「昨日がなければ明日もない」
宮部みゆき 著
イギリスにアガサ・クリスティーがいれば、
日本は宮部みゆき、
僕はそう思うのだ。
さて、杉村三郎。
シリーズである。
杉村探偵が三篇の事件を手掛ける。
杉村は寄り添う。
どう寄り添うのか。
痛みをそっと包み込むように。
一話目は集団の持つ暗黒。
集団はときにあまりにも残酷になりえる。
二話目は手品のように二転三転。
三話目は離せはしないもの。
手放すことができないもの。
永久のミクロの世界。
読了後は物悲しい風が景色を響かせる。
最近は情報がおかしな方向へ向かっている気がしてならない。
今も昔もなのか。
自身の許容範囲をこえてしまっているのか。
すこし遮断し、
ひとはうまれそだちいきて、おい、
しをむかえる。
獲得していくものは花鳥風月のような流れを、
孤独と孤独が手をつなぐ生きもの。