「性的人間」
大江健三郎 著
性の観点から人間を見詰める。
Jという男。
妻に自殺された男の見詰めるもの。
痴漢という行為により、欲望とともに破滅を追い求める。
セブンティーンの男。
自瀆(じとく)という快楽でしか慰められない心を、
もって行き場のない精神のいき場を自身の性器に向ける。
やがて男は政治へと陶酔していく。右へと。
猿と暮らす男。
部屋の四隅にいる猿。
男は猿に見詰められるため、自由に過ごすことができず・・。
それぞれの男たちは揺さぶられ揺すられて生きている。
性をあいだに挟みながら。