前回の続きです・
島 利兵衛 は、この事態を見据えて決断していた。
それは鋼鉄のごとく固い決意だった。
庄屋や松屋が止めるのも聞かず、
自ら役人に申し出でた。
ご禁制の薬草とも知らず村々に奨励して作らせたのは自分です。
農家の人は罪はありません。
と覚悟の申し入れをしたのだった。
役人も自ら名乗り出て縛に付こうなどとは、
不測の事態だったから驚いた。
「どうか私一人の罪です。他のものは全く罪はありません。
農民には、種子を私が遠隔の地から取り寄せ、
利益のあることを説き、大いに勧奨して作らせました。
だから耕作者には一切罪はありませんからお許し下さい。
彼らは私が勧めたから作ったに過ぎません。
全て私一人のせいです。
ご禁制を破ったのですから、
この私だけをお仕置きたまわりとうございます。
このままでは私はたとえ処刑され死んでも死にきれません」
畑の芹が散乱する上に、手をついて覚悟の自首であった。
それは自分を捨てて多くの人を救わねばならないという切羽詰った人間、
否神の姿であった。
役人は必死に嘆願する彼の神々しさに打たれ、
やむなく黙って縛に付けた。
お白州に座った利兵衛の態度は、
なお毅然として変わるところは無かった。
信念を繰り返し述べる。
農民を何とか助けたいと必死に願う姿に代官は心を打たれた。
死を決していることはすでに解っていた。
この男は何者なのだ。
従容として何ごとにも動じない姿を、
武士でも、彼は今まで見たことが無かった。
この崇高な姿を、
こんなすぐれた男が商人の中にもいるのか。
考えを改めさせるのに十分だった。
奉行は口を開いた。
「利兵衛の覚悟のほどは見届けた。
その方の申すこと誠に理にかなっておる。
そちの心情を重んじて計らうであろう。
その方は、ご禁制破りの廉で入牢を申し付ける」
代官所では連日詮議を重ねた。
農家の人々、親とも仰ぎ、神とも尊敬していた利兵衛が、
獄につながっていることに耐えられなかった。
松屋や庄屋を動かし、
村民全員の嘆願書を作り上げ
庄屋が代表して代官所に提出したのだった。
利兵衛 は牢に入れられたが、
代官の言葉通り入牢していた農民は、全員解放させられた。
村は大騒ぎとなった。
命が無いと思っていた農家は、
夫の帰宅でいっぺんに地獄から天国に変わった。
利兵衛 が農民には罪は無いと、
身代わりに罪をかぶったと農民は誰もが信じている。
法を犯したのだから今までの通例では、
打ち首になるところは確実だ。
市中引き回しの上打ち首獄門さらし首が相場だ。
(続く)・・
今回はここまで・・
続きは次回に・・
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