”愛の大工”
心の修理をします
台風が吹くと 垣根がこわれたり
大雨が降ると 屋根がもったり
するように
愛もときどき 破損したり
穴があいたりします
そんなとき 専門の大工さんが必要です
少年時代
ぼくは夢のなかで
天の川の堤防が決壊して
星が空じゅうにあふれ出そうと
するのを修理にゆきました
大人になった今
愛の修理を引き受ける大工に
なりたいと思いながら
”愛の大工”
心の修理をします
台風が吹くと 垣根がこわれたり
大雨が降ると 屋根がもったり
するように
愛もときどき 破損したり
穴があいたりします
そんなとき 専門の大工さんが必要です
少年時代
ぼくは夢のなかで
天の川の堤防が決壊して
星が空じゅうにあふれ出そうと
するのを修理にゆきました
大人になった今
愛の修理を引き受ける大工に
なりたいと思いながら
せつなさばかり大切に
して
いけなかった私たち
強さの前にたじろぐもの
だけ
追いかけていた私たち
幼かった私たち
澄みきったものだけが
美しいのではないのだと
今ならわかるのに
あなたからいただいた手紙を
もう一時間も読んでいます。
やらなくてはいけないこと
がたくさんあるのに、どう
しても手紙をおく気になら
ないの。
それで、お返事を書くこと
にしました。
それだけが手紙をおくきっ
かけになると気づいたから
です。
女の魅力に、
解説はいらない
ただ感じるもの。
魅力的な女性には、
どこか捉(とら)えどころの
ない妖艶さがある。
「何気なく詰めていると、いち
ばん大切なものが入らない」
「人間が感じる“恐れ”のうち、
40%はぜったい起きないこと」
「苦しいから逃げるのではなく、
逃げるから苦しくなる」
仕事や人間関係に行きづまった
とき、とらわれた考えを脱ぎ
捨てて、新たな気持で日々を
生きたいものだ。
どんな時がたっても、私の
思いはかわりません。
たとえ、この便せんがセピ
ア色に変わったとしても、
私の思いがセピア色に
なってしまうことは、未来
永劫なのです。
忘れられた女がひとり、港町の
赤い下宿屋に住んでいました。
彼女のすることは、毎日、夕方に
なると海の近くまで行って、海の
音をカセットレコーダーに録音し
てくることでした。
彼女の部屋には、日付を書き込んだ
カセットテープが一杯散らばって
いましたが、どれをきいても、ただ
波の音がきこえてくるばかりだった
のです。
―――どうして、毎日、海の音ばか
り録音しているの?
と、通りがかりの少年水夫がききま
した。
―――わたしにもわからないわ。
と、忘れられた女が答えました。
ただ、波の音をきいていると、
気持ちが落ちつくの。
(この忘れられた女には、むかし
好きだった船乗りがいたそうです。
その船乗りは、、ニューイングラン
ド沖の航海に出たまま帰ってきませ
んでした。噂では、戦死したとか、
難破して死んでしまったとか言われ
ましたが、女はどれも信じないで、
いつまでも待ちつづけたのです)
ある日、その忘れられた女が、暮方
になっても録音にやってきませんで
した。
「おかしいなと」少年水夫は思いまし
たが、大して気にもかけませんでした。
しかし、そのあくる日も、またあくる
日も、やっぱりやって来ないのです。
とうとう少年水夫は、赤い下宿屋に女
を訪ねてみました。
すると、部屋には鍵がかかっていず、
だれもいなかったのです。
一台のセットされてあったカセットの
スイッチを入れてみると、波の音が
きこえてきました。
それは、ごくありふれた暮方の波の
音でしたが、じっときいていると、
吸いこまれるようなさみしい感じが
しました。
ふと、耳のせいかドボン!という
小さな音がきこえました
おや、と思ってテープをまき戻して
みると、やっぱりドボン!という
小さな音が聞こえるのでした。
(自分の録音してきた海の音に、
飛び込んだ、さみしい女の自殺した
夏の物語です)