余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

性的人間

2024-10-23 23:08:31 | マイブック(あ)
「性的人間」
      大江健三郎 著

性の観点から人間を見詰める。
Jという男。
妻に自殺された男の見詰めるもの。
痴漢という行為により、欲望とともに破滅を追い求める。
セブンティーンの男。
自瀆(じとく)という快楽でしか慰められない心を、
もって行き場のない精神のいき場を自身の性器に向ける。
やがて男は政治へと陶酔していく。右へと。
猿と暮らす男。
部屋の四隅にいる猿。
男は猿に見詰められるため、自由に過ごすことができず・・。
それぞれの男たちは揺さぶられ揺すられて生きている。
性をあいだに挟みながら。
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個人的な体験

2024-10-15 23:08:52 | マイブック(あ)
「個人的な体験」
      大江健三郎 著

主人公の名はバード。
あだ名、鳥(バード)と呼ばれている。
そのバードに子供が生まれるのだが、障害があった。
シャム双生児のような頭に腫瘍がある。
もう一つの頭のような大きな瘤。
バードはこの子をどうすればいいのか、思考の渦へと吞み込まれていく。
この子のため、あるいは自身のため、
死へと導いていくのがいいのではないかと。
問いかけ続ける先の答えとは。
そしてバードがだした結論は。
著者自身、障害の持つ子の親として書くひとつの物語。
生を見詰めて。
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わが蒸発始末記

2024-09-21 22:44:49 | マイブック(あ)
「わが蒸発始末記」
      井上ひさし 著

可笑しさの中にひそむ真実。
おもしろく読み進める中に、
ふと止まり考えてしまうことが含まれている。
井上ひさし、うーむである。
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灰の劇場

2024-09-04 22:55:07 | マイブック(あ)
「灰の劇場」
      恩田陸 著

小説である。
私小説のようであり、フィクションのようであり、
ノンフィクションのようである。
作家自身が見た新聞の小さな記事。
一緒に暮らしていた二人の女性が橋から飛び降りたという記事。
その記事はなぜか心にずっと残っている。
そこから生まれた小説。
事実と虚構と創作と相まみれるそこは劇場となる。

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アルマジロの手

2024-07-22 01:00:07 | マイブック(あ)
「アルマジロの手」
      宇能鴻一郎 著

会いたさ、そして抱きたさ。
ふたつの思いが交差する短編集。
アイロニーの色濃く、月はカタチを変えていく。
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