「すべての、白いものたちの」
ハン・ガン 著
斎藤真理子 訳
詩であるような小説であり、時折言葉が引っ掛かる。
引っかかるのは詩のようであるからで、
言葉は木霊をするように、そして色が浮かび上がる。
作者は白いものを思い浮かべ、
思い浮かべた白いものにまつわる事柄をストーリーへと昇華する。
おくるみ、うぶぎ、しお、ゆき、こおり、つき、こめ、
なみ、はくもくれん、しろいとり・・・
自身の記憶と交わりながら夢を見るように現実な大地を歩く。
青い空に青い海、夜の月とまとった白と。
そして読後、探すだろうか。見つけるだろうか。白いものたち。