共謀罪法案が参院で29日審議入りしました。金田法相は、これまでの衆院での答弁を一変させ、環境保護団体、人権保護団体なども捜査の対象、共謀罪の適用の対象になると認めました。
金田法相は「環境保護を標榜した犯罪団体」「隠れ蓑」なる言葉を使い、「犯罪集団との嫌疑がある場合は、確定される前から捜査を開始できる」と述べたのです。さらに、そのよう団体の構成員は「一般の方々とは言えないことは当然だ」と述べ、容赦なく団体の会員も捜査の対象となることを明言しました。
※「共謀罪」人権・環境団体も対象、法相認める 参院審議入り(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201705/CK2017053002000121.html
まず、衆院と参院で答弁がかわってしまったということです。そのときどきの考えで政府や警察が好きなように解釈できるという共謀罪の危険性が金田法相の答弁自体に現れています。
金田法相の5月29日の発言「対外的には環境保護や人権保護を標榜していたとしても、それが隠れみので、実態は結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大犯罪等を実行することにある団体と認められる場合は、組織的犯罪集団と認められ、構成員は罰されうる」
4月6日の発言「自然環境や景観の保護を主張する団体は、結合関係の基礎としての共同の目的が、正当な目的にあると考えられ、重大な犯罪を実行することにあるとは考えられないから、組織的犯罪集団に当たることはなく、座り込みを計画しても処罰の対象にならない」
そして「環境保護を隠れ蓑にした」というような判断がまかりとおるならば、「人権保護を隠れ蓑にした」「宗教団体を隠れ蓑にした」「ボランティア団体を隠れ蓑にした」「平和団体を隠れ蓑にした」「労働組合を隠れ蓑にした」と決めつければ、政府・警察はあらゆる団体、個人を共謀罪で罪に問い、団体を壊滅させることができます。
30日の参院法務委員会では、「環境保護や人権保護を隠れ蓑にする団体をどうやって組織的犯罪集団と認定するのか」という追及に対して、金田法相に代わって答弁に立った林刑事局長は「活動実態や組織構造を別の犯罪捜査で解明していく」と述べました。環境・人権保護団体などを「隠れ蓑にした犯罪団体」と認定することを否定しなかっただけでなく、活動実態や組織構造を日常的な監視下におくことを明言したことになります。林局長は「別の犯罪捜査で」と言っていますが、これは警察・公安が盗聴などを通じて、令状を取った犯罪以外の情報を得たとしても、法律違反にはならないとの盗聴法改悪を受けています。
※ここがアブナイ!!共謀罪(17) 強まる警察国家・はびこる冤罪② 盗聴法拡大
http://blog.goo.ne.jp/liveinpeace_925/e/ea9bbedfad8271f756c27e7a6009ac0d
間違いなく多くの市民団体が「隠れ蓑にした犯罪団体かどうか」を認定のための監視下に置かれることになります。そしてその認定は、メンバー間の何気ない会話や発言、ラインやメールなども証拠となります。
自然を壊したくない、安全な食品を流通させてほしい、生活できる十分な賃金や年金がほしいといった環境や人権を保護する活動は、政府や行政に対する批判や行動を伴います。従って、政府や行政などに対するデモや座り込みなどの計画を「威力業務妨害の共謀の罪」等をちらつかせることで萎縮させ、未然に封じ込めようとしているのです。
(ハンマー)