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お通し代:居酒屋で支払いを拒否できるのか?

2012年11月03日 | オヤジのひとり言

お通し代:居酒屋で支払いを拒否できるのか?

 (プレジデントに載っていた記事より)

 

居酒屋に入ると、小皿などの一品料理、いわゆる「お通し」が出てきます。

注文していないのに店側が出してきたものに対して、

支払いの義務があるのでしょうか。

 

通常・お通しは、一種の「席料」と捉えることができます。

料亭などの席料をとってしかるべき高級店ならば、「お通し」は支払って当然。

一方チェーン展開の居酒屋など明朗会計を謳っている大衆店が、

頼んでもいないものを勝手に出してお金をとるのは、

常識に照らして違和感があります。

万が一、

「お通し代」を払うか否かで裁判になったとしたら、

最終的には裁判官が

席料をとって当然と考えられる店かそうでないかを判断することになる。

トラブルになりやすいのは、

「席料」が発生するかどうかが微妙な、

級店と大衆店の中間ランクの店の場合、

もしも無料だと思って食べてしまっても、

メニューに「お通し」が有料で明記してあった場合は支払わざるをえない。

またメニューに記載がない場合でも、

お通しを食べてしまってから、

無料だと思っていたから払わない、

というわけにはいきません。

有料と明示されているわけではないので

契約は成立していないと考えがちですが、

すでに食べて利益を得ているので、

利益分を支払う必要があると考えられるそうです。

ですから、

通常は「席料」などとらないだろうという店でお通しが出てきたら、

「これは無料ですか」ときちんと聞く必要があります。

お通しは日本独特の商慣習の名残といえるかもしれません。

明治以前は、客がお店に「こういうものが欲しい」と伝え、

店が相手の身分や身なりを見て「これはいかがですか」と

品物を出すのが日本における通常の商慣習でした。

あらかじめ商品の値段が決めてあって、

客がそれを見て買う、

という買い物の仕組みではなかった。

飲食店で店が勝手に出す「お通し」は日本独自の慣習といえるようです。

一方、最近のチェーン系居酒屋における明朗会計は、

契約を重視する欧米型の考え方といえるかもしれません。

欧米の法律には大陸法系と英米法系があり。

日本の契約概念は大陸法の考え方をとり入れたものですが、

英米法は契約において当事者の“意思”を重視しています。

「一万円で月を捕ってくる」というような絶対無理な話でも、

一度契約で合意したら履行する責任が生じます。

そして月を捕ってこれない場合は損害賠償を請求されてしまう。

英米法では、

「月を捕ってくる」という行為が

そもそも無理だから契約は成立しない、

という判断はされないのです。

双方が納得ずくであれば、

中身がどうあれ契約は成立する。

このように合意が重視される欧米では

お通し」のような注文していないもの、

つまり契約していないものが勝手に出てくることはないのです。

また、

法律は理屈だけではなくて、バランスで成り立つもの。

 

関西の一部地域に「敷引」という慣習があります。

賃貸住宅の退去時に「敷金」を返す際、

一定額を差し引く契約条項で、

家賃のおよそ3、4カ月分になることが多く、

関東の「礼金」よりかなり高め。

これが消費者にとって不当に重いとして裁判が起こされ、

高裁などで「敷引は違法である」という判決が出ていたのですが、

2011年7月に、

最高裁で「ケースによっては敷引特約は有効」とする判決が下されました。

敷引として多くとっていても、

地域性などを考慮すると、

そもそも家賃自体が

相対的に安くトータルの賃料として違法性はないとみなされたのです。

法的判断で関西の慣習が重視されたわけです。

これは「お通し」でも同じで、

店の場所、雰囲気、接客などを考慮して、

「お通し代」をとって当然か否か、そのバランスで考えるわけです。

法律は様々なことが起こる人間社会に当てはめるもの。

ですから常識的な基準に比して

違法かどうかが柔軟に判断されるのです。

 

とはいえ今の日本は、

なんでも価格を明示する形式に変わってきています。

 

そのうち「お通し」どころか

水やお茶まで価格が決まって、

おしぼりすら注文しないと出てこない日がくるかもしれませんなぁ~。

タダの水は自分で取って飲め・・

お水はセルフで・みたいなラーメン屋が増えたのも事実・

困った時代ですねぇ・・・

 


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