1924年、第一次世界大戦後のイギリス。
とにかくジェーンが瑞々しい。ファーストシーンから、彼女の顔のアップが長く続く。ずっと見てても飽きない。あどけなさの中に意志のある目線、表情。金髪のウェーブが風に揺れている。
スタイルもちょうどいい。メイドの制服はシックで、額にまいたレースのスカーフ(名前を知らない)が可愛い顔を凛と彩ってて、キビキビ働くジェーン。
お買い物で外に出る時は、赤いロングコートをきて、籐の前籠がついた車輪の大きなクラシックスタイルの自転車にまたがって走る。(その、自転車ほしー)
ポールとの出会いもお買い物途中だった。
それから、しばらくしてふたりは、ポールの豪邸でふたりっきりで過ごせるチャンスが巡ってくる。確か母の日でみなが、豪華なピクニックに(ポールの婚約のお祝いもかねて)でかける。
婚約中のポールなのに、それを確か知っているジェーンなのに、ふたりにはまったく屈託がない。
ジェーンがポールの元を訪ねる時に着ていた白いコットンのブラウスがステキ。胸もとに黒糸で刺繍が施され、清潔感しかない。(そのブラウス、ほしー)そんなおめかしした彼女の服やコットンの複雑な下着をゆっくりと脱がしていく、ポールの繊細な手。ふたりは情熱的に愛しあったり、その後も裸のままゆったりと心のおもむくまま時間を過ごす。
だけど、ポールはやおらシャツをはおりポタンを締め始めた。邸内は好きに見ていいよ。キッチンのパイも食べていいよと言い残して、ピクニックに出かけてしまった。
ジェーンは、裸のまま寝室を出て、大きな階段を降りたり、大きな花瓶の花を手折ったり、天井まで届く書棚が壁一面にある書庫で本を手に取ってみたり.キッチンでは作業台の中央に残された大きなパイを切り分けた残りを少し食べたり。(このパイ、ホンマにおいしそー)まるで天使が遊んでいるよう。背中に羽根ついててもおかしくない。
イギリスの田園風景も広々と美しく、うららかな3月の陽に癒される。
ブッカー賞受賞の原作を女性監督が、穏やかに大胆に、そして戦争の哀しさを上品に撮った作品。
川上未映子氏のブッカー賞落選は、残念。また今度ということで。
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