4/16[講演会]「話し合っただけで捕まる!?共謀罪法の危険」の谷次郎弁護士の講演内容からの紹介です。報告 [講演会]「話し合っただけで捕まる!?共謀罪法の危険」
共謀罪の危ないところ、その1つは、これまでの法の原則を覆す形で、罪とする対象を大幅に拡大してしまうことです。
犯罪には、既遂・未遂・予備・陰謀の4つの段階があります。
「既遂」とは、犯罪の実行に着手し、結果を発生させた場合です。
「未遂」とは、犯罪の実行に着手したが、結果発生に至らなかった場合です。
これらに対して、「予備」と「陰謀」は、犯罪の実行に着手していない状態です。
「予備」とは、犯罪の実現のために準備をすることです。
「陰謀」とは、2人以上の者が、犯罪を実行することについて意思を合致させることです。
たとえば殺人では
殺人罪 生命を奪う(既遂)
殺人未遂罪 刃物で切りつける(実行)
殺人予備罪 殺人目的で凶器購入(準備)
罪にあたる行為が実際に行われた場合(「既遂」)に罪とされる、というのが原則です。
確かに、「未遂罪」というものがあり、その行為が実際に行われなくても裁かれるケースはあります。 しかし、これはあくまでも例外なのです。
刑法を例に取ると、現在は約200の罪が規定されています。
そのうち、行為を行おうとしたができなかった「未遂」が罪とされているのは、約60だけです。
さらに、「未遂」よりも前の段階、行為の「予備」が罪とされるのは、8しかありません。
そして、「予備」よりもさらに前の段階、「陰謀」段階が罪とされるのは、たった3つです。
「共謀罪」はこの「陰謀」に相当します。
「共謀罪法」に規定された277の罪のうち、刑法に関するものが100近くあります。
ということは、刑法に関わる罪のうち、100近くが「陰謀」段階で罪とされることになるのです。
今は3つしかないものが、一気に100近くに! 「未遂」よりも多くなるのです。
「既遂」を裁くのが原則なのに、はるかに前の段階、「未遂」よりも「予備」よりも前の段階の「陰謀」=「共謀」の段階で罪としてしまう。その罪の数が一気に増える。
散歩をする、買い物をする、銀行でお金をおろすなど、今は何の気なしにしていることが、ある日を境に突然罪とされるのです。
なんと恐ろしいことか!
(by ウナイ)