余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

本で床は抜けるのか

2024-09-21 22:21:19 | マイブック(な)
「本で床は抜けるのか」
      西牟田靖 著

何といってもタイトルに惹かれた。
本は重い。
ダンボールに詰めに詰めた時の重さといったらとんでもない。
腰に気をつけなければギクッといってしまうだろう。
そんな本にどれだけ床は耐えられるのか。
興味は尽きない、というか心配だ。
年間に読む量はそれほどではないにしても、
積もり積もれば増えていくばかり。 
減らすということをしなければ本の山となる。
取って置きたくなる葛藤。
ここに出てくる人たち、この著者は取材を通して解決策を模索する。
井上ひさし、草森紳一、立花隆、などなど。
とにかく蔵書の数がすごい。
そして本という形でおさまる言葉の風景。
箱におさまる言葉たち。言葉になった物語。
そして生活と本。
デジタルにすることもまた悩むこと。
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くもをさがす

2024-01-02 23:12:52 | マイブック(な)
「くもをさがす」
      西加奈子 著

西加奈子が乳癌になり、その経過を綴った本。
癌と向き合った日々。
人とのつながりの中で、生と死を見詰める。
その頃著者はカナダのバンクーバーに住み、
コロナウイルスによるパンデミックも起こっている。
切なる言葉の歩み。
著書は四冊ほどしか読んでいないが、
魂の叫びを、何か力強い咆哮のようなものを感じる。
悲しみだけではない燦々と降りそそぐきらめきを。
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愛についてのデッサン

2023-12-24 23:45:08 | マイブック(な)
「愛についてのデッサン」
      野呂邦暢 著

主人公の佐古啓介は古書店を営む。
そこで起こる頼まれごとやのあれこれを解決していく。
日常に住む謎々。
手を伸ばせばそこにあるかもしれない謎。
詩を散りばめながら進んでいく物語。
詩はある日常の一節として入り組む。

他の短篇も楽しい。
内容的に面白いというわけではないけれど、
心地よく読めることの楽しさ。
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ふる

2023-03-11 01:28:33 | マイブック(な)
「ふる」
      西加奈子 著

主人公は池井戸花しす、28歳、女。
職業、アダルトビデオのモザイクがけ。
趣味、ICレコーダーで声を録音すること。
そして白いいきものが私に見えること。
あそこを見続けることのなかで感じ、感じていく感性は、
ある日ふと訪れる。白い生きもののように。
それはきっかけがあるのだろう、日常の触れ合いのなかで。
ひとつのシンボルとして。
不思議に思わないだろうか。
なぜ欲情の対象となるのだろうかと。
隠された部分、生の生まれるところ。
多様のなかでのひとつの男と女。
マジョリティとしての根源的な部分。
女という性をあそこから見る。
それからもうひとつ、時折出てくる新田人生。
彼はなにを見ているのだろうか。
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夕子ちゃんの近道

2023-03-10 00:40:29 | マイブック(な)
「夕子ちゃんの近道」
      長嶋有 著

緩やかな時の流れ。
長嶋有の小説は時がゆったりしているように感じる。
舞台はフララコ屋。
フララコ屋はアンティークのお店だ。
その二階の部屋とはいえない物が積み込まれている一室に、住む僕。
僕に名前はでてこない。
最後のほうでちらっと謎々のようにでてくるけれど。
フララコ屋の周囲に住む人々とともに、僕は日々を過ごす。
そう、日々を過ごす物語だ。
夢でもなく、夢を見ているわけでもなく、たんたんとした日々を。
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