余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

すべての、白いものたちの

2024-11-12 23:39:41 | マイブック(は)
「すべての、白いものたちの」
      ハン・ガン 著
         斎藤真理子 訳

詩であるような小説であり、時折言葉が引っ掛かる。
引っかかるのは詩のようであるからで、
言葉は木霊をするように、そして色が浮かび上がる。
作者は白いものを思い浮かべ、
思い浮かべた白いものにまつわる事柄をストーリーへと昇華する。
おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり、つき、こめ、
なみ、はくもくれん、しろいとり・・・
自身の記憶と交わりながら夢を見るように現実な大地を歩く。
青い空に青い海、夜の月とまとった白と。
そして読後、探すだろうか。見つけるだろうか。白いものたち。
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小説は君のためにある

2024-11-12 23:21:39 | マイブック(は)
「小説は君のためにある」
      藤谷治 著

小説とはなにか。また小説の定義とはなにか。
なぜ小説というものを読むのだろうか。
この本はそんな問いについて語る。
僕自身は好んで本を読む。
そのなかで小説も楽しく読んでいる。
ときには面白くない本もあるし、途中でやめてしまう本もあったりする。
そして楽しく読んだ本のいくつもの内容を憶えているかというと、
そうでもない。
すると小説というものは読むということは何なのだろうか。
読むという行為。文字、言葉を追っていくという行い。
それはなにより体験するということにほかならない。
そのことをあらためて教えてくれる、小説を定義してくれる、
ひとつの本である。
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俳句の宇宙

2024-10-23 22:34:16 | マイブック(は)
「俳句の宇宙」
      長谷川櫂 著

季語と十七文字からなる俳句。
季語という自然を詠みこんだ俳句。
俳句とはなんだろうか。最も短い詩ともいわれる。
松尾芭蕉の有名な句。
古池や蛙飛こむ水のおと
短いこの文字から知りえる情報はなんだろうか。
想像できることは。
蛙ははたして水に飛び込んだのかどうかと。
そこで著者は「場」というものに関心を置く。
共通の場所。
そして言葉とは何かへとつながっていく。
水のおとは聞こえるだろうかと。
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野蛮な読書

2024-05-07 23:24:12 | マイブック(は)
「野蛮な読書」
      平松洋子 著

何を読んでいるかの興味は秘密めいている。
とてもとても。
そしてそこから新たな喜びを知ることになる。
読み進める本に寄りかかりながら、沈み込みながら。
奔放な物語へと身と共に入り込んでいく。
それは薬となり毒となり快楽となり、弱さになり強さとなる。
言葉は自身を装飾し曝け出しもする。
呼び覚ます記憶を織り交ぜながら。
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ベッドサイド

2024-03-18 22:53:40 | マイブック(は)
「ベッドサイド」
      林あまり 著

歌集。
性を直截に、喜びとしてまた悲しみとして、
または幻として
短歌という形式にのせて詠う。
そこにあるものを。
性というおこないを。
直線的な言葉だからこそ響いてくることのある、
魂の揺れるさま。
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