DV加害者更生プログラム(既婚、未婚、問わず)

DVをしているのではないか、悩んでいる方に心理テスト、グループエンカウンター等を用いて更生の道をお手伝いします

もう一つの性別

2018-02-06 14:11:34 | 【DV加害者更生教育プログラム】
「もうひとつの性別」(30代男性Qさん投稿)

男性から女性への暴力について考えるのに、もうひとつの性別を考えたことがあります。
女性が結婚できるのは(今のところ)男性だけですが、女性から見て異性である男性はどのような存在なのか、特に身体的特徴についてどのように感じる存在なのでしょうか。
自分より身長が高く、筋肉もあり力も強い異性。力の上では絶対に敵わない存在です。
男性が女性の立場に立って考えるなら、この世に女性という性別がなくなり、代わりに男性よりさらに身長が高く力が強い、プロレスラーのような身体的特徴を有する性別がいる状態を考えるとわかりやすいかもしれません。


性別が「男性」と「プロレスラー」しかないので、男性はプロレスラーのような体格の人と結婚するしかありません。
家の中に自分より大きく腕力も圧倒的に強いプロレスラーしかおらず、実はそのプロレスラーは優しい時もあるけれど、些細なことで不機嫌になり、怒り出すと自分に対して暴力を振るってくることがあったら、あなたはどれほど恐怖を感じるでしょうか。
決してそんなことをするような人ではないと信じ、一生をそのプロレスラーと過ごそうと結婚したはずなのに。


あなたは密室である家の中で怒り狂っているプロレスラーと対峙できますか。
プロレスラーからの暴力が幾度となく続く状況で、あなたはそのプロレスラーとこれからも一緒にいたいと思うでしょうか。
もちろん身体的な暴力だけがDVではありませんが、絶対的な腕力の差がある異性からの身体的暴力は、暴力を振るう方と振るわれる方では大きな認識の違いがあることに、力を持っている方こそが気付くことが必要だと思います。



女性は自分より腕力が強い男性と結婚する他ありません。
もし、男性であるあなたが自分より腕力が強いプロレスラーという性別と結婚する他なかったら、そのプロレスラーに暴力を振るわれたらどう思いますか。
プロレスラーが怒りあなたに暴力を振るっている姿を、子供が怯えながら見ています。
あなたは自分のため、子供のためにプロレスラーから離れる決意をしませんか?
チャンスはいつまでも続きません。リエゾンを知った機会、リエゾンに通った機会を大切にしてほしいです。




同じように、逆パターンの、もうひとつの性別のことも書きます。


この世に男性という性別がなくなり、「女性」と女性より小柄で子供を産むことのできる「聖母マリア」という性別しかいないとします。
女性は外で定年まで仕事を続け、家のことは聖母マリアが担うのが当たり前で、子供を産めるのも母乳が出るのも聖母マリアだけです。


共働きだとしても、育児休業は聖母マリアが取るのが当たり前です。
女性であるあなたは会社での役割も大きく期待され長時間労働もあり、家庭で聖母マリアと子供たちと過ごしたいと思っても、上司や同僚の理解を得るのも一苦労で、我が子の出産に立ち会うことさえやっとのことで、その休みに対して上司、同僚に負い目を感じてしまうほどでした。
育児休業を取りたいと会社に言えば奇異の目で見られるでしょう。子供のことは聖母マリアに任せておけばいいのに、という無言の声が聞こえそうです。育児休業を取りたいという女性のあなたに、からかいならまだいいですが、嫌がらせさえあるかもしれません。


また、女性がいくら自分の子供をかわいいと思い、泣いている我が子を抱っこしてなだめても、オムツを変えても、全く泣き止んでくれません。
聖母マリアが子供を抱っこし母乳をあげたとたんに泣き止み、安心した顔で聖母マリアに抱かれたまま眠りにつきました。
女性であるあなたは、自分に無力感を感じないでしょうか。
まだ言葉の通じない子供と聖母マリアの間に、女性である自分には敵わない大きな絆があることを感じないでしょうか。
自分と聖母マリアの子供なのに、聖母マリアの圧倒的な役割を前に、子供が育つことに自分は関係ないのではないかと不安を感じないでしょうか。


自分が感じた寂しさ、悲しさ、不安を正直にパートナーである聖母マリアに話すことができますか。
もし話したら、そんなの女性なんだから当たり前でしょと言われてしまうかもしれません。
女性であるあなたは、子供のころから「女の子は泣いたらダメ」「女の子は弱音を吐くな」「女の子は強くあるべき」「女が一家の主」「女は外のことをやっておけばいい」と言われて育てられてきました。自分もそれがある程度、当然だと思ってきました。
もちろん仕事もしたいけれど、子供と過ごしたいし、いつも子供と一緒にいる聖母マリアの力になりたい。でも会社はそういう雰囲気ではないし、子供を産んでおらず母乳も出ない自分に子供は、なついてくれない、家事をやってもやり方が違うと聖母マリアに指摘されてしまう。
子供との関係で聖母マリアとの大きな違いを感じてしまい、とりあえず子供のことは聖母マリアに任せておこうと思ってしまいました。
女性と聖母マリアしか性別がいない社会では、シングルで子供を育てている家庭はほとんどが聖母マリアと子の家庭です。離婚後も聖母マリアの意向で我が子と長年会えない女性や限られた中で我が子と会わざるを得ない女性がたくさんいます。そして、社会も子供は女性より聖母マリアと一緒に暮らす方が良いと思っています。




自ら望んで自らの性別になったわけではありません。自己決定権がなく変更不可能なものを受け入れるしかありません。しかし、それは相手も同じです。
だから、もし自分が相手の性別だったらどう感じるだろうかとお互いに想像し合うことが時には必要だと感じました。
相手の立場になって考え、相手を思いやる。
でも相手の意向を全て優先し自分の意見を言わないのではありません。
自分が相手の性別になったらどう考えるだろうか、どう感じるだろうかを、
そして何より自分が今の性別で感じている悩み、不満、不安を、怒りともにではなく、冷静にパートナーに伝えることが必要だと思います。
話し合うことなく夫婦の関係、子供の両親としての関係は成り立ちません。
冷静に相手を大切にしつつ、話し合える関係を大切にしたいです。




リエゾンからのコメント

Qさんはリエゾンに来て丸2年が経ちました。相手の立場に立って物事を考えてみよう
と、リエゾンではいつも伝えていることです。同時に相手の気持ちを受け止め、自分の気持ちを冷静に伝えられるようになることも大切にします。
プロレスラーと聖母マリアの性別は面白いな、と思います。
相手の立場に立てるようになっているから、考えられる話だと思いました。
毎週毎週彼は休まずにグループに通ってきます。
その努力が彼を相手の立場で物を見ることができる人に変えていったのでしょう。
彼のこの努力、変化をパートナーに伝えられる日が来ることを願ってやみません。


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2月の予定

2018-02-02 16:27:26 | 【DV加害者更生教育プログラム】
2月の予定

 2月
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 17日土曜日 18日日曜日 通常
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  通常とは事例研究と構成的グループエンカウンターです。

 今年は弁護士の上谷さくら先生をお招きして法律上の学びも深めていきたいと
 計画しています。
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