好きになれ・・・・
思いっきり好きになれ・・・・
そのひとのよろこびも、
悲しみも・・・・
みんなひっくるめて、
好きになれ・・・・
好きになれ・・・・
思いっきり好きになれ・・・・
そのひとのよろこびも、
悲しみも・・・・
みんなひっくるめて、
好きになれ・・・・
”人は愛するたびに誤ちをおかし
ているのかも知れない。それでも
愛さなかったより、愛する幸福を
一度でも知った方がより深い人生
を生きたことになる”
余談だが、
北鎌倉の駅から鎌倉よりに、東慶寺
という静かな尼寺がある。
江戸時代から有名な「かけこみ寺」
である。
封建時代には、女は結婚の自由は
もちろん、離婚の自由さえなかった。
親や兄弟の利益のため政略結婚に
利用され、どんなに横暴で非道な
虐待をうけても、女は一たん嫁(か)
した以上は、死ぬまでそこで辛抱を
強いられた。
そのくせ、女は夫の都合によって、
いつでも勝手に離婚されることが
あった。
妻が夫と別れたい時は、死ぬしか
道がなかった。
ただ一つ北鎌倉の東慶寺まで逃げ
のび、一歩この寺へたどりつけば、
法律の届かない世界になっている。
今でも昔のままに残っている東慶
寺の石段の下までたどりつくと、追
手に追われた女は、必死になって、
履物を寺の境内にむかって投げ
こんだ。それが片方でも境内に
とどきさえすれば有効で、体は
捕らえられても女の逃走は認め
られるというきまりがあった。
・・・・・・・。
太陽が東の空に昇れば、儚く
消え去ってしまう、朝露の
ような、約束。
あなたは注文する。バーテンダ
ーの背中に向かって、ため息を
つく。
彼はまだやって来ない。どこか
らも、姿を見せない。エレベー
ターのと扉はさっきから何度
も、開いたり、閉まったりして
いる。が、彼は乗っていない。
あなたは気づく。やっとのこと
で、悟る。
今夜、彼は来ないかもしれない。
いや、来ない。来ないに決まっ
ている。きょうの約束は、あの
約束だったのだ。
あの約束―――
いつだったのか、このバーの
ちょうど真下にあるはずのベッ
トの上で、交わした指切り。
「いつものように待ち合わせ
をして、仮にどちらかが現れ
なかったら、それを『別れ』
のメッセージにしよう。
きれいさっぱり、あと腐れな
く、別れよう」
ついさっき見た、気持ちのいい
夢が一瞬にして、悪夢にすり替
わる。
夢のなかで、誰かの体を抱き
しめているのは夫だ。夫は
恋人の耳に囁いている。
「妻にきみのことを打ち明けた。
何もかも話した。別れるつもり
だ。俺にはもう、きみしかいな
い・・・・・」
まぶたをこすっても、こすって
も、あなたの目にはすべてが
二重に映っている。
かなわなかった恋ほど、あ
とをひくのはなぜだろう。
わたしは正人が好き
だった。
黒く濃くて長い、蓮のまつ
毛が好きだった。
そのまつ毛の下の、一見
意地悪そうな視線が、好き
だった。
細かい文字を読もうとする
ときの、ほんの少しだけ目
を細める癖や、頬杖をつい
て考え事をしている時の
どこか無防備な仕草が好き
だった。ほんの少しだけ湿
った、あたたかい手のひら
が好きだった。
骨張った両腕。その腕が私
の腰をしっかりと支え、み
じんの不安を感じさせない
で、軽々と、私の躰を抱き
上げる瞬間が、好きだった。
朝はやってくる。
無邪気な希望のその先にも、
果てのない絶望の先にも、
喜びに満たされた夜のあと
にも、
悲しみに覆い尽くされ、
もう明けないのではないか
と思えるような長い夜
のあとにも、朝は訪れる。
どんな人のもとにも平等に、
静かに。優しく、冷たく。
心がひきあっているなら
どんな障害があっても
自然とあゆみよっていくもの
です
そこには
内気さや躊躇や策略は
はいりこむスキがないのです
どうしてもすれちがってしま
うとか
相手を思いやるばかりに強気
にでれないというのなら
それはやはりお互いに
それほど求めあっているのでは
ないのでしょう
恋する少女を力づけるどんな
言葉もありません
彼があなたを心の底からほし
がっているなら
あなたがあれこれ考えるヒマ
もないほど
あっというまにさらわれてい
るはずなのです