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読書感想 「ファン スーチーの初恋の楽園」

2019-12-13 19:27:19 | 日記


最近、小学生が担任にレイプされた事件がニュースになった。SNSを使って小学生が中年男に連れ去られた。そんな事件が続いた時、この本の書評が新聞に載った。

すぐ図書館に予約した。わりと早く手にとることができた。

興味本位で手にしたら、バチが当たったと思えるような重苦しい内容。もう、読みたくない。でも、次が気になる。けど、この苦しみから逃れたい、早く読み終わりたい。その繰り返しで読了した。

聡明で美しい13歳の女の子と50歳のカリスマ塾教師の男女関係。それは恐ろしいロリコン教師のレイプから始まる。その後、中高通して関係は続く。本当は辛くて仕方ないのに。尊敬している先生だから?どうしてもその関係から逃れられない。

とても悲惨なグロテスクな状況なのに、その描写は上品で軽やか、時にコミカル、色彩にあふれ、瑞々しい。少女の感性で語られるから。中国の古典文学の引用が多くて、それはどういう比喩なのか?とつまずきそうになるが、物語の先が気になり、飛び越えられる。

本の装丁もそう。高層階のベランダ手すりの中心にシルバーの鍵が置かれている写真。雨で手すりは濡れている。静かな水色の世界は主人公のイメージそのもの。

この本は、少女レイプ犯と純粋な女の子の気分の悪い話と言うだけの話ではない。高級な身分の皮を被った卑劣な人間を、人の領分を犯す全ての人間を告発していると思う。

以下は小説の本文から。

「忍耐は美徳じゃない。忍耐を美徳にするのは、この偽善の世界が、その歪んだ秩序を維持する方法。怒りこそ美徳なのよ」


この本の中には、意識しなければ、流されて終わってしまう大事なことが喚起されていると思う。





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