日程:2013年12月20日(金)~21日(土)
行動:単独
この三連休は冬山始めとして八ヶ岳へ。
いつものように手軽なバリエーション・ルートも考えたが、今回は「(明日のための)体力トレ」ということで編笠山から蓼科山まで全山縦走のつもりだったのだが・・・。
12/20(一日目)
天候:のち
行程:横浜(JR)新宿7:20(高速バス)小淵沢9:48(タクシー)観音平手前ゲート10:03~15-富士見平-雲海-押手川13:40-青年小屋17:00
今回は縦走なので公共交通機関で行く。
小淵沢までは高速バスを利用。
渋滞さえ無ければJR特急とほぼ同時刻に現地に着き、料金も1/3お得。しかも必ず座れるし。
直前にネットで予約し、朝の新宿のバス・ターミナルに着いてみると登山者の姿もチラホラ。
そこで一際目を引いたのが超・巨大ザックの一団。
昔ながらの赤布付けた竹竿も持っているし、こりゃ絶対どこかの大学山岳部だろと思い聞いてみると「東京N大」とのこと。
懐かしくなって「自分はM大だったんですよ。」と言うと「スゴイ!Mですか!」と言われたので、あわてて「いや、途中で辞めちゃったんですけどね。」と返しておいた。
あの頃、山岳部でもM大とN大は似たイメージからか?仲が良く、ついでに言うとW大は頭が良いのでほんの少し上に見ていて、逆にチャラく女子に持てそうなA学などには絶対負けるなという雰囲気があった。
で、この巨大ザック。特注品で容量120リットルとか!
自分の頃はキスリングでやはり特注だったが、ここまでバカでかくはなかったように思う。見た目、ほとんどドラム缶だ。
定刻どおりバスは出発。渋滞無しで小淵沢へ。
高速のバス停を降りたところでタクシーを呼ぶ。
一昨日からまとまった雪が降り、今は登山口の観音平よりずっと手前のゲートまでしか入れないと言う。
ゲートに到着すると、軽トラで乗り付けたオレンジ・ベストのおっちゃん軍団が集まっていた。
地元の猟友会の人たちで、今日の狙いは「鹿」と「猪」とのこと。
間違ってもこちらに向かって撃たないでねと祈りつつ、歩き始める。
ちなみに私は冬のアウターは赤を選んでいるが、これは緊急時に目に付きやすいこと、雪山の写真では見栄えがすることに加えて、実は猟師からの誤射防止も考えている。
最近のアウトドア・ウエアはあの栗木くんの例もあって黒が人気のようだが、これは他の服装と合わせやすく街でも着れるからと某メーカーのスタッフから聞いたことがある。
山ウェアも実用性よりファッション優先ということか。
山にまったく行ったこともない腹の出た連中がきれいなpatagoniaやノースフェイスを着ていると、ちょっと腹立たしく思うのは私だけ?
タクシーの運転手によれば、山道の方がショートカットだがけっこう雪が降ったので舗装路をそのまま進んだ方が良いとのこと。
それに従い、まずは富士見平まで一時間強。
その先から登山道に入る。覚悟していたが、他には登山者なく、さっそく軽いラッセルとなる。
トレースはあるにはあるが、全て鹿のもの。このあたり鹿がかなり多く、あちらこちらで「ピーッ!」という甲高い鳴き声と共に樹林帯の中を何頭かの群れが横切るのを頻繁に目にした。
フカフカの新雪でアイゼンを着ける必要はないが、それでも登るに連れ、雪は次第に膝までのラッセルとなる。
間隔を置いて木々に付けられた赤テープがあり迷うことはないが、それでも樹林帯の中でトレースがないとついつい歩きやすい方を選び、違った方向へ進みそうになってしまう。
雲海という地点を過ぎ、さらに押手川の分岐まで来ると場所によっては腿まで潜る深雪となる。
最初、忠実にピーク通しに編笠山へと登りかけたが、予想以上の雪の量にすぐ引き返し、青年小屋へ直接向かうトラバース道を選ぶ。
しかし、ここからがキツかった。
完全に一人ラッセル苦行となり、押手川分岐から青年小屋まで夏のコースタイムだと1時間のところを実に3時間以上かかってしまう。
腿から腰にかけての雪にもがきながら、ようやく青年小屋に到着。
テントはもちろん持ってきたが、延々続けたラッセルで疲れ果て整地して張る気力も無い。冬季小屋が解放されていたので迷うことなくそちらへ。
本日の冬季小屋は独り占め。
中はけっこう広く畳敷きだが、鉄の壁で囲まれているせいか冷凍庫のように冷え切っている。
夜になって扉の外側に設置してある温度計を見たらマイナス20度を下回っていた。
まぁ、これは若干狂っているとしか思えないが、それでも小屋内でも手袋をしていないと凍傷になりそうなぐらい、この夜は冷え込んだ。
結局、一日目にキレット小屋まで行く予定が全然届かず。
明日からの行動もどうするか考えがまとまらないまま、とりあえず酒飲んでシュラフにもぐる。
12/21(二日目)
天候:時々、のち
行程:青年小屋8:10-のろし場-引き返し点11:30-青年小屋12:40~13:30-富士見平17:30-JR小淵沢駅18:45
昨夜は冬用シュラフでも小屋が広いので空気が暖まらず、けっこう寒かった。
朝5時には一旦起きるが、外を見ると予報に反して上部はガスで小雪が舞っている。
ここまでの予想以上のラッセル、そしてこの時点での天気からして縦走は諦め、もうしばらく待機。
7時頃、ようやく外が明るくなってきたので、寒さでギクシャクした身体に鞭打って用意を始める。
この分では今日中にキレット小屋までも到達できるか怪しいので、シュラフや食料などほとんどの物を小屋にデポし、行動食やカメラなど最低限の物だけザックに入れて権現岳を目指す。
しかし、この先も当然ながらトレース無しの一人ラッセル。
まだしばらくは樹林帯が続き、腿から腰まで潜る雪との格闘となる。
幸い陽射しが出てきて、樹林帯を抜けると富士山なども見えてくるが、足はまったく重い。
切りのいい所で引き返そうとそればかり思いながら機械的にラッセルを繰り返す。完全に苦行だ。
のろし場を過ぎ、シュカブラのできた水平リッジを進み、ちょっとした岩場の所はルンゼ通しに頭を越す雪壁となっていて、ここをもがきながら突破。
高度計を見ながら、それでももしかしたらもう権現まで近いんじゃないかと思って小高い尾根のコブに立ってみたら・・・。
目の前に権現岳手前のピーク、「ギボシ」がまだ遥かに遠い。
ここで完全に気持ちが折れた。
しばらく、その場で神々しいギボシを眺めながら小休止。
やがて自分の付けたトレースに沿って下り始める。
下りもけっこう潜るがそれでも登りに較べるとペースははかどる。
青年小屋が近づくと人影が見え、やがて単独の軽荷の女性と出会う。
「途中までトレース付けたけど、この先も雪かなり深いですよ。」と言うと、彼女は「とりあえず今日はのろし場まで。」と言う。
そのまま別れ、自分はコーヒーでも飲んでから下山しようと再び小屋で落ち着いていると、先ほどの彼女が「やっぱり今日は止めた。」と言って下りてきたのでしばらく四方山話など。
彼女は現在はこちらの方に住んでいて地元の山岳会に所属、今日は一人で耐寒訓練?とかでシュラフ無しでツェルトにくるまって寝ると言う。
まぁ死ぬことはないと思うが、・・・大丈夫か?
しばらく休んでから「それでは頑張って。」とこちらは小淵沢へ向かって下山開始。
まぁ今回は雪の条件が悪過ぎた。
下っていくうちに登ってくる何パーティーもの人たちと擦れ違う。
自分が連休の前日から入山したのだから仕方ないが、このトレース自分が一人で付けていったのだから少しは感謝してねと思いながら降りていく。
富士見平の舗装路に出た時には既に日が暮れ、後は暗い夜道をトボトボ歩く。
途中、温泉のある「道の駅・小淵沢」でお土産などを買い、最後は暗い中、道に迷って若干遠回りをしながら小淵沢駅へ。
久しぶりに完敗の二日間だった。
単独しかもトレースなし、無人山小屋泊、冬期縦走、いいのは天候のみ。
本来こういうのを雪山登山というのでしょうね。
僕もこういう登山を一人でできるようなれるよう勉強中です(笑)
現場監督さんがなさる登山には他の登山にはない魅力があり、いつもいつもこういう登山を(今の僕の実力では到底真似できませんが、)いつかは僕もやりたいと刺激を受けます。
まさにイントゥザワイルド的な登山です。
しかし、大きなバックパックですね。宇宙飛行士の背中のタンクくらいあるのではないでしょうか!?
女性単独ツェルトのみってイントゥザワイルド指数がかなり高い方でしたね~。
いやー、そんなことないです。何といっても敗退は敗退。
しかも一般ルートですからね。今回はいいいとこなしです。
八ヶ岳も甘く見てるとキツいですねぇ。(別に甘くは見てませんが)
「イントゥザワイルド」って映画にもなりましたよね。
たしか最後はキノコか毒草食べて死んじゃったような・・・?
あの女性はどうしましたかね。
正直、小屋で耐寒訓練するよりシュラフを持って外でツェルト張ってみる方が実戦向きだと私は思いましたが・・・?
八ヶ岳、この週は水曜日あたりから雪が降って、連休はどこもラッセル祭りだったようです。
私の方も、昨年に引き続いていいところなし。
ま、人生とはそんなものです・・・。
来春、谷川方面の宿題片付けにご助力よろしくお願いします。
当初こちらも出合小屋ベースに天狗尾根など考えてましたが。
あの週は本当によく降ったようです。
ラッセル祭り、祭りは北島三郎だけでたくさんと思うぐらいシゴかれました。
春の谷川ですが、他からの先約もあり日程は調整させてください。
今冬はとりあえず凍傷しないようにしないと。