「残像に口紅を」
筒井康隆 著
主人公は作家佐治勝夫。
実験的な小説を書いてきた佐治が今度の題材にしたのは、
言葉、文字がつぎつぎと消えていく世界の物語。
消えていくということは、その文字は使えなくなり、
またそれと同時に自身の世界の者たちの認識も消える。
消えるというよりは自身には見えず聞こえず、触れられない。
なくなる存在、あってない実存。
書いている虚構の世界なのか。
現実が交わっているのか。
世界は言葉で満ちあふている。
ひさしぶりに夢を見る。
夢には熊がでてきた。
追いかけ続ける夢だった。