こちらに電話をかけてくれる方に「DV は治るのか?」と、よく聞かれます。
なぜ、その質問が多いのかというと、それは、世間が「DVは治らない」と一般的に言われているからです。
なにをもって治ったと判断をするのか、
暴力、暴言行動をしなくなったこと、つまり行動の変容をもって治ったとするのか、
性格自体のパーソナリティの変容をもって治ったとするのか、
それにもよってくるわけです。
世間で言われているのは、パーソナリティの変容です。
パーソナリティって簡単に変わるものでしょうか?
あなた自身、人が変わったように違う性格になれるか?
と聞かれたら、なれる人はほとんどいないのではないでしょうか。
妻たちはそれを望んでいるのでしょうか?
虎のように怖かった人が、ウサギのように静かな性格に
変わることを望んでいるのでしょうか?
私はそうでないことを願いたい。
虎のような人に対して、この人から暴力暴言がなくなればいいのに、
と思っていたのではないでしょうか。
彼はこんな良いところもあるんだけれど、
暴力、暴言のせいですべてが台無しになっているのではないのかと
私は予想するのです。
いつもビクビクさせられていたら、パーソナリティの変容を望みたくなる気持ちも
わからなくはありません。
でも、彼のどこに魅力を感じたのだろうか。
彼のどこを好きになったのだろうか。
交流分析で説明すると、
DVは認知のゆがみから起こるものがあります。
認知のゆがみをP(親の心)からのA(大人の心)への汚染といいます。
DVプログラムと交流分析を学び始めるとPからの汚染の解除が比較的早期(2ヶ月~3ヶ月)
に行われます。
つまり、暴力、暴言が自然に止むわけです。
それがこちらに来た方たちに起こるので、妻たちから暴力、暴言が無くなりました、と
報告が来るわけです。
しかし、汚染にはもう一つ厄介なものがあるのです。
それがC(子どもの心)からのA(大人の心)への汚染です。
こちらは解除が難しい。
まして、Cからの汚染とAからの汚染が同時に起きている人はダブル汚染となるので、
ますますややこしいことになるのです。
彼らがどの汚染か来てみないとわからないのです。
しかし、交流分析の素晴らしいところは、Cからの汚染でも解除の方法があるということです。
Pからの汚染のように自然に解除になるものもあれば、
Cからの汚染は解除に手立てが必要なのです。
認知のゆがみ一つにも、いろいろな理由があり、方法があるわけです。
これが行動の変容となり、暴力、暴言が収まることになります。
見る人によっては、人が変わったよう。と言われたりもします。
もちろん、彼の人柄は変わらないことを付け加えておきます。