「真の謝罪が見込めない時の心の持ちよう」
この質問に応えているうちに終わらなくなっていますね。
本当に難しいことなので、このブログの文章を読み進めて受けた自分なりの答えを導き出していただけると良いなと思います。
今回は「許されない仕返し」についてお話ししたいと思います。
まず、このリエゾンですが、なぜ立ち上げたのかという所からお話ししたいと思います。
私はアルコール依存症の父と共依存の母との家庭で育ち、母がとにかく可哀そうに思えて、母の役に立つことが自分の考えの中心になりました。自分が看護師になりたいと思っていても、就職して家にお金を入れて欲しいと言われると逆らえない、自分のやりたいことを選べない、なぜ、逆らえないのか、ずっとわからないまま、両親の争い、夫のアルコール問題も重なり、体を壊し、足が麻痺を起こし、腰がいつも痛くて、常時熱を出し、子ども達まで熱を出し、肺炎を起こし、入院し、すべての揉め事、不幸が襲ってくる、きっと我が家は呪われているのではないか、と思ったほどでした。
結局、アルコール専門の病院に行き、父親のアルコール問題の相談から心理学に繋がり、分かったことは、「無知の悲劇」という言葉でした。知らないと何も悪いことをしていなくても抜けられずずっと苦しむのです。交流分析で言う「人生脚本」です。脚本には敗者も勝者もあります。
そしてこれは自分が決めた脚本なのです。自分で決めているからこそ、解決が出来ます。
学びを深めるうちに、被害者であるはずの母親の仕返しが分かってしまいました。
子ども時代から母にずっと不思議に思っていたことがあります。
それは父親が禁断症状が出ている時ってアルコールが飲めなくなる時期でもあるのですが、その時期、家族にとって父親が普通の人に戻る時なのです。いつもラリッていて、怖くて話もできない父親が、病人ですが普通の人になるのです。その安心(ずいぶんレベルの低い安心ですが)な時期に必ずと言っていいほど、母親が父親を苛めるのです。ゲーゲー吐いて、会社に何週間も行けず、体調の悪い状態で臥せっている父親に対して、母は明らかに言葉の攻撃をしていました。
そして、父は怒り、またお酒を飲むようになるのです。
私は母に「やめようよ、また飲んじゃうよ。」と言いましたが、母の言い分は「今でないと言えないから」でした。
そして無限ループにはまっていくのです。
お母さんは幸せになりたくないのだ。と思いました。
子どもの目線から見ると、飲んだくれの父親に迷惑をかけられ、毎日必死で生きているように思える被害者であるはずの母親が、父親が弱くなった時に反撃に打って出るのです。
でもそれは母が弱い者いじめをしているようにしか見えませんでした。
私は今年61歳になりますが、その母の苛めをしている目や顔つき、雰囲気、思い出せるのです。
子どもにとって混乱する出来事なのです。被害者の加害者化です。
それも相手が病人という,弱った状態の時に行われます。
今となっては母がフラッシュバックだったのか、明らかな仕返しだったのか分かりませんが、ただ一つ確実に言える事は、父が弱っている時に行う事です。病人に対して仕返しを行っていたことです。
アルコール専門の病院で受けた家族療法での授業によると、イネーブラー(世話を焼いて問題を継続する人、この場合母親)は問題を起こしている人(この場合父親)を健康にさせないようにするそうです。もちろん無意識での行動ですが、深層心理では、世話を焼くことはイネーブラー(この場合母親)にとって自分の社会的価値が上がることになり、問題が収束しないような行動をとるのだそうです。
子どもにとって大変ショックなことで、混乱しました。本来子どもは自分が不甲斐ないとか、自分のせいでこのもめ事が起きているとか、自分が何とかしないと、と思っているのです。それが、母がそこにストップをかける行動を取るとは到底考えられず、目の前で起きていることにただただ混乱するのです。
後に交流分析を学んで分かったことですが、これは心理ゲームのドラマ三角形と言います。争いを終了させる気持ちは当事者にとって全くない状態で、パワーゲームから降りません。その結果起きることは「役割交代」なのだそうです。役割は、加害者、被害者、救済者の役割をグルグル交代しながらゲームは進行していきます。
交流分析で説明するなら、被害者も加害者になり、加害者も被害者になるという事です。相互DVになります。
この過程で被害者ははっきりただ一つ、そう子どもたちだけなのです。
リエゾンはこのような理由で立ち上げました。親たちの争いから子どもを守るためです。
理念は「子どもにとって安心な家庭を」です。
リエゾンでは被害者に「仕返し」を止めてもらいます。恨みを適切な方法(感情消化、インナーチェンジングセラピー)で手放してもらいます。両親の復讐劇は子どもにとって、苦しい家庭が続くからです。
ただし、フラッシュバックは加害者側に受け止めてもらいます。何度でも何度でも受け止めてもらいます。
見分け方は、過去の事を言うのはフラッシュバック、未来の事を言うのは仕返しです。
過去の事…あの時あなたはああだった、ひどかった、など。目を見れない、話せないなどが起きている時は少し別居の手段を取るか、1週間に数日、二人に離れるなどの提案もします。
未来の事…あなたは私にひどいことをしたのだから私の言うことをきいてね。私の望みを叶えてね。いじわるされても仕方ない立場なの、あなたは。(尽くし要求型)
他にずっと無視をする、口をきかないなど。存在の否定、死ねばいい、消えろなどの言葉を言う。(存在否定型)
相手の未来を自分のために差し出すのが当然と思うタイプ(尽くし要求型)と、相手の存在そのものを否定嫌悪し苛めるタイプ(存在否定型)があります。
過去の事を持ち出し、仕返しとして使う場合ももちろんあります。その場合は普段から仕返しを行う人が過去事例も仕返しに使います。混ざっている場合もあります。だから難しいのです。
なぜ、パートナーにDVを止めてもらいたかったのか、安心な家庭を目指していた気持ちを彼がプログラムに通い、効果が出てくる過程で 少しずつ忘れてしまうのです。子どもが二人の関係をどのような気持ちで感じているか、想像しなくなるのです。
なぜ、仕返しの方向に行ってしまうのか、いくつか理由があります。これもすみません、次回にしたいと思います。