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「ピースおおさかリニューアル」情報公開訴訟 大阪市に引き続き大阪府にも勝訴

2017-12-22 | 戦争責任・靖国

2017年12月8日、大阪高裁にて、大阪府を相手取った「ピースおおさかリニューアル」情報公開訴訟の控訴審判決が、田中俊次裁判長によって言い渡されました。先の対大阪市判決に引き続き、勝訴判決です。
 40人以上の人が詰めかけて法定は満席となりました。主文は、「原判決を次の通り変更する」とあり、大阪地裁での判決は覆りました。そして「被控訴人(大阪府)は控訴人(竹本昇)に対して、5万円を支払え」と、国家賠償法に基づく慰謝料が認められました。

大阪市判決よりもさらに踏み込んだ内容──歴史認識に関わる内容だからこそ、公開して議論すべき
 対大阪市の判決では、そもそも「ピースおおさか」のリニューアル内容を非公開にしたことそのものが違法であるということで竹本さんが勝訴したわけですが、今回の対大阪府の判決では、それに加えて、さらに踏み込んだ内容が述べられていました。そのひとつが、この「歴史認識」について述べた箇所です。

 「本件事業に関わるリニューアル後の展示内容に関しては、先の大戦に対する歴史認識にも深く関わり、各人によって意見が分かれ得る事項であり、その意味で社会的関心が高く公益性の高い事項をその内容としている。したがって、本件文書に記録された情報は、それ自体として、広く一般に公開した上で、これを国民的議論の対象とすることが望ましいものであったということができる。」

 竹本さんの訴えを単に認めるだけなら、情報公開すべきである事柄を公開しなかったということだけで十分です。しかし、このように、展示内容が「歴史認識」に関わるものであったからこそ、その情報は「高い公益性を有する」と述べられています。
 これは、公的な地位にある者が率先して日本の戦争責任を軽んじる昨今の状況──たとえば吉村大阪市長が「慰安婦」問題をめぐりサンフランシスコ姉妹都市解消にまで突き進んだこと等──と無関係ではないと思われます。今、ここで、この問題を指摘しなければ、危うい事態になりかねないという危機感が判決文の行間からにじみ出ているようです。

具体的な事実を挙げようとしない大阪府の態度に裁判所の怒りが
  「ピースおおさか」のリニューアル内容を非公開にした理由として、大阪府は「率直な意見交換や意志決定の中立性が損なわれるおそれがあり、リニューアルオープンに向けた準備にも支障がある」などと主張していました。
 しかし、判決では「多数の意見が提出されることは市民の注目を集める行政分野においては当然あり得ることであり、『意見が寄せられては困るから情報を秘匿する』といった運用が許されるべきではない」と、厳しく批判し、「むしろ、多くの意見が寄せられるほど市民の関心を集める事項であればあるほど、それに関して知る権利を保障して情報公開を行うの必要性が高まる」と述べています。
 大阪府が非公開とした理由は、どれもこれも「おそれ」に過ぎません。多数の市民団体が意見表明を重ねてきましたが、「いずれも平穏な態様で行われてきており」、「脅迫的な言論や面会強要といった不当な態様」もなかったと認定されています。
 判決の中では、わざわざ( )に入れて、裁判所が「あえて」大阪府に対してこの情報が非公開条項に該当することを具体的に主張立証するよう「促し」、期日を続行した上でその機会を与えたが、「結局、客観的裏付けを欠く抽象的な主張立証にとどまった」と書かれています。
 行政の態度に対してこれほど手厳しい指摘がなされるのは実に異例で、それほどまでに裁判所が怒っていたということでした。

最後の逆転勝訴へ、そして次の闘いのステージへ
 「ピースおおさか」は1991年の開館当時から「加害と被害の両面」を展示する方針をとっていました。それを「自虐的」などと、橋下・松井氏らが圧力をかけたのが2013年の「リニューアル構想」の発端でした。 竹本さんが2015年1月27日に具体的なリニューアルの内容を明らかにするよう情報公開の請求をしたところ、2月9日に「非公開決定」が下されてしまいました。そして、4月30日には「リニューアル・オープン」となったのでした。
 竹本さんは2015年8月11日に大阪府・市、そして「公益財団法人大阪国際平和センター(ピースおおさか)」を相手取った情報公開訴訟をおこしました。一審では条例違反の指摘はあったものの、残念ながら三つとも損害賠償請求に関しては否定されました。しかし、控訴審ではこうして三つのうち二つまでが逆転勝訴を勝ち取りました。あとひとつです。来年の2月16日、「ピースおおさか」に対しても勝訴判決を勝ち取ることを願って傍聴席を埋め尽くしましょう。
 この情報公開訴訟はゴールが見えてきました。しかし、この訴訟は、竹本さんが、そして、日本が戦争の加害者であったという歴史認識を広く共有すべきだと思う人々が、本当に望んでいる展示内容を実現させていくための第一歩です。闘いはむしろこれからです。(鈴)


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