昔は、お正月が近くなると、おおかたの家庭で「お餅」をついていた。
僕の家でもある時期までペッタンペッタンやっていたが
あの餅つき器が出来てからは、たいそうなことをしなくなった。
いつのまにか石ウスやキネもどっかにいってしまったし、
作る餅の量もわずかになって、年末の情緒のかけらもなくなった。
お店には、それ用の「お餅」が並び、手間ヒマかけたあの「餅つき」を
することも、お目にかかることもそうはあるまい。
キネを振り下ろす男、水をまぶして巧みに返していく女
ピッタリと呼吸があって、それはそれは、それこそモチモチの
お餅が出来上がる。
つきたての熱~い餅を家族みんなで口に入れて、「ファ~ファ~!熱っ!」
おじいちゃんも孫たちも・・・おばあちゃんも
そんなことは二度とないだろう。