任後は豊富な知識と経験を生かし団発展に努め、火災災害現場等で迅速・的確な指揮力を発揮した。
入団当時は火災も多く、さまざまな現場を経験。平成24年4月16日夕方、御坊市湯川町財部で発生した木造2階建て民家の火災では、発見の遅れから火の手が広がっていたが、南側隣接の民家への延焼を防ぐよう指示。自身も筒先を持ち、懸命に消火活動を行い、延焼を阻止し、被害を最小限に抑えた。
このほか、御坊市島地内で、同業者の自宅兼店舗での火災や、藤田町藤井で発生した2件の火災は印象的だという。
現場では「延焼を防ぐ」、「人命」に重点を置いて活動に取り組んだが「一番は無災害」と予防にも積極的。石油ストーブなどを使用する時期には、「火に気をつけてよ」との声掛けや、春と秋の火災予防運動中には車両での防火パレードも実施し、広報活動にも取り組んだ。
現在はABC電器店を営みながら、小松原区の防災委員としても活躍している。
小川氏の話 長く続けてこられたのは、家族の理解があってこそ。光栄に尽きます。仲間が沢山できたのは、消防人生の宝です。
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