雪が降りつづく朝会って夜別れ
(句集『海紅』)
雪というものは、どうしてこうもドラマチックなのだろうかと思う。
朝会って夜別れたのは男と女の二人のような気がする。恋人同士でもなく、だからと言ってただの知り合い程度の関係でもない。微妙な二人の距離感をこの句から感じた。
朝から夜までの長い時間の中で何かがあったのだろうか。いや、何もなく距離感を保ちながら過ごしたのだ。だけれども心は動いた…。ああドラマチック。
そう感じさせるのが、"雪が降りつづく"の措辞。一日中降る雪のように思いもどんどん積もっていったのだ。きっと。
俳人はそういう秘めた思いを句に託すことができるのがいい。だが反面、想像力が旺盛な俳女によって、後年、このように詮索されてしまうのだ。気を付けようと思う。
この「聰俳句鑑賞」も二年目になりました
担当は二年間
師の俳句をじっくりと読み返す機会になりました
このチャンスは有り難いです